『言い出せなかった「」』
「休みたい。」
たった一言のこの言葉を何度飲み込んだことか。
朝起きると体はだるくて、心なしか体調も良くなくて。
1日を考えると自然と涙が出てきた。
不自然に思われたくなくて必死に涙を止めた。
声に違和感がないか、おはようの練習もした。
でも、そんなの必要ないくらい、隠すのは上手だった。
懐かしいな、登校中はいつも泣いてたっけ。
上手く隠せていたと思ってるのは私だけかも。
きっと今も言えないだろうな。
口にしたら泣いちゃうかもしれない。
もっともっと歳をとって、どうでも良くなった時に、
今度こそ、伝えてみようと思う。
『secret love』
いつからだろうか。
目で追うようになったのは。
視界に入るだけで私の世界に花が咲く。
それと同時に冷たい雨も降る。
もう忘れたいと何度思った事だろう。
もう諦めたいと何度思った事だろう。
私を見ることは無いと分かっているのに、
それでもなお、目で追ってしまう。
風船の如く膨らんだこの気持ちに針を刺そう。
隠すことが出来ている今のうちに。
『ページをめくる』
私は明日、ページをめくる。
ついに、20ページ目に突入するのだ。
過ごした時は長かったけれど、
思い返すとあっという間だった。
1行目には何を書こうか。
初めてのお酒の味でも書いておこうかな。
『夏の忘れ物を探しに』
あの夏、私は恋心を忘れた。
もう二度と恋愛をしないと心に決めた夏だった。
人を好きにならないために、
自分には向かない、つらいだけだと思い込ませた。
3年経った今も恋心を思い出せそうにはないけれど、
欠片を拾うことが稀にある。
足元でチリンと音が鳴り、拾おうとすれば、
脳に危険信号が鳴り響く。恋愛をするな、と。
自分にかけた呪いに、いつまで苦しむのだろう。
あの日に置いてきた恋心を、いつ拾えるのだろう。
いつかちゃんと、欠片ではない恋心を探しに行きたい。
『8月31日、午後5時』
泣きながら手を動かす私。
宿題が終わらない。
なんで進めなかったんだろう。後悔しかない。
夏休み課題の試験だってあるのに。
それどころじゃない。勉強も出来てない。
台風が来て、暴風警報が出れば休みになるのに。
そうしたら宿題をゆっくり進められる。
いっその事、もう寝てしまおうか。
明日なんて来なければいいのに。
目が覚めた。夢だったみたいだ。
時計を見ると、8時半。一体いつの夢を見てるんだ。
もう大学生だというのに。
もう暫くは休みがあるから二度寝でもしようかな。