君と歩いた道
空を見あげるともう少しで満月になる月が真っ直ぐこちらを見ていた。
アカシアの香りが夜の静けさの中充満している。
月明かりはあの頃と同じ様にふんわりとそれでも、しっかりと道を照らしている。
何年も過ぎたのにあの道は今も同じ様に月明かりに照らされて、静かにずーと待っている。
あなたの大きな手にしっかり握られ、ただひたすらついて行った夜。
後戻りは出来ず、未来もない私達。
何処へも行けず、月夜の道を彷徨い
思い出したように突然思いっきり抱き締めてくれた。
貴方と歩いた道は今、アカシアの香りが漂い、ひとりぼっちの私を誘っている。
貴方の香りが私を狂わす…。
未練を残して逝ってしまった貴方
追いかけることも出来ない薄情な私。
今夜も1人君と歩いた道を往く。
さらさら
好きな景色に川が有る。
浅いけど透明で時々鮭も遡上する川
自分の人生を重ねてしまう
自分の川はもっと深くて暗い川
澱んでいて色々な物が流されている
時が流れ…よくよく見れば、私の川はとても浅かった。
さらさらと優しく流れ、光を受けてキラキラ輝き遥か遠い何処かへ流れている。
あのドロドロは何処へ?
あの暗闇の様な底なし沼は何処?
雑多な物共は何処?
真実は何?
昔から今この時でさえ、暗い川底に溺れそうなのに…
本当は何も見えていなかった。
本当は何も分かっていなかった。
ガキガキの石が流れ流され、次第に丸くなっていくように、トゲトゲした私の心も丸くなっていくのだろうか…
流れ着いた先では、浅かった小川の事など夢の様に思えるのだろうか。
大海原に流れたら、今度はどんな荒波が待ち受けているのだろうか?
行けるところまで…やれるだけやってみて…大丈夫❢
瞳を閉じても何も言わなくても、サラサラ、サラサラ流されましょう。
大丈夫、大丈夫、大丈夫…
手放す勇気
今あなたは怒りのメガネをかけています。だから何も言ってはいけません。他人に何か言ったならそれは決して言ってはならない言葉になる。
私自身考えても妄想してもいけません。考えてはいけない、妄想してはいけない事ばかりを行う羽目になる。
怒りを手放す事は欲を手放す事です。自分は欲の塊です。
本には沢山の教えが書いてあります。
日々修行と戒めた側から大声で怒り狂う自分が居ます。
手放すべきなのは自分自身です。
どうしたら自分自身を手放すことができるのでしょうか?
あれが欲しい、あれが食べたい、あゝして欲しい、あんなこと言って欲しい…。
生きる事は欲との戦いなのでしょうか?
その欲が無くなったら私自身生きていることになるのでしょうか?
わからないまま今日も怒りに抗う私です。
せめて怒りの色眼鏡を外す勇気を持ちたい。
記憶の海
初めての記憶はおかゆの味。少しだけ塩っぱいトロトロのおかゆ。
今のような離乳食なんて無いから…ただそれしか食べ物が無いという事だったんだろうな。
嬉しかった事は私の体の中で新しい命が息づいた事。初めての経験ただ涙が溢れた。
悲しみと苦しみの思い出しか無いと思ったらふっと嬉しかったことを思い出した。人は何故悲しい事ばかり思い出すのか?
中途半端に死を覚悟したのに、眩しい朝は馬鹿な私をさらけ出す。
少しづつ開き直っていく図太さで、
記憶の海を漂う。
微笑む顔に後悔はなさそうだ。
最後の記憶は海だと思った羊水の中で安心しきった命の始まり。
ただ君だけ
過ぎた事は、忘れよう…と思っても何度も何度もリフレインする。
なんてひどいことをしてきたのだろう。
自分を暗闇に叩きつけるように次から次へと思い出される。
今、全て断ち切れるものは絶ったのにこんな私に寄り添う者が1人。
ただ君だけ…
今日の出来事を笑って話す。
つられて私も話すけど、私の目をあまり見ようとはしない。
なんで私は生きているんだろう。
怖い…。
人が自分が…怖い。
でも不思議…ただ君だけ怖くない。
木
私は生まれたときから細い木の運命
守られることもない細い枝は何度も折れそうになり、いつも支えを探していた。
ある時から仲間の細木が隣に居た。
細木同士だが二本なら少し強い。
支え合い3つの実がなった。
自分を維持するので精一杯なので、あまり栄養は与えられなかったが、
3つの実は強く育ち、ある日自分の力で直ぐ側に根付いた。
細木にも少なからず枝や葉が茂った
葉の栄養で強く太い木になるものなのに根が浅く太くなれない木は生きる為に葉を落とし枝を切って身軽になった。
3つの木たちにはこの木の気持ちはわからない。どんどん太く大きく育つ木の側で、相変わらず細い木は少しの風に折れそうに揺れる。
葉を落とし少しづつ枯れ始めているが細木は嬉しい。
たくましい3本の木を眺め微笑む。
ゆっくり死に向かう細木には未練はない。
思い出せば今まで辛かっただろうとこんな母木でごめんなさいと謝るしか無い。そんな事、とっくに乗り越えて忘れて今を精一杯生きていると木達は、沢山の枝や葉を揺らす。
その太い木には沢山の実がなっている。木たちは実に栄養を与え風から守り常に寄り添っている。
細木が枯れる頃側には沢山の実が根付くだろう。