吹き抜ける風

今日からは 君が隣にいない帰り道
影だけが長く伸びて
季節の歩幅に着いて行けずにいた
吹き抜ける風が 僕の名前を呼んだ気がした

記憶のランタン

君と手を繋いで歩いた帰り道
暗闇の中でだけ あの日の笑顔が見える
割れたランタンのガラスに 涙の跡が残っている

冬へ

秋を抱きしめていたかったのに
赤や黄色が 冷たい風にさらわれて
君はどこかへ行ってしまう
ああ 色付いた恋も 散ってしまう

君を照らす月

遠く離れた場所で 僕の温もりは届かないけれど
月が君を 優しく照らしてくれるのなら
その光にそっと想いを忍ばせて
君がひとりぼっちじゃないと伝えたい

木漏れ日の跡

午睡から目を覚ますと
畳の上の木漏れ日の跡が まだ息づいていた
君の手の温もりみたいで しばらく動けなかった