【君に会いたくて】
ただの友達だった
何人かいる友達の中の一人だった
たった一度ときめいて
何度か電話をして
たまに遠くから手を振り合って
それだけだった
でも、どうしてだろうね
不意に君のことを思い出すんだ
朝、電車に揺られてる時とか
退屈な授業中とか
家で勉強してる時とか
お風呂に入ってる時とか
寝る前とか
気が付けば君のことを考えてる
一日中、頭の中は君のことばかり
ねえ、どうしてかな
たまにみんなで遊ぶ友達の中の一人だったはずの
君に会いたくてたまらないんだ
【閉ざされた日記】
ずっとずっと昔
私が中学生だったころ
毎日書いていた日記が出てきた
三十歳の私は苦い顔をしながらそれを開く
あのころに良い思い出なんて無かったと
知っているからだ
中を見れば予想通り
自分の願望を押し付ける親と喧嘩したことや
友達と些細なことで揉めて
そこからいじめに発展していったことなどが書かれていた
もう消えてしまいたいと、何度も書いていた
どれも泣きながら書いたのだろう
書いた文字が滲んでいるページがいくつもあった
二度と開くことなどないと思っていた
あのころの記憶ごと存在を忘れてしまいたかった
そんな、長いこと閉ざされていた日記
開いたことを後悔しかけるほど、読んでいて辛かった
でもね
中学生のころの私に教えてあげたいよ
親とは最近ようやく縁を切れたし
私をいじめていた奴らはみんな、ロクな人生を歩んでいない
そして私は
素敵な人に出会って
誰よりも幸せに生きている
消えなくて良かったと、何度も何度も思ったよ
消えなかったあのころのあなたに、何度も何度も感謝しているよ
【木枯らし】
心の中を木枯らしが吹くような
ひどく哀しい気持ちになった
あまりの寒さに耳が痛い
加えて頭も痛くなってきた
この寒空の下
いっそ冷たい空気に溶けていけたらいいと
思うほどに
独りというものは寂しいのだ
【美しい】
アタシは生まれた時から美しい
赤ちゃんの時から
かわいい、かわいいと周りの大人に褒められていたらしいし
幼稚園に入ってからも毎日のように
男の子にかわいいと言われていた
中学生になると
女優さんやアイドルになればいいのにと言われ
高校生の時は男子から毎日のように告白されていた
アタシは美しい
今は二十三歳だけど
昔よりさらに美しくなっている
ああ、どうしてこんなにもアタシは
美しい顔をしているんだろう
でもね、鏡は見たくないの
現実が見えちゃうから
【この世界は】
この世界は
思っているよりずっと汚くて
怖くて苦しくて残酷だ
綺麗なものだけを見ていられたら
どんなに良かっただろう
でも
この世界は醜いけれど
それを照らす人が必ずいる
荒れ果てた地で皆を鼓舞するような
救世主のような人が
そんな人に出会うため
この酷い世界を生きている