【凍てつく鏡】

見たくもない現実がそこには映されていた
若く美しかった私はもうそこには居ない
何度同じことを繰り返し唱えても
返ってくる言葉はいつも
私を無抵抗に傷つけるだけ
だから奪うことにした
私の欲しいものを何もかもを手にしている
全てを壊してしまえば
もう私が傷つけられることなんてないのだから
それが無意味な行為だとわかっていても
老いを止める術などないのだと
受け止めきれない悪あがきだと
笑いたい奴は笑えば良い
これが私の答えだ

【揺れるキャンドル】

薄暗い部屋に
キャンドルを灯し
厳かに揺れる炎
私はひっそりと願いを請う

【降り積もる想い】

それは空から降ってくる雪のように
私の心に積もっていく
貴方を想いそっと遠くから
今日こそはそう思うのに
中々その一歩が踏み出せない
ふたつ上の先輩
来年にはもうここには居ない
勇気を出さなきゃ手遅れになる前に
想いだけが積もっていく
貴方を想い私の心に雪が降る

【時を結ぶリボン】

過去から未来まで
ずっと繋がっていた
貴方と私が出逢うまでの
道標
赤い糸を辿って
貴方の元へと辿り着くの
いつ出逢えるかはわからない
それでも信じてる
貴方への愛が本物だと

【手のひらの贈り物】

君が空に向かって手を伸ばす
何かを掴んで満足そうに
僕に差し出す
手をひらけばそこには
掴んだばかりの桜の花びらが
握られていた
戸惑う僕をよそに
君は少し悪戯な笑みを浮かべて

「これ栞にして」

そう言って僕にそれを握らせると
颯爽と駆けていった
預けられた僕はそっと手のひらをひらく
そこにはやっぱり桜の花びらがあるだけだった