3ヶ月弱に渡るドラマの撮影。
1日が終わり、疲れ果てて眠りについては起きてすぐまた撮影。その繰り返し。
忙しさに追われてがむしゃらに駆け抜けたあの夏。
楽しいときも苦しいときもいつも隣に居たあの人との日々は思い出すと夢だったのでないかと思う。
役とも現実とも区別がつかないようなじゃれ合い。愛を囁き求め合う。
気付けば始めの頃とは想像も付かないぐらい急激に距離も縮まって。
中盤に差し掛かる頃にはまるで、元から恋人同士だったみたいに気付けばどこかに触れ寄り添うようにふざけ合ってた。
劇中での目も合わせれないような恥ずかしくなるほどの度重なるキスシーン。
何度も何度も本気でぶつかり合い繰り返し撮ってるうちにこれが演技なのか現実なのか錯覚するほどに近く存在を感じるようになってた。
終わりに差し掛かるのが本当に嫌で毎晩お酒を飲まないと寝れなくなっていた。
そんな俺の変化にいち早く気付いて寄り添ってくれるのもあの人だった。
他愛もないことで笑って目の前に居れば構ってほしくて悪戯ばかり仕掛けた。
何をしても笑って受け止めてくれるあの人に甘えてばかりいた。
一緒に居るのが楽で、楽しくて居心地よくて落ち込んでるときは誰よりも親身になって側に居てくれて笑い合って。
そんな今は横を見てもそこには居ない。
会おうなんて約束しなくても会えたし、顔が見たければすぐそこにあったあの時はもう消えてなくなってしまった。
今だって電話掛けて「逢いたい」なんて漏らしてしまえば、あの人だって忙しいのに少しの時間を見つけてでも駆けつけてくれる。
それはそれで幸せなんだけど。
…まるであの時が夢であったかのように。
寂しいんだ。
あの人に触れたい。
(夢の断片)
あたしはいま分岐点へ立っている。
これから先。
右へ行こうか左へ行こうかそれともまっすぐそのままに?
思い切って後ろに進むのもいいよね。
気持ちがいっぱいいっぱいな時って、前しか見えてなくてすごく細くて先も見えにくくて不安になる。
ちょっと顔をあげて深呼吸して周りを見渡せばこんなに道は広がってるのに。
どこにだって行ける。
崖があったって登ればいいし、川だって渡っちゃおう。
選べないなら納得のいくまで悩めばいいし、ちょっと進んで戻ってきてもいいじゃない?
どの道を選べば正解?普通なの?
そんなのどうでもいいよね。
結果、自分が少しでも満足出来る道を通れたらそれだけで全然おっけー!
もちろん楽しいだけじゃない道のりだけど。
ちょっぴりだけど、今日も元気に生き延びた!ご飯も食べれる。ゆっくり眠れる。
そんな日常がしあわせ。
元気ないときは思いっきり落ち込んで、ゆっくりでもいつかきっと起き上がれるから。
だからさー…
「長々演説してくれてるはいいんだけどさー」
止まらなくなった未来論に、後ろから喋る黒猫に強制的に制止される。
「待ってよネコちゃん。いま考えてるんだから」
「そんなこと言って何時間経ってると思ってるの?」
待ちくたびれたと言わんばかりに尻尾をぱたりぱたりと揺らす。
「でもさーなんかあっちはいろんな茂みとかあって楽しそうだし、あの先が見えない道とかも実は楽しかったりして?とか思っちゃうと中々決めれないんだよー!!」
その場でじたばたと騒いでみせる。
「で、結局きみはどの道を通るわけ?」
「もうさ!ネコちゃん選んでくれない??」
「は!?なんか偉そうに自分で選んだ道がどーとか言ってなかったっけ?」
黄色いお目目が大きく見開かれる。
「んーそれもそうなんだけどさーネコちゃんが選んでくれた道もまたそれを選んだあたし?みたいな??」
「とりあえず進まなきゃなにも出来ないしねー!!てことで始めの一歩を選んでください!よろしく」
明るくお願いしたつもりのあたしに黒猫は、
「そこら辺の棒拾って適当に倒れた方に行けば?」
鼻で笑って言った。
という事で、あたしの始まりの一歩は棒を探すことからになりそうだ。
(見えない未来へ)
1度目の人生は選択を間違えてあの人を死なせてしまった。
やっと出逢えたのに止めることは出来なかった。
一縷の望みを込めてあなたと繋がっていたポストへ手紙を入れた。
どうにかあなたに届いて欲しい。
戻ってきて欲しい。
僕はいつでもそこで待っている、、
死なないで。
目まぐるしく過ぎる日々。
じっと辺りを見回し君を待つ。
どんなに掛かってもいい。
でもきっときっと戻ってきて欲しい。
絶対逢えると信じてる。
もう会えないかもしれない。
でも会えるかもしれない。
絶望の中の希望の中で、
やっと見つけた!!
路地裏で絡まれている彼はきっと。
間違いない。
風に導かれるようにそこに走り込む。
気付いたら手を取って共に走っていた。
戸惑いながらも付いてくるその彼。
間違いない。
ずっとずっと待ってた!!
今度は死なせない。
しつこく付きまとって、生きて生きて生きて。
今度は一緒に生きよう!!!
(吹き抜ける風)
みんなに是非とも観て欲しい🐳
大好き。
あなたは暗い暗い世界のなかにいた俺に、光をくれた。
出逢って間もないのにするりとおれの中に入ってきて、先の見えない未来に希望を示してくれた。
「この先どうなるか分からないけど一緒に居たい。」
そう告げた真っ直ぐな目を今でも覚えている。
いつでも不安なおれの先を照らしてくれるあの人。
いつも笑って「大丈夫だよ」と魔法の言葉をくれる。
記憶の中のあなたはいつも笑っていて、思い出すたびに何だか泣きたくなる。
絶対言えないけど。
絶対言わないけど。
愛してる。ただ、それだけでいいんだ。
(記憶のランタン)
「おーい。おーい」
随分と前からあたまを抱え込み悩んでる前方に声を掛ける。
「んー」とか「あれ?」とか1人で呟くだけで相手にしてくれない。
「ねぇ、聞いてる?」
めげずに声を掛けるけど。
「うるさいなー!!邪魔しないでくれる?」
一喝されてしまった。
「さっきから何してんの?」
ひょいと覗くと手元には何やらダイヤルらしきもの。
俺がいるの無視して「微妙なんだよなー絶妙なさじ加減…このちょっとがさー」なんてブツブツ。
ねぇねぇねぇ。
俺がいるんだからさー!
「相手してよーー!!!」と目の前の背中に寄り掛かれば。
絶叫に近い悲鳴。
「なにしてくれてんのさー!!!」
なになに?うるさいよ。なに?
口をぱくぱくさせながら手元のダイヤルを勢いよく指してくる。
だからさー。
「それって何なのよ?」
「もーう!!お前のせいで秋すっ飛ばして冬までダイヤル回しちゃったじゃん!!!」
「……え?それってなに。所謂季節をどーとかする何かってやつ??」
「そーだよ!!お前何やってくれてんのさ!!」
「あっつい暑い季節乗り越えた人間に少しでも過ごしやすい気温に設定してたのに一気に冬まで回しちゃったじゃん!!どーしてくれんの!!」
「ほんとにほんとに合わせるの大変なんだからね!!!」
次々に文句を浴びせられてもね、、、
「じゃあダイヤル戻しちゃえば?」
「そんな簡単なもんじゃねーよばかー!!」
「まぁまぁ冬もそんな悪いもんじゃないよ。好きだなーとか思ってるやつともくっ付けたりすんじゃん??」
自分よりひとつ分小さな頭を撫でる。
「そんな悪いもんでもねぇよ寒いのも」
乗せた手を払われながらその手でひらひらと追い払われる。
「じゃあ早くお前の力でくっ付け合わせてこいよ、北風小僧」
「任せろ。とびきりのぬくもりを届けてくるよ」
にやりと返した。
そんな悪いもんでもねぇのよ寒いのも。
温もりの愛しさを感じさせてやってんの。
(冬へ)