手放した瞬間、後悔した。
今でも時々、あなたの横顔を夢に見る。
あなたが居ないとずっとこのままだ。
だけど、いつまで経っても
あの日々の価値は変わらず、愛しいだろう。
祈りの果てには絶望があると思う。
何もかもを巻き添えにするのが祈りだ。
だが、それも叶わないなら?
後に残るのは絶望だけだ。
叶わなかった願いを次に燃やすものもない中
眺め続ける。
これを絶望と言わずしてなんという。
たしかに昔の人は絶望の中には、
光が紛れ込んでいると言った。
しかしそれが何になる?
圧倒的な絶望の中で、
人は希望を感じることができるのか。
それとも希望だけを信じるのか。
もし、そんなことが出来る人間がいるならば
その人は、「英雄」と呼ばれるだろう。
灯火を囲んで、風に揺れる炎を眺める。
チロチロと揺れる度に、
暗い紅色の光と闇が打ち寄せあって、
まるで別の場所のようだった。
もはやこの一瞬に100年たとうとも、
この風景は変わらぬだろう。
チリ、とふと指が痛む。
その時突然、昨夜の怪我を思い出し、
利き手ごと炎に透かし見た。
しかし、そこには、あったはずの傷が無い。
それも、薬指
キンモクセイの香りってトイレの消臭剤のイメージがあるでしょ?海外ではラベンダーの香りがそうらしいよ。帰り道に教えてもらった。不思議な香りだっていつも楽しそうに話してるから、彼女の国にはキンモクセイは無いのだろう。ギンモクセイって言うのもあるんだって教えてあげたいけど、そこまで語学能力が無いのが残念。私はギンモクセイのあの粘土みたいな香りも結構すきだけどな。
そして、ウィズは下を向くのを辞めた。
斜向かいに座った、
人形じみた美貌の魔女を直視する。
真っ赤に燃え盛るようなその双眸を目にしながらも、
まっすぐその目を射抜いた。
さあ、
今までクラスメイト達だったものを背にして、
全員で生き残るための最初の1歩を。
「ねえ、貴女、」