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11/17/2022, 9:29:50 PM

「寒いね。」
そう言って私は少し背の高い彼を見る。

「そうだね。ホントに寒い。」
彼はそう言いながら手を繋いできた。

「こうすれば少しは温かいでしょ。」

付き合いは長い方だけど
手を繋いだことは1、2回程度で
なんだかまだ慣れなくて顔が熱くなった。

そんな私を見て彼は
「照れすぎ笑」なんて言ってたけど。

そんな彼の耳が赤いのは見逃してない。
お互い慣れてないことになんだか安心して
心が暖かくなった。

「そういえば,冬になったら何したい?」
私が彼に聞いた。

「うーん,クリスマス一緒に過ごしたりしたいかな。」
彼が言った。

「いや,当たり前じゃん。一緒に住んでるんだから笑」
私が言うと

「そうだね笑,でも今年のクリスマスは
ちゃんとお店でご飯食べない?」
彼は私に笑いかける。

去年はお互い忙しくて
夜しか会えなかったから少し残念だったんだよね。

「うん!今年の冬はやりたいこと全部やろう」
テンションが高くなった私を見ながら

「うん。最高の冬にしていこうね。」
優しい声で言ってくれる。


冬になったら

こたつでダラっと過ごすのもいいなぁ

雪遊びするのもいいかも

イルミネーション見に行ったり

初詣一緒に行ったり

やりたいこと沢山あるけど

1番の願いは



冬になっても彼と一緒に楽しく過ごすこと





─────『冬になったら』

11/17/2022, 8:40:47 AM

あの日の私,どうかしてた。
あの日の私,心に余裕なかったの
あの日の私,頭がいっぱいになって話しちゃったの。
あの日の私,少しのイライラも許せないくらい
余裕がなかったから。

「ねぇ,いい加減にしてよ!!
何回言ったらわかってくれるの?私と別れて!!」

私たちはあの日,あの言葉で,はなればなれになった。
勢いで伝えた言葉
彼はどんな気持ちで聞いて
別れたかなんて私は知らなかった。


あれから数年たった今日。
彼との共通の友達から連絡が来た。

「ねぇ,あんたの彼氏大丈夫なの?」

「何が?」

何かさっぱり分からない私はそう返すしか無かった。

「何がって冗談で言ってるの?」

「は?どういう事?」
冗談って何?わけがわからない。

「あんたの彼氏...もう長くないんでしょ?」

「はっ?」
もう長くない?どういう事?死ぬって意味?

「それって死ぬってこと?」

「うん,そう聞いたよ。
辛いと思うけど最後まで彼と一緒にいてあげて」

言えない...。もうとっくに別れてるってこと。

「あぁ,うん。じゃあ,また」
そう言って私は電話を切った。


あれから私は,彼に連絡を取って話をすることにした。

彼は病室のベッドにいた。

「あ,久しぶり」
数年ぶりの彼の声は以前と変わらず
優しい声をしていて涙が出そうだった。

「...久しぶり。」

「俺,肺がんになったみたいなんだよね。も
う長くないらしい。
タバコの吸いすぎかなぁ笑」

「...タバコ?」
私と付き合ってた時は吸ってなかったよね?

「そう,君と別れてなんだか全部が嫌になって
吸うようになったんだよね。」

「そうなんだ...。ごめんなさい。
あの日のこと。一方的に別れを告げて。」

「あぁ,もういいよ。その代わりに一緒にいて欲しい。
もう長くないらしいからさ。
後悔したくないじゃん。」

彼の近くにいることを彼が望んでいるなら
そうしたいと思った。


一緒に空を見上げている時

一緒にテレビを見ている時

一緒に笑いあっている時

私,どんな彼も好きだなぁと思った。


数日後彼の体調が急変した。

「俺,今も好きだよ。君のこと。」

優しい目で私を見る彼。
苦しいはずなのに
そんな言葉言わないでよ...。

「そんなの...私も同じ気持ちだよ。」

そんなことを言うと彼は笑って目を閉じた。
もう二度と目を覚ますことはない彼を見て
涙は止まらなかった。

はなればなれしたことを
後悔したのは大切な人を失った時





─────『はなればなれ』

11/16/2022, 6:53:47 AM

「お前って可愛くないよなw」

もうその言葉も彼も忘れていたはずなのに...。

なんで思い出しちゃったの?

その言葉は当時付き合っていた彼からの言葉だった。
彼が浮気していることを知っ私は彼に問い詰めた。

「ねぇ,浮気してるよね?
知ってるよ。なんで?
昨日まで可愛いって好きだよって
言ってくれてたのにあれは嘘だったの?」

「あぁwバレちゃった。浮気してるよw
なんでって仕方なくねw
お前よりもいい女が好きって言ってくれるからに
決まってんじゃんw
てかお前のこと本気で
可愛いとか好きとか思ってなかったからw
この世にお前のこと可愛いって思ってる人いんの?w」

彼はなんの悪いこともしてないように
ヘラヘラ笑いながらそんな言葉を言った。

「なんかごめんw本気に捉えてたんだw
嘘でも可愛いとか好きとか言ってあげた
俺を褒めて欲しいわw」

なんて言葉も言われた。


「別れて。...この部屋から出てって...!」
この言葉を出すことが精一杯だった。

"可愛くない""嘘でも言ってあげた"

彼が好きだからこそ,そんな言葉聞きたくなかった。
いっぱいお洒落して自分に似合うメイクも研究して
精一杯頑張ったはずなのに...。
彼に見合うように努力したはずなのに
私が彼に嘘つかせてたんだ...。


なんて当時あったことを考えていると
また涙が出ていた。

「あーぁ。猫になりたい。
大人の猫じゃなくて子猫になりたい。」

だって世界中の人が子猫を可愛がるでしょ。
お洒落しなくてもメイクしなくても
愛されて可愛がられて世の中不平等。


メイクしても可愛くならない私はどうしたらいいの?

なんのために生きていけばいいの?

「...もう死にたい。」

でも死ねない。
自分で命を絶つことが怖くて,
さらに自分が嫌になる。

自分で命を絶つその勇気が出るまで生きてみよう
自分の命の猶予期間をつくる
そのときまでに理想の自分に会えることを思って





─────『子猫』

11/15/2022, 4:30:36 AM

そういえば一緒に住み始めてから
彼と待ち合わせしてデートする事って無くなったなぁ...なんて洗濯の待ち時間で思う。


「ねぇ,明日デート行かない?
ダメかな?待ち合わせして夕方デートしよ。」

「うん,いいよ。じゃあ夕方図書館で待ち合わせよう。」

私の提案にからは快くいいよと返事をしてくれた。
明日のことを考えていると,
いつもはめんどくさいめんどくさいと思うことが
今日はなんだかめんどくさいと思わなくて
ずっと口角が下がらなかった。

夜は,早く明日が来るように

いつもより早く寝ようとすると彼から

「楽しみにしすぎ笑」と笑われてしまった。

「だって久しぶりのデートだよ?
楽しみにしてくれてないの?」

楽しみにしてるのが私だけだと感じて私は彼に言った。

「そんなことない。俺も楽しみ。
君にもっと惚れて貰えるようにオシャレするね。」

なんて優しい言葉をかけてくれる。
もう十分惚れてるのに...

「今日は,俺も早く寝ようかな」
そんなことを言って一緒に朝を迎えた。


「おはよう。今日のデート忘れないでね。
いってらっしゃい。」
「おはよう。忘れるわけないでしょ笑,いってきます。」

朝早くから予定があった彼を見送ってから
私は今日のデートの準備をする。

まず,お皿洗いと掃除,洗濯回さないと...。
今日は待ち時間でデートの服装を決めた。
メイクも服装も髪型も普段より気合いを入れて
「よし,いい感じかな。」
全身鏡で変じゃないかを確認してた。


「いってきます!」
誰もいない部屋に言葉を発する。
こころなしかいつもより足取りが軽かった。

私を横を通る風はもうすっかり秋風を感じさせた。
涼しく冷たい風は私の手を冷やしている。


集合場所の図書館に着いて彼を探す。

「あっ,いた。」
私より先に来ていたようで彼は本を読んでいた。
彼は,普段よりもカッコイイ格好をしていて輝いているように見えた。

「ちょっと笑,来てたなら声掛けてよ。」

「あっ,ごめん。めっちゃ似合ってる,かっこよすぎて見惚れてた笑」

「なんだよそれ笑,そっちこそ似合ってる。
俺とのデートのためにオシャレにしてるの嬉しい。」

そんな会話をしながら外に出ると
彼は,何も言わずに私の手を取った。

「冷たっ。外冷えたもんね。」彼は言う

「いつもは家から手繋いでたからわかんなかったんだ。もうこんなに寒かったんだね。」私が言うと

「これからは俺がずっと手繋いでてあげる。絶対に離さないから。」
優しく私の顔を見て微笑む彼は
いつも私をドキドキさせる。

私は彼といるとさっきまでの秋風が
嘘のように温かく感じるみたい。
幸せを感じながら
今日も彼の隣を歩いていく。





─────『秋風』

11/14/2022, 3:41:39 AM

いつものように,窓の外を見ていると

「たまには外に出て散歩してみるのも
いいと思いますよ。」

看護師さんが私に向けて言ってきた。

「そうですね。久しぶりに外に出てきます。」

私は今,階段から足を滑らせて骨折してしまい,
入院生活を送っている。

車椅子を久しぶりに漕いでいるため,
少し疲れてしまった。

木の下で少し休憩してから,病室に戻ろう。

そう考えて私は木の影に向かって車椅子を進めた。

日が昇っているのに少し寒い。
もうとっくに冬が始まっているような気がした。
外の空気にワクワクしていてブランケットを
持って来ていなかった。
まだ秋らしいがもう十分外は寒くなっていた。

"ブランケット持ってこればよかった"

と少し後悔をしていた私に

「大丈夫ですか?」
と斜め後ろから優しそうな声がした。

「えっ」
私は驚いてその言葉に答えることが出来なかった。

「あっ,ごめんなさい。突然声掛けて」
申し訳なさそな声に

「あぁ,全然大丈夫です。...なにか私に用ですか?」
私は言う。

「いえ,寒そうにしているように見えて声掛けました。
良かったら上着使ってください。」

彼は自分の上着を貸してくれた。

「そんなのあなたが寒くなっちゃうじゃないですか。」私は慌てて言った。

「大丈夫です。その代わりにお話しませんか?」
私は申し訳ないと思いながら頷いた。


彼は今日,友達のお見舞いに来ていたらしい。

私と彼は同い年だった。

好きなアーティスト,趣味が同じで他にも好きなものが共通していて,仲良くなるのに時間がかからなかった。
好きな物の話が盛り上がり過ぎて
時間が経つのが早く感じた。

「もうこんなに話しちゃったね。」私が言う。

「ほんとだ...また話そう。ここで。」彼は言った。
そんな彼の言葉に頷きながら病室に帰ることにした。

何日も彼とあの場所で話した。
彼のと会話は
いつも面白くて魅力的で
いつも引き込まれるように聞いていた。
私はいつの間にか彼を好きになっていたみたい。

でもそれも今日で終わり。

私は今日で退院することになっている。

今日も彼と話す予定を立てていた。

その時に退院することを伝えよう。

そう思っていてもで退院することが伝えられない。
彼との関係が終わってしまうから。

帰り際,私は彼に

「...また会いましょう。」と
目に涙を浮かべて言った。

彼の顔は見れなかったけどしっかり言えた。

彼にはっきりサヨナラといえなかったけど,
それで良かったと私は思った。

またどこかで出会えると信じているから。





─────『また会いましょう』

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