手紙の中身は赤裸々な内容で誰にも見せない前提で書くからこそ"秘密の手紙"。
普段の笑顔の裏側が詰まってる。
題『秘密の手紙』
飛行機の貨物室かと疑う程に凍える朝、肺を満たす空気の冷たさは明らかに異なり暗殺者のような殺意を放っている。全身に透明な鉛布団を掛けているかのように金縛りされている。冬の足音は点滴のように静かに、ゆっくりと近づいている。
題『冬の足音』
贈り物の中身には、冷凍された鮭の切り身がぎっしり詰まっていた。まだ冷蔵庫には処分待ちの食材がいくつも残っている。常にお腹が痛いボクにとって食べるものはすごく大事。だから納得のいくもの以外、欲しくないし見たくもない。ボクの買い物の自由を奪わないでよ。全部処分して綺麗にしてからでないと買い物が出来ないんだ。あと何回食べれるのか分からないのに適当なものは食べたくない。
題『贈り物の中身』
銀のネックレスのような凍てつく星空が首筋を冷やす。部屋で一向に進まない時計の秒針を眺める。今日はまだ始まってすらいないが考えるのも億劫で精神は凍てついていた。おせちと一緒に冷凍保存してほしい
題『凍てつく星空』
君と紡ぐ物語は、まるで"小説の書き方"を見ながら書いたような、異世界転生くらい食傷気味な物語。
本棚に並ぶのは小説家の書く小説のような本ばかり。
中身は違うけど骨子は一緒。物語は平和を求めない。何事もなく幸せな人生を送りました、なんて登場人物はモブ以下だ。
それなのにこの世界は、運の良さを努力と勘違いして訊ねる。
「今まで何してきたの?」
数年単位で何も出来ないような病気や怪我、精神的な病を"運よく避けれる環境にいた"ことに無自覚な発言。ガチャガチャでハズレを引かなかっただけ。
社内のフィギュアケースにはドッペルゲンガーみたいに同一人物がズラリと並んでいて、"貴方じゃなくても代わりはいくらでもいる"と、動かない瞳が一斉に呟く。
テレビや映画ではドラマチックな人物を称賛するくせに、その過程にあるかもしれない人はチェスの駒みたいに盤上から落とす。
物語は紡げる距離まで寄り添わなければ成立しない。
題『君と紡ぐ物語』