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12/28/2025, 5:53:40 AM

凍てつく鏡

私が小学五年生の時、ニュースで新型コロナウイルスが話題になりました。すぐにコロナウイルスは流行り、緊急事態宣言が出されました。学校では義務として、マスクを着用しなければいけなくなりました。これがきっかけだったのです。

皆さんはいつメイクに興味を持ち始めましたか?
私は小学六年生でした。小六の頃の私には、学年一可愛いと言われている友達がいました。平行二重でパッチリ縦にも横にも大きい目、笑うときゅっと上がる口角。中学生にはイケメンの彼氏もいました。流行りのものは何でも知っていて、私の学年の女の子の中で、最初に”流行り”を広めるような子でした。シースルー前髪、触覚、ダイソーマスク。懐かしくないですか?これらも、私の友達が一番でした。

こんなに可愛い子の隣にいた私ですが、愛嬌と話のセンスだけが取り柄の、いわゆるブスでした。
その頃は純粋だったので、スクールカーストとか、顔面偏差値とか、釣り合う、釣り合わないとか、そういうの分からなかったんです、全く。

私の友達の名前はひーちゃんと言います。
ひーちゃんはもうすでにインスタをしていて、私に「インスタ始めてよ!」と言ってくれたので、私も始めることにしました。ひーちゃんのストーリーはとても雰囲気がお洒落で、私はだんだんお洒落に興味を持ち始めました。

ひーちゃんは私に沢山教えてくれました。TikTokの撮り方、流行りのダンス、メイク、インスタライブのやり方、可愛いエフェクト、写真アプリ、カラコン、服。

それと同時に、自分の醜さを知ってしまうきっかけになってしまいました。

ひーちゃんと同じように髪を巻いてもらっても、メイクをしてもらっても、アクセサリーをつけても、全く可愛くならなかった。その時、気づいてしまったんです。
「私ってこんなに不細工だったんだ」
隣のひーちゃんは何もしていなくても可愛いのに、私は何をしても不細工でした。
急に隣に歩くのが恥ずかしくなりました。不細工なのにお洒落をするのが恥ずかしくなりました。

「何をしても恥ずかしい」

そう思うようになってしまったんです。

学校ではマスクを付けているので、今まであまり気にしていなかった自分の顔。
家に帰り、洗面所で手を洗いながら恐る恐る自分の顔を見ました。

”恥ずかしい”
よくこの顔で今日一日あの子の隣を歩けたな、こんな不細工な顔で隣の席の川崎くんに微笑んでたんだ、と。
川崎くんは私の好きな人でした。
ちなみにですが、この日川崎くんの好きな子がひーちゃんだということを教えてもらいました。

一日を思い返すと恥ずかしくなりました。考える間もなく、顎に下げていたマスクを目の下まで覆い、この醜い顔を隠しました。

それから、家でもマスクをするようになりました。お風呂と、寝ている間以外はずっとです。目が覚めたらすぐにマスクを付けていました。学校の給食では、一口ずつマスクをずらしながら食べました。
気づいた時には重度のマスク依存症になっていました。
私は少し前から写真が大嫌いで、写真を撮るのが嫌だから、ひーちゃん以外の友達との遊びも全て断っていました。

家ではずっとアイプチの練習をしていました。マスクで鼻と口は隠せるので、目をどうにかしなければと思ったのです。100均で色んな種類のアイテープを買いました。
薬局ではノリタイプのアイプチをほぼ全種類買いました。私のお小遣いはアイプチに全て使いました。
私は重い一重なので、どれだけアイプチの練習をしても不自然でした。でも、無理やりノリでくっつけられた重いまぶたの二重は、通常の重くて細い一重より、目が大きく見えて、それにまつ毛を上げれば自然に見えたので、学校にもしていくようになりました。

初めの頃は仲の良い男の子に「なんか目が変」とか「二重になってるよ」と言われ、今の顔から変わるのが怖かったけど、元の顔よりこっちのほうがいいと自分に言い聞かせました。

でも天然の二重に比べて、私の偽造二重はやっぱり不自然で、中学二年生の春に二重埋没をしました。

どうやって親を説得させたかというと、小六の頃から毎日毎日「整形したい」と泣きながら訴え続けたんです。
あとは、何回も「死にたい」と、「埋没させてくれなかったら自殺するから」と両親の前で言いました。
今思い返せばとんでもない奴ですね。あの頃は本当にご迷惑をおかけしました。ママ、パパごめんなさい。

二人とも、整形は反対派です。身体に傷をつけることが嫌なんだそうです。もし、手術が失敗したら、もう元には戻れないかもしれないよ、今悩んでるよりもっと酷い悩みになるかもしれないよ、と言われていました。
しかしその頃の私にはそんなリスクを考える余裕もなかった。今すぐ、この顔を変えて欲しいと願っていましたから。

無事に埋没は成功し、私は重い一重から、きゅるきゅるなMIX二重に変身しました。

同時に私を覆っていたマスクは卒業し、隠れていた笑顔を取り戻しました。
友達や、家族からは、笑顔が可愛いとよく言われます。

私は高校生になりました。
スカートは短く、ピンクのスクバでキーホルダーが沢山付いています。呼び出されない程度のメイクと、上品なカールの巻き髪で、まるで人が変わったような女子高校生を送っています。

”可愛い”は自信だと私は思います。
今でも私は、自分の可愛いを追求し続けています。

さらに上の可愛いを目指して。

12/16/2025, 1:30:27 PM

フィルムで残したきみの夢
希望 期待 未練

8/8/2025, 12:30:54 PM

夢じゃない 甘えるな

走れ

8/6/2025, 2:20:34 PM

「またね」
その言葉を聞いたのが最後で、それから会うことはなかった。
またねって、”また会おうね”じゃなくて、“また会えたらいいね”って事だったのかも知れないと思った。

8/4/2025, 10:05:21 AM

ただいま、夏

みんなが私を呼んでいる。

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