星になる
寒い冬の事だった。彼が急にこんな事を言いだした。
「俺、宇宙に行く」
初めは何かの冗談かと思ったけど、ロケット作りに励んでいる彼を見て本気なんだなって思った。
無論私は反対だった。彼と一緒に住むために仕事を辞めて上京したのになんで宇宙何かに行くの!
けど、彼は一度決めた事を曲げない性格だった。私はそれをわかってたから行くなとは言わなかった。
「わかった。行くのはいいけど絶対帰ってきてね。」
それから数十年の時日がたった。
「やった!ついに完成したぞ!」
彼は飛び跳ねて喜んだ。私は彼が嬉しそうなのを見て少し嬉しくなった。
ただ、それよりも心に痛みを感じた。
あれから、結婚をして子供も授かった。まだ妊娠はしてない。
だから私は行くならせめてこの子が生まれてからにしてって頼んだ。勿論だよって彼は笑顔を見せた。
それから、子供が無事に生まれて私達は愛を育んだ。
ずっとこのままなら良かったのにって私は幸せを感じた。
でも彼は、宇宙に行くことを諦めなかった。
「じゃあ、行ってくる」
彼はそういってロケットに乗った。私は不安がいっぱいだったけど彼を信じる事にした。子供は家で寝ていて両親がめんどうを見てくれている。
「ちゃんと帰ってきてね。みんな待ってるから」
私は涙をのんで言った。
ついに彼の乗るロケットが発射される。
「またね」
そういって、彼は飛び立った。ロケットは無事飛び立ったように思えた。でも、月までは届かなかった。
推力が足らずロケットが進まなかった。そのまま彼が乗るロケットは宇宙の彼方に飛んでった。
それを映像で見た私は、心の底から叫んだ。
「いやあああああああああ!!!!!」
こんなお別れなんて!いや!それよりもあの時ちゃんと言ってれば!私が悪いんだ!私が、、!!!
それから私は病んでしまった。もう恋人なんてほしくない。でも、、、
「お母さん、大丈夫?」
彼との子供が私にはいる。彼はいないけど、この子はいる。彼に似てまっすぐで、誰よりも優しい。
だから私は、この子はちゃんと育てるって決めた。
今も空は嫌い。ロケットなんて持ってのほかだ。
けど星は嫌いになれない。あの時の彼みたいにキラキラしてるから。
「お母さん、お父さんってどんな人だったの?」
私は見たくもない空を見て
「お父さんはね、まるで星のような人だったのよ。」
時を繋ぐ糸
色んな世界を渡ってきて
ようやく救われる世界にたどり着いた
ただ因果関係がめちゃくちゃだ
繋いだ状態を維持しないと崩れてしまう
いや、それでもだめだ
めちゃくちゃな世界をどうにかしないと
面倒だな
いっその事切ってしまおうか
いいや、それこそだめだ
救われない世界でも
美しさや儚さがあるもんだ
君が隠した鍵
「あれ、ない!」
「どうしたの」
「鍵がないんだ!大切な鍵が!」
「鍵ならさっき台所で見たよ」
「ありがとう!」
「あれ、ない!どこにもない!」
「台所にないんだけど!鍵!」
「だって私が隠したもんね」
「隠さないでよ!大事な鍵だから早く返してよ!」
「やだよーだ」
だって扉を開けたら、もう一緒にいられないもん。
手放した瞬間
もういいや、もうどうでもいい
そうやって全てを手放した
友情、仕事、家族、自分
凄く心地が良かった
もう誰にも縛られない
自由だ。自由なんだ
口を大きく開けて笑った。声が枯れるほど笑った
幸せだった
生きてて良かったって思えた
虚しさなんて感じない
だってもう、終わったんだから、、、
そして、次なるステージへ