キラキラ光るイルミネーション。
来たるサンタさんの日に向けて飾られたんだろう。
青や白、黄色、赤その他色とりどりのLEDがあちらこちらで存在をアピールしてる。
主役はやはりカップルなのだけど。
1人でその中を歩くのも案外悪くない。
普段は寂しげな街路樹たちもこの時ばかりはいろんな光をまとってとてもきれいだ。
右に左に見惚れて思わず笑顔になる。
「ほんとにきれい」
寒い空気にそっとため息を混ぜる。
きらめく景色のなかに浮かぶ2つの笑顔。
1人はずっと見つめてた人でもう1人はその人が見つめる人。
見つめるその人は男のひとだったから付き合ってるなんて思いもしなかった。
仲のよい友だちなのだと。
仲よくて羨ましいなーって。
でも、2人は付き合っているのだと。聞いてしまった。
よくよく考えてみたら合点が行くことが沢山あって。
何より2人の間の空気が、微笑んでる姿が、あたしが入る隙もないぐらいほんとに1ミリもないぐらい幸せそうでそっと想いに蓋をしてしまった。
いつもはクールそうなのにあんなにふにゃふにゃに笑いかけてるなんて、あたしには太刀打ちできないじゃない。
相手のひとも嫌いじゃないの。
お似合いで本当に応援してしまいたくなる。
でもさ、
「あたしも、ちゃんと好きだったんだよ」
周りのキラキラが滲んで見えた。
(光の回廊)
何度も何度も違うのだと言い聞かせた。
でもやっぱり会うと近付きたくて構ってほしくて触れたくて。
でもこの想いに気付いて欲しくなくて。
それでもその笑顔のなかに居たくて。
はらはらと、降り積もるこの想いは。
もう、恋と…認めてもいいのかな。
錯覚でもなくただただ好きだと。
求めても許されるのだろうか。
返してくれなくてもいいよ。
それでも、僕は君のことが好きです。
(降り積もる想い)
隣り合わせて座った。
みんなの輪の中にいるアイツ。
話に夢中になっているその隙に。
アイツのトレーナーの裾からはみ出る紐と同じ自分の紐とこっそり蝶結びしてやった。
これでお前は俺から離れられない。
なんてね。
蝶結びなんてすぐに解けてどこかに行ってしまうよ。
ずっと隣になんて。
無理なのかな。
(時を結ぶリボン)
びーえる注意報!
「手を出して」
言われるがままに彼の方に手を差し出すと、その手をそっと包まれる。
「なに?」
「念をかけておいた」
にこっと笑われチュッと音を立てて包まれた手にキスされる。
「うわ…たまに変態っぽいよね」
手を引っ込めようとするけど、強い力で包まれたまま抜けない。
「ちょっと離してよ」
「お前は大丈夫…大丈夫。自信を持って」
本当に念を込めるように優しく何度も手の甲にキスされる。
「もういいから。ほんと離して」
居た堪れなくなって顔をそらす。
「そぉ?」
名残惜しそうにまたそっと口付けてやっと解放された。
「もう一体何なんだよー」
「うーん、まぁなんかあった時のねおまじない。困った時にでも思い出して」
「バカじゃねぇの」
後ろに隠した口付けされたそこをこっそり手で撫でる。
ほんと、バカじゃねぇの。
「まぁ気休めでもね」
目の前の彼は、悪態に気にせずほんわか笑った。
あれから不安なとき、自信がなくなって心が潰されそうなとき、落ち着かないとき、縋りたいとき。
手を握りしめて抱き抱える癖がついた。
「ほんと、気休めだよな」
すげぇ効くけど。
(手のひらの贈り物)
漠然と。
ヒーローは必ず勝つって信じてる。
どんなにボロボロになっても最後には逆転して不敵に笑って。
そんなことは全然ないのにね。
ヒーローだって周りが思ってる程強くはなくて周りとおんなじ。
いつでも自信がなくて打ちのめされてもうダメかもしれない。負けてしまうかもしれない。
それでもそんな弱い心は奥に閉まって。
にっこり不敵に笑ってこう言うのだ。
「私が来た!!」
平和の象徴は折れてはいけない。泣き言を言ってはいけない。
ズタボロでもそれでも笑うのだ。
みんなに笑ってもらうために。
そしてみんなの心に訴えかける。
「次は君の番だ」
この心を繋いでくれ。
ほんの数ミリでもいい心の隅っこに。
みんなが誰かを思いやる心を。
みんなが笑って過ごせるように。
だから今日も彼は笑ってこう言うのだ。
「もう大丈夫!なぜって?私が来た!」
君の意思はどこかでひっそりと灯りを灯す。
(心の片隅で)
伝えたい事の1ミリも…何か違う。