「静かな終わり」
泣くわけでもなく、怒るわけでもなく、縋るわけでもなく。
ただ貴方が告げた別れを受け入れる。
静かな、別れ。静かな、終わり。
騒がないから平気な訳じゃない。
泣かないから悲しくない訳じゃない。
明日からはどうやって生きようか、と思う程度には絶望しているけど、それを貴方にぶつける事が正解だとは思えないから。
たから、ただ真摯に、静かに、貴方の言葉を受け止めて、受け入れる。
私が貴方に対して出来る事は、きっともうそれ位しかないのだろうから。
「心の旅路」
人はきっと、生まれてから死ぬまでずっと心の旅路を歩み続けるのだろう。
時には迷ったり、悩んだり、寄り道をしたり、後戻りをしたり。
でも、それでも自身の幸せや生きてきた意味を見出す為に、その命が尽きるまで、ずっと歩み続けるのだろう。
それが、人生だと思う。
「凍てつく鏡」
貴方の心の一部は壊れている。
私は、そんな所も含めて、貴方の全てを愛している。
どうにかしたいと、貴方を救えたら、と思った時もあった。
でも今は、ムリをせずに貴方のままでいいとも思う。
でも、やっぱり貴方も心の底では助けを求めていて。
人を信じたい、でも怖い。
信じたくない、でも信じられない自分に自己嫌悪の感情を抱き。
自分にそんな気持ちを抱かせた人を恨み、罵り。
乗り越えられなかった自分の弱さを責め、落ち込み。
毎日何回もアップダウンを繰り返し、世の中全てを睨む時もあれば、救いを求める目で縋る時もある。
そんな貴方の相手をしていると、正直疲れる。
いくら愛していても、果てしなく疲れる。
壊れた貴方の心は私の心の鏡で、貴方の壊れ方はそのまま私の壊れ方で。
貴方の痛みはそのまま私の痛みで。
凍てついた心を映し合う凍てついた鏡の中で、2人で何処までも凭れ合い、責め合い、許し合い。
私達の出口は何処にあるのだろう?
このまま、ずっとこの合わせ鏡の中を行き来するだけなのは嫌なの。
このままで終わるつもりもないの。
いつか、ここから抜け出したい。
きっと、いつかは、貴方と2人で抜け出してみせる。
そして、この凍てついた鏡を壊してみせる。
「雪明りの夜」
寒い中、残業を終わらせて家路につく。
自宅が近付くと、窓からの明かりがカーテンの隙間から漏れている。
その光が雪に乱反射して雪明りとなり、寒いのに何だか温かい。
気配に気付いたにゃんズ達も、何だかにゃわんにゃわん鳴いてる。時々「ごわ~ん」が混ざるのは御愛嬌。
ただいま、可愛い、大切な子達。
雪明りに照らされた私は、きっと幸せそうに見えると思う。
「祈りを捧げて」
祈りを捧げて叶うのなら、どれだけでも祈ろう。
願うだけでは、思いだけでは、夢も希望も叶わない。
自分が考えて、動いて、努力して。
自分の為の祈りは、そうやって行動を重ねた上に、最後の手段だと思う。
でも、他人の為の、他者の為の祈りは。
ただ祈るしか、願うしか出来ない。
自分が他者に対して出来る事なんてたかが知れている。
ちょっとした援助やアドバイスや協力は出来る。
でも、本当の意味で人は自分でしか自分を救えない。
どれだけ手を差し伸べても相手が受け入れなければ無駄だし、本人がその気にならないと周りがどれだけお膳立てしてもどうにもならない。
そんな時に、人は祈りを捧げるしか出来ない。
祈りにどれだけの力があるのかはわからない。
でも、人の想いはいつかは形になると信じて。
近い未来ではないのかもしれない。
でも、いつかは。
そう信じて、その日の為に祈ることが、その人を助ける一助になれば、それでいいと思う。