komaikaya

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2/6/2026, 9:31:58 AM

 あの人のことを想うだけで『溢れる気持ち』を透明なグラスにこぼして、待つこと小一時間。
 一見ただの透明な液体でしかなかったそれが、どういうわけか、透明な上澄みの部分と、重たくて澱んだ部分の二層になっていて──どうして、いつの間にこんなことになってしまっていたのだろう。

 光を通せばきらきらと光る、透明で綺麗な気持ちのまま──この距離のまま、一方的に想うだけでよかったはずなのに。
 現状の関係以上を欲しがって、濁らせたくなんかない、なのに知らぬ間にどんどん濁ってしまうこの恋情を。
 私は一体、どうしたらいいのだろう?

2/5/2026, 9:25:09 AM

 ベッドの枕元に置かれたぬいぐるみ、その手のひらサイズのゴリラは、一枚のカードを抱えていて。

 カードに書かれていたのは、"『Kiss』me "という命令──俺はその指示に従って、ゴリラに口づけをする。

 ぶー、とむくれ顔の、彼女のすぐ目の前で。



「もう! そんな説明いらないって、さっきからわたし、そう言ってるのに!」
「いや、でも俺は、」
「っ、もういい! どうせ言ったってわかんない、なら、もうしゃべんない!」

 俺の仕事のせいで、旅行がキャンセルになってしまって悪かった、それを謝りたかっただけなのだ。

 今回の件は全面的に俺が悪い、彼女が怒るのも当然で、だからこそ、ちゃんと理由を説明した方が、納得してもらえると思ったんだけれど。

 なにか、言い方が悪かったらしい……でも、なにが、どこが?
 俺は、どうしたらいいんだ?

「……ごめん、わかんなくて。でも、じゃあ……どうしたらいい?」
「そんなの、自分で考えてください」
「本当にわかんないんだ、だから言われた通りにする、なんでも言うこと聞くから」
「っっっ、そーゆーのも、ヤなの! 口聞かない、いまからね!」

 そして彼女は本当に、まったく口をきいてくれなくなり……それで少しだけ冷静になった俺は一度出掛けて行って、彼女が好きだと言っていたドーナッツを買って帰った。

 まだソファに膝を抱えて座っていた彼女の前、ローテーブルに買ってきたそれらを並べ、コーヒーを淹れ。
 それでも彼女は口を尖らせたままで、けれど並べたうちからいくつかを選んで、黙ってそれを平らげた。

 よし……とりあえず、俺が横でコーヒーを飲んでいても大丈夫そうだ。

 俺も黙ったままコーヒーを飲み、彼女が選んだのと同じドーナッツに手を伸ばしてみる。が、彼女はなにも言わない。

 やがて彼女はコーヒーを飲み終わって立ち上がり、ベッドルームへと歩いてゆき。
 俺はローテーブルの上を片付けてからそれを追い、すると──例の、"Kiss me "と書かれたカードを持った、ゴリラがいたのだ。



 シングルベッドに寝そべる彼女の、枕元に鎮座するぬいぐるみのゴリラの唇に、俺はそっとキスをする。

 正直、少し迷った。
 どっちにキスするのが正解なんだ? って。

 しかし「なんでも言うこと聞く」と彼女に言ったからには、命令には忠実であるべきだ──というか、少しはウケてくれるかもしれない、だから彼女じゃなくて、ゴリラを選んだのだけれど。

「……あんなふうに、説明なんか、されたら……さぁ? まるで、仕事に理解のないオンナだって、言われてるみたい、じゃない……」

 やっと……口を開いてくれた。
 つまり。ゴリラを選んだのは、正解だった?

「そんなつもりじゃなかったんだ」
「それもわかってる、でもね、こうやって会うのだって久々なのに、さ? なんだかなぁ、って思っちゃった」

 彼女が、ゴリラからカードを取り上げ。
 ベッドの脇で膝立ちになっている俺を、じいっ、と見つめてくる。

「なんでも言うこと聞く、ってのにも、なんかムカついたんだよねー。大体、こんなカードがないとダメなの? わたしは、この子の後なの?」

 っ、しまった。
 しっかり、不正解だった。

 まぁ、でも。
 もらった命令はちゃんと、実行に移さなきゃ……だよ、な?



2/4/2026, 7:54:41 AM

『1000年先も』

人々は

揺らす心を

歌にする

平安の世の

誰かしら

一人くらいは

思ったのかな?

2/3/2026, 7:23:12 AM

ぼくの屍を苗床にして
芽生えた植物がどうか
『勿忘草(わすれなぐさ)』
ではありませんように

ぼくは忘れ去られたい
何も遺したくなどない

そう嘯いたぼくの残骸
そのうちの半分ほどの
本音を曝け出すように
勿忘草が咲きこぼれて

けどそれを見たきみが
二人の日々を思い出す
など絶対ないのだから


2/2/2026, 7:16:20 AM

 どんなに華麗に、そこから降りたとしても。
 お前が蹴り上げたそれは、世の理に則って戻ってくる。
 ほんのひと時でもそれを忘れたならば、お前は──背後からのそれに、強かに体を打たれ。心の底から打ちのめされるだろう。

 そして──それを知る、俺だからこそ。
 いまのお前に、してやれることがあるのだ。


「陽菜、いいかい? 降りるときは完全に止まってから降りるんだ、いいね? これ守ってくれないなら乗っちゃダメ、わかった?」

「パパー、ひな、もういくのっ。『ブランコ』ひとりでのるの、できるのっ」

「それから! 乗ってるときは、ぜーったいに、手を離すんじゃないぞ? ああやっぱり、陽菜にはまだ早いんじゃ……」

「ううー……パパ、きらいっ!」

「え、きらっ……っ、陽菜ぁ〜っ?!」



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