「落ちていく」
あぁ~~~
って思って、気づいた時には崖の下まで滑り落ちてた。
落ちてく瞬間は何も考えられないし、兎に角反射神経頼みで、大きな怪我をしない様に、上手いこと障害物を避けながら落ちれた。
でも、落ちてしまって周りを見ると。
ヤバい、スマホもどっかに吹っ飛んだし、助けになりそうな物がない……
一緒に来ていた彼は?大丈夫なの?
一緒には落ちてないみたいだけど、って、ちょっと待って?
私、よく考えたら彼に押されなかった?
彼とはそろそろ結婚の話もしてて、だから、彼のお母さんの入院費も私が払った。
まだお母さんには会えてないけど、私の印象は悪くないと思うし、結婚まで秒読みだった。
なのに、何故彼が私を押すの?
ううん、分かってる。ホントは分かってるよ。
あの優しさも、全部嘘だったんだよね。
私からお金を引き出す為だけの嘘だったんだよね。
わかってる。私が邪魔なんだよね。
分かってるよ?
こんな位なら、障害物とか避けずに、そのまま落ちてしまえば良かったのかも。
そしたら、こんな思いしなくて良かったのかな?
……違う、駄目だよ。やっぱり、駄目。
何とか生還しないと。
幸い大きな怪我はしていない。
スマホがなくても、時計はアナログだから方向は分かる。
ある程度のサバイバル知識はある。
雑学って、いざという時に役立つって、今しみじみ実感してる。
生き延びる。そして、もう一度。
もう一度、彼に逢いたい。
きっちり後悔させてやらないと、死んでも死にきれない。
待ってて。必ず、貴方の元に行くから。
「夫婦」
最高の恋人にも、友人にも、パートナーにも、同士にも、何にでもなれる。
でも、その反面、最低の他人同士にもなれてしまう。
「どうすればいいの?」
どうしよう、人生最大の大ピンチかも。
前から噂には聞いてた。貴方が浮気してるって。
だらしなく鼻の下を伸ばして、女の子にデレデレしてた、とか、私にくれてない高価なジュエリーを買ってたとか。
噂に聞く前から怪しいとは思ってたんだよ。
何となく妙に優しいし、そのクセ余り目は合わせないし。
急なドタキャンとか、妙に休日出勤とが出張が増えたな、とか。
でも、疑ってたけど、心の何処かでは信じたくて。
それでズルズルきてたけど、まさかの現場に遭遇。
貴方は必死で言い訳して、「いや、これは違う」って、何がどう違うん?
女の子の方も「悪気はなかったんですぅ」って。
いや、わかるよ?悪気ある奴に限ってそう言うもんだから。
まさに今私がそんな心境だし。
「いや、悪気はなかったんだよ?余りにも気が動転して。気が付いたら2人を刺してました。」
って、そんな感じだから。
分かってる。呑気に解説してる場合じゃないよね?
でも、私、どうすればいいの?
「宝物」
昔の私だったら、宝物と言えば沢山の物を思いついて、多分一つだけって言われたら、選べなかったと思う。
でも今は。
もう、思いつくのは一つしかない。
反抗期で小憎たらしいし、屁理屈ばっかだし、しない·出来ない言い訳だけは一人前だし。
そんな奴だけど、やっぱり君がママの宝物。
ちっちゃくて、可愛くて、面白くて。
時々「何言うとん?コイツ」って思う時とか、「意味わからん」とかも思ったりするけど。
鈍臭くて、思わず吹き出してしまう様な行動をする時もあるけど。
でも、兎に角大切で、愛しくて。
自分大好きな私が、自分より大好きで、大事だと思えて。
箱に入れて鍵かけて誰にも見せたくない気持ちと、人に自慢しまくって見せまくりたい気持ちが同居してる。
でも、いつかはママだけじゃなくて、誰かの宝物になる日が来ると思うから、その日まではママに預からせてね。
「キャンドル」
キャンドルと言えば、バースデーケーキのキャンドル。
家は家族が多くて、ホールケーキを買っても一人分が小さくなるし、それぞれ好みもあるし、と言う理由から、子供の頃から誕生日はホールケーキじゃなかった。
色んな種類の小さいケーキを買って、主役だけ2個貰えた。勿論主役から先に選べて、あとはジャンケンで勝った子から好きなのを選んでた。
それはそれで楽しみだったし、何の不満もないんだけど、でも、子供心にホールケーキにキャンドルを立てて、フーってするのが夢だった。
一応小さいケーキにキャンドル立ててたけど、やっぱ何か違うし。
だから、初めてホールケーキでフーした時は感動だったなぁ……申し訳ないけど、用意してくれた彼氏の顔は覚えてないけど、ケーキはどんなだったかしっかり覚えてる。
大人になって自分で稼ぐ様になったら、子供の頃にしたいと思った些細な事は殆ど出来るんだけど、多分子供の頃にするのと大人になってからするのでは、感動の度合いは違うと思う。
でも、ここまで頑張ってきた自分にご褒美をあげたいと思って、一つずつやりたかった事を実現してる。
いくつになっても、やっぱり初めては楽しみだし、新鮮。
遊び心とか、探求心とか、ノスタルジーとか。
これからもそういう、日常生活に必須じゃないけど、心の栄養になるような事はしたいし、人にもしていきたいと思う。