【吹き抜ける風】(※フィクションです)

秋葉原で何気に買ってみたカセットテープ。
それには女性が歌った曲が入っていた。
誰が歌っているのか誰も知らない。
曲名も誰も知らない。
そんな不思議な歌に酔いしれた。

「それ、私の曲なんです。」
ふと聞こえたような気がした。
風を追うようにオレはその声を追いかけた。
「どこへ行くの？」
あたりを見渡しても誰もいない。
「待ってる。」
また聞こえた。

オレはまたカセットテープを再生した。
「夕日色の枯葉たちは扉をたたく音もなく
風を追ってどこに行くのでしょうね？」

聞こえた。

「壊れかけた椅子で眠って
知らない街の夢を見るのです。」

「君は誰？」
オレは問いかけた。
だが問いかけには答えず声は話し続けた。

「あの人は「さよなら」も言わず
悲しい笑顔で遠い国へ行ってしまったの。
でも、旅立った空には綺麗な星が輝いていたわ。」

「それって…」
何かを察したが声は更に続けた。

「でもね青い鳥を逃がす前に
指でそっと羽に触れることができたのだと思うの。
空を見上げて鳥が飛んでるって…」

「…。」
オレは黙って聞いていた。

「あなたもあの人に似た優しい瞳をしてるわ。
私、夜に待ってる。
その時はちゃんと「さよなら」と私に言ってね。」

その声と同時にカセットテープが止まった。
あの子の声が止まった。
あの子の歌も止まった。

窓を見ると綺麗な星空が広がっていた。
オレはこの綺麗な星空を飛びたくなった。

オレは椅子を持ってきて
窓を開けて身を乗り出した。

「今行くね。」

急降下する刹那に声が聞こえた。

「ダメじゃないあなた。
「さよなら」と私に言ってないわ。」

ハッと我に帰った瞬間
頭と体に衝撃が走った。
頭も体も動かない。
オレの目はただ綺麗な空を見上げていた。

広くて高い空。
遠い国へ 旅立つ空には…。












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秋葉原で売られていた謎のテープ

その曲は
『哀しみの枯葉
樹海の落し物』

歌は誰も知らない
『石井 洋子』

【記憶のランタン】

『インキュバス』とは
魅力的な姿になって女に悪魔の子を孕ませる
『男の夢魔』のこと。

だがオレはインキュバスだが
サキュバスの母から受け継いだ血が多いながらも
また人間の血も受け継いでいるハーフなので
どちらかというとオレは
『サキュバス寄りのインキュバス』だ。

そんなオレだが
そもそもオレに女を孕ます度胸がない。
これが人間の弱い所か「傷つけたくない」という
気持ちが出てしまう。

だから精気を吸い取る側になる。
基本的に受け身でその気にさせるのが得意だ。

ひたすら相手からの誘いを待つ。
それまでは手出しはしない。

たまにはこちらから誘いたいのだが
何故か緊張してしまって誘い出せない。

変なところで人間らしさが出ると
相手も熱が冷めてしまい、逃がしてしまう。

なんとも難しいものだ…。
まだ一流のインキュバスになるのは程遠い。

【冬へ】
(※性的表現有り🔞)

僕のパパはとっても優しいの
お兄ちゃんも優しいんだ

パパは僕になんでも買ってくれるし
美味しいもの食べさせてくれるし
ご褒美だってあたたかいミルクを飲ませてくれるし
お金もたくさんくれるし
悪いことしたらお仕置もして躾てくれる

お兄ちゃんは僕とよく遊んでくれる
運動が上手だから
僕より動きが激しくてすぐ僕がバテちゃう
お兄ちゃんにはかなわないよ

綺麗な部屋に 大きなベットに…
幸せだよ。

パパもお兄ちゃんも大好き
大好きだよ








体が痛い…
どうしてこうなったんだっけ？
僕のパパは誰だっけ
お兄ちゃんなんていたっけ
『パパ』って誰？
『お兄ちゃん』って誰？
本当の『パパ』と『お兄ちゃん』はどこ？

…あ。
そうだった。
…ここには居ないんだった。
僕は拾われたんだ。

悪い大人に買われたんだ。
僕は売り物だった。
じゃあこの人達は……

…もうどうでもいいや

今日も遊ぼうよ『パパ』『お兄ちゃん』。
今日も僕を たくさんベッドで抱いて愛してね。

【君を照らす月】

なんでオレがこんな小説ばかり書くかわかる？

単純に、「それしか書けないから」だよ。

オレの世界観は元からぶっ壊れてる。
良く言うと「愛されてる」から。
悪くいうと「おもちゃにされてる」から。

オレをこうさせたのは
全部 母が悪い。

オレは愛されてなかった。

いつもいつも気持ちの悪い話ばかりオレに話してきた。
オレはまだまだ何も知らないガキだったのに。
ピュアな心を汚した。

まだ幼いというのに
母に『人間』を教えられて
知らなくて良いことも知ってしまった。

…だからこんな歪んだものしか書けない。

普通だったら『生きる』『希望』『夢』とか
書くのだろうな…?

オレにはそれが無い。

諦めた。

ただ渦巻く『欲望』『性』『愛』『狂気』
それを人は『美学』というのだろ?

…なんとも難しいよな。

普通に例えれば
オレが書くのは『官能小説』。

普通の本とははかけ離れた『禁断』の領域。

これが意外と奥深い。

とある場所で手に入れた『官能小説用語辞典』だが、
なかなか面白い。

言葉遊びが豊富で言葉の使い方や表現がわかりやすい
性に汚れたオレにとっては『最高の本』だ。

官能小説は意外と歴史は長く、
人間らしさが詰め込まれている。

それが好きなのだ。

人には言えない『秘密』、『関係』、『欲望』。
実に汚らわしくて美しい。

オレの『不純交遊』が辞められないのも
そのせいかもしれない。

見て、触れて、感じて
体感することが大好きなんだ。

…そして逃げられずに堕ちていくこの感覚も
たまらなく好きだ。

『禁断の先にある快楽』…。

君も体感してみたくないかい？
ねえ、物好きさん？






これも母の呪いなんだろうな…?

【木漏れ日の痕】
(※性的表現有り🔞)

金曜日の夜、旦那を仕事の飲み会に連れていき、
そのまま車を走らせながら約束通りに
お兄ちゃんに連絡をした。

「ごめんよ遅くなったね」
「待ちくたびれて来ないかと思ったよ。
今どこら辺に居る？」
「今、旦那を飲み会に送ったところ。
そっちに向かってる。
ところで最近どう？」
「それがさー＿＿＿」

なんて久々にお兄ちゃんとの会話を楽しみながら
お兄ちゃんのもとへ車を走らせた。

そして15分後に目的地に到着した。

「着いたよ。」
「早いな。もう？」
「オレ、お兄ちゃん以外に
通話かける人居ないから話してて楽しいよ
ブロックしててごめんね」
「ブロックするなよ 寂しいだろ」
「そうだよね
でもそうしなきゃ旦那にバレちゃうからさ。
大丈夫。ブロックしても残しておくよ。
履歴は消しとくけどさ」
「悪いヤツだな」
「アパートの部屋番号、あの番号だろ？」
「そう。変わってないよ
待ってるぜ」

オレはアパートのインターホンを押した。

扉はスーッと開き、
あたかも元いた住人のように涼しい顔をして通過し、
部屋の扉を開けた。

「よう、久しぶり」
「やっほー」

お兄ちゃんはテレビを見ながらオレを待っていた。

「わー お兄ちゃんだー
やっとあえたー」
「よしよし
旦那はいつぐらいにお呼び出しなんだ？」
「多分遅くなるぜ」
「そうか それならゆっくり出来るな」

お兄ちゃんはオレを抱き寄せて膝に乗せた。

「会いたかった？」
「まあな」
「こんなに長く関わってるのはお兄ちゃんだけだよ？」
「そうかよw」

お兄ちゃんは早速オレの服の下に手を入れて
肌に触れだした。

「ひゃっ…くすぐったいよ//」
「寒いから温めてもらうぜー
…痩せた？」
「そうそう
1年で10キロも痩せちゃったw」
「オレと同じだな
オレも仕事で痩せた。」
「だよね。オレも同じく仕事で痩せた。
でも旦那ってば酷いんだよ
「お前は『デブ』だ」って言うんだ」
「こんなに痩せてるのにか？
これ以上痩せたら病気だろw」
「だよねw 笑えるw」


お兄ちゃんはオレの弱い場所を手で探りながら
遊ぶようにキスを何度もした。
「ん…//
相変わらずそこ好きだね//」
「お前もだろ？」
お兄ちゃんは胸の蕾に触れた
「あ…//」
ピクリと少しだけ快楽の電流が体に走った。
「お兄ちゃんの意地悪る…//」
触れられて悶える様子に
お兄ちゃんは嬉しそうにニヤリと笑い、
更に体を探りだす。
「へー？ちゃんと慣らしておいたんだ？
最近は旦那とヤッてないのか？」
「旦那じゃ満足出来なくて…//」
「へー？じゃあこっちも良くしてよ」
久々に見たお兄ちゃんのソレにドキドキしてしまった。

「今日は『有り』？『無し』？w」
またお兄ちゃんはニヤニヤした。
オレは少し恥ずかしながら「『有り』でしょ//」と
引き出しからゴムを取り出し、ソレに装着して
当ててみた。

「ひ…ぃ…//」

オレは「『お兄ちゃん』のが来るっ…//」と
心の中で意識してしまった。

そして……

来る…来る…来る…

来てる…来てる…来てる…

来ちゃう…来ちゃう…来ちゃう…

「く…うぅ…//」
お兄ちゃんのモノは旦那では
届かない領域まで届いてしまい、
中を…更に奥を…壊されていく感覚が
オレをたまらなくさせた。

快感でガクガクと震えるオレの体に
お兄ちゃんは容赦なく激しく続ける。

「お前を待ってて良かったぜ
旦那と比べてどうだよ？言えよ？」
その言葉に更に興奮してしまった。
「旦那のよりすごいよ//
お兄ちゃんの…好き//」
オレは指を咥えて声を我慢しながら悶えた。
「あぁ…こわれちゃ…うっ…//」

奥をごりごりとえぐられ
快楽で『脳』も『心』も『体』も犯されて
壊されている感覚がたまらなくなった。

オレはこれが『好き』なんだろう。
オレはこれが『癖』になっているのだろう。
オレはこれを『望んで』いるのだろう。

そう考えながら
お兄ちゃんの服をギュッと握りしめて感じた。

しばらく続けていたが
「疲れちゃった」とお兄ちゃんが無発でバテた。
そしてオレはちゃっかりゴムを外して挑発した。

「…いいよ？//」

その途端にお兄ちゃんはスイッチが入ったのか
またオレの中で暴れだした。
更に激しく動いた。
オレも更にその情熱を煽った。
「お兄ちゃんの…すごくいいよぉ//」
ドクンドクンと波がさかのぼってきた。

そして、
オレ達は『来て』しまった…………。

「ハアハア」と熱気が部屋にこもり、
オレ達だけの熱くて長くて濃厚な時が
いつの間にか3時間もかかってしまっていた。

「今度またいつ来てくれる？」
「年末かな」
「来れるのか？」
「旦那だけ実家に帰るから会えるよ
もしくは…お兄ちゃんの家に
オレがお泊まりしちゃうよ」
「マジで？」
「うん♪」
「また近いうちに来いよ
また楽しもうぜ//」
「もう…お兄ちゃんたら…//」

まだまだオレ達の『夜遊び』は続くようだ。

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【おまけ】

お兄ちゃん「味噌○ンいるー？」
オレ「いるー！」
お兄ちゃん「やるーw」

お兄ちゃん「スイ○チ2いるー？」
オレ「いるー！」
お兄ちゃん「やらーんw」