たくちー

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1/10/2026, 6:49:05 PM

 黄金時代の航海が終わり、汽笛が新大陸に上陸したことを知らせる。廃課金の揺籠からアクティブな獣の巣窟に突如放り込まれる。

"遊びの時間は終わりだ。今までの人生で培ってきたスキルで生き延びてみせろ"

学校の先生、クラスメイト、そして親でさえ現実の血生臭い姿を見せてくれなかった。初見殺しのオンパレード。β版の既存プレイヤーでもない限り回避不可能。攻略本もなく協力的なNPCもいない。そして死亡する度に強くなる敵。

この世界は理不尽すぎる不思議なダンジョンだ。
運の要素が強すぎる。

そして時は戻らない。



題『20歳』

1/9/2026, 7:06:05 PM

 齧りかけのメロンパンが空に浮かんでいる。ボクは菓子パンを3回に分けて食べるけど、黄金色に輝くそれは瓜二つだった。明るく振る舞う三日月は化粧直しに出かけた満月の代役を見事に演じている。誰も欠けているとは思わない。彫刻刀で削ぎ落としたクレセントは人生の中盤になって完成した大器晩成の器のようで欠けているから美しい。残りは明日に食べるとしよう



題『三日月』

1/8/2026, 6:49:18 PM

 色とりどりのピ◯ミンがプリントされたトートバッグの底にセピア色の染みが滲んでいた。何年も前に閉まったままになっていた仕事用のバッグ。パッチワーク柄の弁当袋に母が色々なおかずを詰めてくれていたのが懐かしい。でも今のボクは米を食べることが殆どないから苦しくて悲しいな。色とりどりのお弁当を見ると脳がウッってなって拒絶反応を起こしちゃう。カラフルな世界に戻りたいなと思うけど、戻れないなら今の自分を受け入れるしかない。セピア色の世界で新しい楽しみを探して生きてる。



題『色とりどり』

1/7/2026, 7:49:20 PM


 随分と高い位置にある入札口に千円を挿れる。丸い座椅子をクルクルと回して座高を調整する。凍える風を遮るのは足元まで届いていない目隠し用の薄いカーテンだけだ。これだから冬は嫌なんだ。暖かなコートを脱ぎ、真正面を見つめる。機械音声の指示に従い3.2.1.パシャ。出来上がった証明写真は運転免許証よりは補正をかけてくれているような出来栄えだった。スティック糊は放置しすぎて消しゴムと変わらない 。

"やるべき事が全部終わったら温泉に行きたいな"

そう思って車の後部座席には温泉セットが置いてある。まあ、結局いけなかったけど。


題『雪』




[お題と関係ないメモ]
雪が積雪になると「ここ、テストに出るからな」と言わんばかりに注意事項が増える。
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・サイドブレーキは坂道でないなら使用しない
(凍りついて壊れてしまう)
・ワイパーは上げておく
(窓に張りつくから)
・車に積み上げられた雪は落としておく
(ブレーキをかけた際に全面の窓ガラスを塞ぐように落ちてくるから)
・ブレーキは細かく踏む
(雪では急に止まれない)
・タイヤが雪に埋まったらアクセルを蒸さない
(余計出られなくなる)
・雪おろし用のスコップを常備しておく
・ライトは早めに点灯する
・歩く際は歩幅を狭くする
・雪かきは底まで綺麗にしない
(地面が凍るから)
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1/6/2026, 7:04:12 PM

 君と一緒に貨車に乗り、売れ残りのワゴンとして店頭に並ぶ。胸には昇進を讃えるような半額シールが勲章のように貼られている。

「ボクが思うに、キミはもっと価値があると思うよ。誰かの決めた半額シールに流されて自分を安売りするべきじゃないと思う。消費期限が切れたって味に深みが増してるかもしれないだろ?気が向いたらさ、常識なんて捨てちゃえよ。後になって困ったな、とか怒られるだろうな、なんて知ったことか。それよりも動いた自分自身を褒めようよ。誰かに怒られたって「信念を貫いた」だけだって心の中で考えればいいんだ。文句を言う奴は、結局のところ文句だけ言って褒めることはないんだから」

そう言って、半額シールが貼られた彼は誰かのカートに乗せられていった。




題『君と一緒に』

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