いつの日かたどり着くはずのこの『旅路の果てに』は、いまこのときの苦しみをどう振り返るのだろう。まさか、忘れ去っていたりは……するかもしれない。この後に訪れるもっと大きな苦しみに、いまの痛みなど霞んでしまって──なんてこともあり得るのだし。
……ってなことを考えてないで、さぁ早く、この長編小説の続きを書かないといけない。
旅路の果てに至らないこと──それこそが私にとって、最大の苦しみではないのか?
あわよくばなにかを『あなたに届けたい』という欲は否定出来ないこうして文章を綴るのは自分だけの自分に宛てた手紙のような楽しみなのでーなんてそれっぽいことを言ってたとしてもそういう欲があるからこそ生まれるモノがあるのだからそれを否定しちゃいけないそれがどんなにおこがましく独りよがりなモノだとしてもそれでいい許されているのだと思えるからこの『書く習慣』アプリがあってよかったっていう、そういうハナシなのです。今月もこのアカウントの文字列からなにかしらを受け取ってくださったアナタ様へ心からの感謝を。アナタさまに訪れる2月が素敵で素晴らしいものとなりますように!
『I LOVE…』と
繰り返してよ
何度でも
AIになら
ねだれるのにね
「いや、待て。その方向はダメだ、やめてくれっ! ああ、なんてことだ……奴らはまっすぐに、『街へ』向かっているっ!」
旅装の男はその場にがくり、と膝をついた。
上空、晴れた青空を飛び行く、二頭のドラゴンを──彼は、なす術もなく見送るしかない。
彼の生涯で初めて見た二頭のドラゴンは、その赤いウロコの色からひと目で、ファイヤードラゴンだとわかった。
人の二倍ほどの背丈。その大きな翼は広げただけで突風が起こり、木は薙ぎ倒され。口からはその名の由縁、ドラゴンの魔力で編まれた火炎を吐くのだという。
まさに、災厄──そんなモノがいま、あの街へ向かえば。
例年冬が厳しいあの街にも、先日からの大雪は容赦なく降り積もったはずだ。
ドラゴンから逃げるにしても、雪に足を取られてしまう……まぁ、逃げられるだけの余裕があれば、の話だが。
「……なにか。出来ることが、あるはずだ」
絶望を振り払うようにして、旅の男は立ち上がり、街道を急いだ。
☆☆☆
「そこのお兄さ〜ん、旅の人? ウチの串焼き肉は絶品よ〜?」
「いや、あの。ドラゴン、逃げないと、街が……なんでみんな、雪が」
屋台の串焼き屋に声を掛けられ、その場に立ちすくんでいた旅の男は、我に返ったのだが。
しかし、この現実感のない光景に圧倒され、すっかり語彙力を失っている。
息を切らしてたどり着いた街──ドラゴンによって蹂躙されているはずのそこは、多くの人で賑わっていた。
屋台が立ち並び、それはまるで祭りかなにかのようで。
旅の男がフラフラと足を進めれば、街の中央のだだっ広い広場に着き、そして……そこには。
男がこの街に、十数年前に訪れたときには確か、神殿があったはず、だがそんなものは、影も形もなく。
代わりに目に飛び込んできたのは、大きな噴水のある泉。
それから、その泉に体を沈める、赤いウロコのドラゴン、二頭の姿で──。
「あれ? もしかして、ご存知なかった? まぁね、アレを、なんにも知らないで初めて見たんなら、そりゃ驚くわ。アレね〜あの泉、薬湯になってんの」
「……やく、とう?」
「そ! 大量の薬草をブレンドしたモンがあの泉には入ってて、で、今朝まであの泉はカチンコチンに凍ってたんだけど、それをあのドラゴン様方が自分でゴオッと溶かして、それに浸かってるってわけよ〜」
……ゴオッと?
男は、耳を疑った。
「ドラゴン様のおかげで、ここんとこの大雪も、すっかり溶けてね〜。いやぁ今回の大雪はさすがに、雪に慣れてたってキツかったから。いや本当に、いいタイミングだったね!」
確かに雪は、屋根には残っているものの、街の石畳にはかけらもなく……ああ、それはおそらく、あの泉からの地下水路が……。
「それで……何故、このような事態に? ファイヤードラゴン、あれは、飛ぶ厄災のはずで、」
「あー……ね? お兄さん、この話長くなるからさぁ。ウチの串焼き肉、二、三本くらい食べながら聞いたほうが、いいんじゃな〜い?」
言われるがままに、三本分の代金を渡した。
そして、自らで沸かした薬草風呂に浸かるドラゴンから目を離せないまま、着込んでいたマントを脱いで荷にまとめ、そうしてから一本めの串を受け取り──。
その後男は、屋台の主人の話の中で、この顛末の原因となった男の、懐かしくも腹立たしい名前を聞くことになり──それが男の新しい旅の始まりとなるのを、このときの男は、まだ知る由もなかったのだ。
今日のお題も物語その他が思い浮かばぬ…もういいや、何も書かぬより、長い独り言でも綴ってしまえー。
ーーー
それは独りよがりの『優しさ』で本当の優しさではない──?
じゃあなんだよ、本当の優しさって。
もらった相手に都合のいい優しさだけが、本当の優しさ?
独りよがりって、それって──そいつが一人で、一生懸命考えた結果なだけかもしれないのに?
それを頭っから、否定するのか?
なーんて、ね?
実際のところ──要らない優しさは、本っ当に要らない。
優しさって名前でラッピングされたゴミもらったって、こっちはそんなの、捨てるしかないこともあるし?
ぜーんぜん、それでいいと思う。
受け取らない自由は、絶対にあるよ。
……それを踏まえた上で。
そういう、良かれと思って選んだモノを、断られる可能性──感謝されないこともあるのだとわかった上で、自分ではない人間にあげられるヒトってのは、すげーなって思う。
まぁね、全人類にそれをしなくていい、身の回りにいる家族だったり家族じゃなかったりする人間に──この際人間じゃなくても、動物や植物や地球やなんかに、年に一回くらいでもそんなモノを差し出せれば。
それだけで、じゅうぶんにすごいこと、なんじゃないだろうか。
それが例えば、独りよがりのそれで、本当のそれではなかったとしても。
達人級の優しさだけしか必要とされないなんて、なんだかなぁ、って思うし。
下手な優しさだってアリでいいじゃん、ねぇ?
まーでも。
迷惑でしかない下手な優しさは、捨てちゃうんだけどね?
で、それで……捨ててしまう自分、ヤなヤツ! とか、思わなくていいと思う。
大概、多種多様の優しさを受け取りがちなときって、こっちが弱ってるときだったりするし……正直、そんな余裕はないのだ。
そのくらいは、お互い様ってヤツだと思いたい。
歩道を歩く鳩に、進路を譲るために立ち止まったり迂回したりするワタシの、これは『優しさ』でしょうか?
いまのところ、この善意からくる独りよがりな行為を、受け取ってもらったような気配はなく──。
でもまぁ、そんなもんだ。
そして、それでいいのだ、たぶんね。