【大切なもの】
僕にとっての大切なものは
健康だ
今までいろいろな病気をしてきたし
幼い頃からの持病もあるけれど
いつもより体調がいい日は気分もいい
健康じゃないと行きたいところにも行けないし
やりたいこともできない
食べたいものを自由に食べられるのも
遊んだり仕事をしたりできるのも
ある程度健康だからこそ
だから僕にとっては
健康が大切だ
もちろん僕自身だけでなく
僕の大切な人たちにも
ずっと健康でいてもらいたい
まだまだ一緒に出かけたり
一緒に美味しいものを食べたりしたい
いつまでも一緒にいられるように
みんなで健康に気をつけて生きていこう
【エイプリルフール】
「明日ってエイプリルフールだよね」
「え? ああ……そうだっけ。もう四月一日かと思ってた」
「まだ三月三十一日だよ。仕事忙しくて日付忘れたの?」
「いや、昨日今日と久々の連休だったからほとんど寝てた」
「なるほどな」
「そっか、明日はエイプリルフールか……どんな嘘つこうかな」
「何か、面白い嘘つくつもりなの?」
「そう。でも毎年、すぐバレるようなくだらない嘘ついて終わっちゃうんだよなあ」
「分かるわ」
「今年は面白い嘘つけるよう、よく考えないとな。……そういや、お前は明日どんな嘘つく予定なんだよ?」
「はは……嘘ならもうついたんだよなあ」
「へ? だってエイプリルフールって明日……ん?」
【幸せに】
先日高校を卒業したけれど
実は私、あなたのことが好きでした
想いを伝える勇気もなかったから
ただのクラスメイトとして
時々話をするくらいでした
けれどもうあなたに会えないと思うと
寂しくて仕方ないのです
まるでこの世の全てに影がかかったようで
世界が色褪せて見えるのです
私はあなたの家も連絡先も知りません
あなたが同級生たちと話しているのが聞こえてきたので
別の県の大学に進学するということは分かりましたが
あなたとは
もう二度と会えないような気がするのです
それでも私は
遠いところから
あなたの幸せを祈ります
大好きなあなたはいつか
私なんかよりずっと素敵な人と出会い
心踊る時間を過ごすことでしょう
本当は悔しいけれど
きっとそれがあなたにとっての幸せだから
どうか、どうか
私の知らないところで
いつまでも幸せに
【何気ないふり】
何気ないふりをして
軽くあなたの服の裾を引っ張る
あなたが喜ぶのを知っているから
「なんだよ」と笑うその顔が
嬉しさを物語ってる
何気ないふりをして
あなたの耳に顔を寄せて囁く
「好きだよ」
こうすればドキドキするって知っているから
何気ないふりをして
どれも計算だらけ
こんな私でも
あなたは変わらず愛してくれる?
【ハッピーエンド】
出会ってすぐのころは喧嘩ばかりしていた、ドラマの中の男女。
男は最初「ブスだ」「お前の全てがイライラする」などと女に暴言を吐いていたが、それには複雑な理由があったし、徐々に頑張り屋の女を気に入るようになった。
女の方も、最初は意地悪だった男の優しさを徐々に知っていく。
そんな二人は晴れて恋人同士となり、ドラマは今日、ようやくハッピーエンドを迎えた。
あんな恋愛ができたら、さぞ楽しいだろう。
けれどあのドラマの主役である俳優の男は、現実世界では私の夫だ。
現実のあの男は、毎日毎日私に対する暴言ばかりを吐いている。
「まだ飯が出来てないのかよ」、「無能だな」、「誰が金を稼いでると思ってる?」など、こんなことを妻に言っていると世間に知れたらすぐにテレビから消えそうな発言ばかりだ。
夫はあのドラマとは逆に、出会ったばかりのころは優しかった。付き合っているあいだも優しかったが、結婚してから一変したのだ。
テレビの画面には、男女が見つめ合いながら笑顔を浮かべている姿が映っている。そこに『Happy End』という文字が現れ、ドラマは終わった。
そこでちょうど、隣の部屋から夫の怒声が聞こえてくる。
「おい!いつまで起きてんだよ!その電気代、誰が払ってると思ってるんだ!」
いつまでって……まだ九時なのに。自分の方が夜更かししていることがあるのに。夫は何かと理由をつけて私に文句を言いたいだけなのだ。
テレビと電気を消し、夫の待つ寝室に向かう。
真っ暗な廊下で、夫に分からないくらいの小さなため息をついた。
布団の中でも、さっき見た『Happy End』の文字がまだ脳裏にこびり付いている。
私と夫のハッピーエンドは、きっと永遠に来ないだろう。