あぁ、君はとても美しい。
皆が羨む美貌を持ち、誰よりも誠実で純粋。そんな彼女に惚れないわけがない。
初めて君に会ったのは僕が散歩をしている時。君は友達と楽しそうに話していた。
話したことなんてない。でも、一方的に好きでいた。
僕は君を見るたびに熱い鼓動に襲われる。
君はいつでも美しい。
実物はもちろん、画面越しでも、写真でも君の全てが愛おしい。
あぁ、見るだけじゃ物足りない。触れたい。声を聞きたい。君の鼓動を感じたい。
だから、閉じ込めた。僕の家に連れてきた。
なぜか君は怯えている。でも、そんな君も美しい。
やっと、君の鼓動を感じれる。
君を僕だけのものにするために、君の腹部を貫いた。
君の赤い血が手につく。とってもキレイだ。
やっと、君の熱い鼓動を感じた。
結局全てはタイミング。
親におねだりをする時も、先生に当てられそうになる時も、今やっている音ゲーだってもちろんタイミング。
人生は選択のタイミングで決まる。
タイミングを合わせるのが上手い人は人生イージーモード。逆に下手な人はハードモード。
何やったって結局はタイミング。
その人にとって、良いタイミングか悪いタイミングか。
因みに、私は今変なイジられ方をした。タイミングは合っていない。
昨日まで大丈夫だったノリが、今日になってしんどくなった。自分の機嫌すらもタイミングだ。
こんなタイミングゲームの世の中で、上手に生きるには?
そんなの、知らないに決まってる。
知っていたとしたら、私は教室の隅で音ゲーなんてしていない。
今、私は大丈夫。って少しでも思った人。
あ、リズムが乱れたよ。残念だね。
虹の始まりには宝物がある。まだ、誰も見つけたことのない金銀財宝。それは虹の始まりなんて無いから言えた事。
でも、君はずっと虹の始まりを探している。
君は子供の頃絵本で見たあのお伽話を信じている。
だけど、ないものを探しても意味がない。あの日、そう言ってしまった。
「でも、希望がないと人は生きられないから。」
静かに、そして冷たく、君が言った。
そんな君の言葉が強く心臓に突き刺さった。
人間は誰もが何かに縋っている。大体は、自分が心動かされたものだろう。
きっと君は、それが子供染みていただけで、他の人となんら変わりはない。
それがないと君は生きていけないんだと悟った。
虹の始まり。それは君の生きる希望。
本当はないもの。でも、君が生きられるなら、なんでも良いだろ。
僕のオアシス。君が、君だけが、僕のオアシスなんだ。
家でも学校でも、どこへ行っても孤独だった。どこに居ても、誰と居ても、邪魔者扱い。苦しかった。
そんな僕が見つけた孤独でも許される場所。図書館。
そんなとこに現れた君。「この席、いいですか?」花のように柔らかな笑顔で言った君。可愛くって顔が火照った。声を出すことが出来ずに、精一杯うなずいて返事をする。
それからというもの、僕が図書館にいると君は必ず僕と相席をした。僕はいまだ何も話せずに黙り込む。
今まで図書館は「孤独でも大丈夫な場所」だったのが「孤独を埋めてくれる場所」になっていた。
君が僕のオアシスになってくれた。
君のことなんて、何も知らない。いや、知らないままでいい。もし、知ってしまった時、君がオアシスとは程遠い存在だったら…考えるだけで恐ろしかった。
孤独を埋めてくれる君には、僕の理想のままでいて欲しい。
ずっと、君のことをオアシスだと思っていたい。
俺には付き合っていた彼女がいた。でも、顔も、声も、匂いも思い出せない。
どうして別れたのかも分からない。でもきっと、俺の記憶喪失のせいだ。交通事故にあった。その衝撃で記憶がなくなった。
事故に遭ってから彼女には会ったことがない。「彼女がいた」という事だけが知らされた。
でも、どうしても思い出したくて、俺が交通事故に遭った場所に行ってみた。そこには花が置かれていた。
俺は死んでいないのに。そう思ったが、花の横に置かれている手紙には女の子の名前が書かれている。
あ…彼女の名前だ。記憶はない。でも、ふとそう思った。
顔も声も匂いも思い出せない。でも、事故に遭った時、彼女の頬に伝った涙。だんだんと冷たくなっていく彼女の体温だけを思い出した。
あぁ、彼女は、俺を庇って死んだんだ。
ただ、それだけを思い出した。
それだけ。だけど、俺は彼女に死んでほしくなかったんだと思う。
あぁ、なんで、なんで、俺なんか庇ったんだよ。
何も思い出せないのに後悔、そして、コンクリートに涙の跡が残った。