『足音』
家族は足音で 誰かがわかった
季節の足音は 早朝に聴こえる
恋の足音は 心臓が知らせて
サヨナラの足音は 予感がノックする
耳をすませば 足音がする
時代が痛々しく 傷つけ合っている
あなたが帰ってきた 足音がした
その音だけで 心が弾む
わたしが愛した 足音がする
近づいているだけで キラキラと灯がともる
足音を聴いている 每日、待っている
もうすぐ秋になる 運命と約束……したように
『終わらない夏』
お盆が過ぎれば
チャリティー番組
あっという間に
九月が始まる
残暑に台風
政局もあるのかな
秋はほぼ無くて
終わらない夏
出会いや別れや
生活もあって
振り向けば濃くて
そばにいたエアコン
ぼくらは繰り返す
来年も同じだろう
けれど違うんだ
やり直せない…夏
あなたと作りたい
新しい夏休み
それが、永遠の
始まりだったら…いいな
『遠くのそらへ』
そらは繋がっているとか
月を一緒に見てるとか
一生懸命、なぐさめたって
寂しくて辛いんだ
きみは何しているんだろう
どんな思いでいるんだろう
たずねる手段はいっぱいあるのに
丸まって考える
人はだれかを受け入れて
こころを満たして生きるのか
むくわれなくてもしあわせなのは
愛された想い出か
虫が近くで鳴いている
クルマの数だけ愛がある
そういうふつうの景色になりたい
家族になりたい
とおい 遠くの そらの下
きみは眠ってしまったか
今すぐ会いたいはげしい感情
打ち上げる…花火にする
『君が見た景色』
深く 深呼吸して
吐いた息が わたしにかかる
ぽとり こぼれる涙
のぞく瞳の とびらを開ける
それは 日常であって
とてつもない 忍耐の日々
赤い 血のようであり
塗りつぶした 黒い絵でもある
そっと 抱きしめていた
わたしがいると 鼓動で……伝えたい
君が 見た景色には
だれもいない 消し去ったんだね
傷が 深すぎるから
命さえも 危ないようだ
だけど そばにいさせて
同じだから ゆっくり……死のう
『言葉にならないもの』
言葉にならないもの
したくないもの
嘘やかすみになりそうで
どんなに愛していて
大切か…なんて
お店みたいに飾れない
小説なんかよりも
詩人たちより
甘美でしょっぱい芸術で
言葉はそっくりでも
あなたじゃなくて
だから黙って見つめてる
怒らせたくないから
囁くけれど
言えば言うほど枯れてゆく
言葉も花束でも
満足できない
愛は夢中で、息も忘れる