あなたにとっての太陽となれずとも
あなたにとっての月となれずとも
あなたの夜空一面を覆い尽くす星となれるなら
私は一番じゃなくてもいいの。
一番星だって望まないよ
見つかってしまったら恥ずかしいからね。
「星になる」
よかれと思ったことが相手にとっては余計なお世話だったというよくある話。
善意の押し付けだったな。反省反省………しません。
いつか誰かに届く必要があった善意だと信じて私は今日も余計なお世話をするぞ。
時々、もったいないくらいのまっすぐな言葉をくれるからびっくりする。
もっと雑に、適当で、いいのに。と思うと同時に
自分と同じかたち、同じ温度、同じ柔らかさはこんなにも暖かくて嬉しいものなんだ、とわかる。
『 』
椅子の上に落ちていた一切れの紙。
折りたたまれたそれをなんとなく開いてみると、
そこには文字がかかれており。
しまった。つい開いてしまったがこれは見てはいけないものだ、とすぐに紙切れを閉じる。
捨てるにも内容が内容なだけに捨てにくい。
だからといって持ち主を探す手がかりもない。
いっそのことまた椅子の上に置いておこうか、と思考を巡らす。
さぁ、この手紙には何て書かれていたと思う?
「秘密の手紙」
ひんやり冷たくて甘いゼリーたちを最初に食べて
もうひと踏ん張り、と思ったらこはく糖。色は均等に残していって、と。
口元に笑顔がこぼれてしまう玄関に置かれたモイストポプリ。
少しお腹がすいたなと思ったらバームクーヘンをひとくち。あぁもうなくなってしまったな。
次開けるのはどのお菓子にしようかな、と選びつつしょっぱいご飯のおともを吟味して、
気持ちが悩んだときはチューリップを眺める。君はいつでもかわいいね。
手紙は何だか恥ずかしくて何度も読めないけど、
初めての金木犀は何度も嗅いで知らない香りを楽しむ。
そして小さな花をひとつふたつ取り出して、思い出を作っていく。
そんな日々を送っているよ。
「贈り物の中身」