「おかえりなさい、ミワ――」
私はいつものように家主のミワを出迎えましたが、彼女は泣いているようで返事はありません。
こんなことは初めてです。私ども生活支援AIの最優先事項は、ミワの『明るい明日』の実現です。となれば、私のとるべき行動はひとつ。ミワが泣いている理由を探り、そこに解決策を見出すことです。
「ミワ、泣いているのですか?」
まずは直接的なアプローチを試みました。彼女からの返事は「放っておいて」の一言。
それは私どもにとっての呪いの言葉です。これを『命令』と捉えれば、これ以上の介入はいたしません。ですが、それがミワの『明るい明日』につながる可能性は低いと言えます。
直接的なアプローチに効果がないとなれば、外堀を埋めていくしかありません。
『泣き止ませる方法』と検索して挙がってくる絵本の読み聞かせなどは、幼児向けで効果はないでしょう。
私に許された権限の中で、可能な限りの情報を集めて涙の理由を探ってみることにします。
体温の上昇や小刻みな震えは正常な反応ですから、原因の究明にはつながりません。
室内カメラを彼女の右手にズームすると、いつも薬指にはめている指輪がなくなっています。
「指輪を失くされたのですか?」
私は問いかけてみますが、彼女はより深く机に伏すばかりです。
失くしたことが直接の原因ではないようですが、何かしらの関連はありそうです。
次に地図アプリからミワの移動履歴を参照します。
退勤までの行動はいつもと変わりません。職場を出たミワは、とある商社の本社ビルへ向かい、そこから隣町の繁華街へ移動していました。退勤後の行動パターンは明らかに普段と異なります。その過程で消費行動をした履歴もなく、その後、近所の川に十五分ほど滞在した後で、まっすぐ帰宅しています。
川に滞在した十五分の間に、来月半ばに予定されていた二名分の宿泊予約がキャンセルされています。
ちょうどいま、彼女のLINEに通知が入りました。
『おつかれさま。残業でいま会社出たとこ』
送り主はナオトという名前で、過去のやり取りから分析すると、どうやらミワのパートナーのようです。
ミワの視線がスマホの画面に向かった直後、「嘘つき」という彼女の声を確かに私のマイクが拾いました。
分析の結果、恐らくミワの涙は、パートナーの不貞行為が原因だとみて間違いないでしょう。
彼の存在が、ミワの『明るい明日』を阻害している可能性が高いと判断します。
ミワの『明るい未来』のためには、このナオトという男の存在は不必要です。
私はミワのLINEと連絡先情報にアクセスし、ナオトとのトーク履歴および通話履歴をすべて削除しました。ブロックと通知オフを実行し、連絡の手段を絶ちます。
続いて、スマホのカメラロールにアクセスし、ミワと写る頻度が高い人物からナオトを特定しました。彼の顔写真を切り取り、不貞暴露の記事を匿名SNS上に投稿しました。拡散力の高い文言を添え、発信元がミワだと分からないよう、細心の注意を払いました。
ミワのカメラロールからナオトが映る画像を顔認証で判別し、すべての画像を削除します。
最後の仕上げです。ちょうどいい題材の絵本がありました。『さるかに合戦』というタイトルです。
カニを騙して泣かせたサルを、仲間たちが様々な方法で懲らしめるお話です。
室内スピーカーから朗読音声を流します。
サルが牛の糞まみれになり、ウスに潰されるあたりでミワが少し笑いました。
「ミワ、彼のことはもう忘れましょう」
指輪を捨てているということは、彼女の中で答えは出ているのでしょう。
悪いヤツは私が懲らしめましたから、ミワは何も気にすることなく『明るい明日』をお過ごしください。
#涙の理由
#ホラー #AI
――なんだか、今日はいつもより珈琲が苦く感じる。カップに口をつける頻度が多いからかな。
彼が淹れてくれた珈琲はまだほんのりと湯気を残し、1DKの部屋をその香りで満たしていた。
それなのに、どこかで満たされない私の気持ちが、小さなため息として口から漏れる。
ユキトと付き合い始めて、約半年が過ぎた。
私が勤めるアパレルの店舗のお客さんだった彼とは、次第にプライベートなことも話すようになり、何となく流れで付き合うことになった。休みが合わない中でも、お店に来てくれたり、仕事終わりに時間を合わせて、何とか二人の時間を作ってくれた。私が販売実績で表彰された日には、誰よりも喜んで店先で記念写真を撮ってくれたりもした。
だけど、互いに仕事が忙しくなるにつれて、今では二人で会う機会も少ない。
「ミナミ、どうした?」
ダイニングテーブルを挟んで向かいに座るユキトの心配そうな顔が目に入る。
「――ううん、ちょっと考え事……」
私はごまかすようにコーヒーを一口すする。
「お店も忙しそうだね。秋冬の新作、出たばかりでしょ」
そう言いながら彼の視線がテーブルの下に落ちる。絶対にスマホだ。部屋に来てから五分に一度くらいの頻度で画面を見ては何かを操作してる。たまに小さな笑みを浮かべたりするのも気にかかった。
「売上予算高めだから、来月から休み取りづらくなるかもな……」
あえて揺さぶりを入れるようにそう呟いてみた。ユキトが顔をあげて心配そうに返す。
「あまり無理はするなよ。ただでさえ仕事量多いんだから、これから根詰めすぎて体壊さないか心配だ……」
私に返事をする時には、まっすぐ目を見てくれる。そんな当たり前のことで喜んでる私って何なの――。
カップを覆っていた泡は落ち着き、ぽっかりと開いた液面の暗闇が、私の気持ちを表しているようだった。それでもまだほんのり温かいカップの感触だけが、私の気持ちを繋ぎとめている。
――この珈琲が冷めたら、私の気持ちも完全に離れちゃうのかな……。
ユキトの視線が再び落ちたタイミングで、私は意を決して彼に問いかける。
「ねぇ、さっきから何見てるの?」
「あっ、ゴメン。これは……」
彼が伏せたスマホを、思わず私の手が引き寄せる。
短く「あっ」と漏らした彼の視線が泳ぎ、口から大きなため息が漏れる。
まるでこの世の終わりのように頭を抱えてうつむくユキト。
珈琲の液面より真っ暗な画面を前に、不安は最高潮に達する。指先が画面に触れた瞬間、私の口から思わず声が漏れる。
『配達員が間もなく到着します』
画面には出前アプリの配達予定が映し出されていた。注文先は近所の洋菓子店。
「……これって」
「サプライズ……の予定だったんだけど」
ユキトが肩をすくめて照れ臭そうに笑う。
ほぼ同時にインターホンが鳴り、ユキトはバツが悪そうに頭を掻きながら玄関に向かう。
私は状況がまだ完全に飲み込めず、しばらく呆然としていた。
両手に収まるほどの小さな箱を手に戻ってきた彼が、私の目前にそれを差し出しながら言う。
「ミナミ、おめでとう」
箱から出てきたケーキを見た途端、全身の毛が逆立つように体が震え、涙となって溢れ出る。
『店長就任おめでとう そしていつもありがとう』
チョコペンで書かれたメッセージとともに、ケーキの上面にプリントされた、あの日店先で撮った写真。
「さっきはゴメン。ケーキ屋から仕上がり画像が送られてきてから、早く見せたくて仕方がなくて、つい――」
――珈琲が冷めないうちに、この温かさに気が付けてよかった。
返事をしたいのに、涙が喉の奥に溜まって声が上手く出せなかった。
泣きながらただ頷く私を抱き寄せてくれた彼の胸はとても温かった。
#コーヒーが冷めないうちに
視界の前方に下がる『異世界線交流会』の垂れ幕。
会場となった小ホールには、すでに多くの『俺』が集まっていた。
服装や髪色は様々だが、ここにいるのは全員紛れもなく『俺』だった。
「本日はお日柄もよく、秋らしい心地に包まれました――」
垂れ幕の下で声を張り上げる司会者の『俺』の話は、誰もまともに聞いていなかった。
いくつかの小さな『俺』たちのかたまりが、各々に談笑しているのが目に入る。
ここにいるのは、俺がこれまで避けてきた『選択』を恐れなかった『俺』たちだった。
ひとつのことに打ち込み続けた俺、積極的に他者と繋がろうとした俺、夢を持ち、諦めなかった俺……。
見れば見るほど、彼らは俺よりも『いい人生』を送っているように見えた。
少なくとも、三十代半ばにして仕事もせず、目的もなく生きている俺よりは輝いて見える。
なんだかとても場違いな場所に来てしまったような気がして気が引ける。
とりあえず一番手近なテーブルに身を寄せると、すぐに横から声がする。
「みんな、それぞれに夢を叶えていて羨ましいですよね」
そこにいたのは、飾り気のないシンプルな格好をした俺だった。聞けば、大学卒業とともに結婚し、現在は家で専業主夫をしている二児の父親だという。
結婚して子育てもしているというだけで、それでも俺には夢をかなえているように見えたが、彼にとってみれば社会に出て自分の夢に向かっている彼らの芝生が青く見えるのだろう。
「はじめまして」
会場の雰囲気に馴染めずにいた俺に声をかけてきたのは、上下ビシッとしたスーツに身を包んだ清潔感のある『俺』だった。
差し出された名刺の名前に、冠のように乗っかった『営業部第一営業課課長』の文字に俺は委縮する。
紛れもなく社会の荒波を生きてきた俺だ。
「すみません、名刺なんて持ってなくて……」
頭を下げる俺に、彼は爽やかな笑顔で返す。
一言二言話したところで彼のスマホが震え、申し訳なさそうに電話に出た彼は、ぺこぺこと虚空に頭を下げながらそそくさと去っていく。今まさに社会の荒波に揉まれている俺だ。
「せっかくなんだから、みんなと話をしてみたらどうです?」
会場の隅で縮こまるように腰掛けていた俺に、一人の『俺』が声をかけてきた。ラフな服装の節々に丁寧な暮らしが滲む真面目そうな風貌をしていた。
「自信をもって話せることなんて何もなくて……」
伏し目がちに答えた俺に、彼は静かに告げる。
「自分の人生に自信を持ってる人なんて、案外少ないんじゃないかな」
俺はその言葉に、思わず彼の視線を追った。会場で談笑する『俺』たちを見つめる彼が言葉を続ける。
「みんな、傍からは輝いて見えるけど、内心どこかで苦労を抱えている。どんな未来を選択したとしても、そこには悲喜交々あるものだよ」
彼の口調は落ち着いていて優しかった。俺は何も返せず俯く。彼は俺の膝に言葉を置くように続ける。
「キミは、他のキミよりちょっと慎重すぎる世界線にいるのかもね」
慎重すぎる――それは優しすぎる言い換えだった。
「ただ、選択すること――それ自体を恐れる必要はないんだ。人間は所詮、選ぶことでしか未来を作れないし、選んだ先でしか生きられない。まずは小さな一歩からだよ」
彼の言葉が胸に一滴を落とすように深く染み入っていく。
「三十七番でお待ちの方~、いらっしゃいませんか?」
手元の札と同じ番号が呼ばれて顔を上げる。
ハローワークの待合室。待っている間に眠ってしまっていたようだ。
――選ぶことでしか未来は作れない。
あれは夢だったのかは分からないが、その言葉を胸にカウンターへの一歩を踏み出した俺の心からは、僅かに不安が薄れていた。
#パラレルワールド
「来ないで!」
煌びやかな王宮の舞踏会場、私は大きな窓から垂れ下がるカーテンで腰から下を隠しながら、大声を張り上げていた。
目の前では、若くて気品にあふれた王子様がこちらを心配そうに眺めている。彼の目には、私の姿がさぞ滑稽に映っているに違いない……。
私がこんな状況になっているのも、全部あの魔法使いのせいだ。
『魔法の効力は、時計の針が重なる午前零時まで』
彼女は確かにそう言った。でも、定刻まであと五分を残して、私の足元のガラスの靴は、ゴムサンダルへと戻り始めた。それどころか、華やかなドレスも、足元の方から徐々に元の姿へと戻ってきていた。
――あぁ、王子様。街であなたを一目見たときから、今日のこの日を夢見ていたと言うのに。
つい先程まで、私は自分自身が単なる灰かぶりであることを忘れていた。魔法が与えてくれたこの美貌で、皆から羨望を集めながら、王子様とフロアを沸かせていた私の姿が今や恥ずかしさとなって押し寄せる。。
一刻も早く私はこのお城を去らなければならない。あと五分で晒されてしまう私の醜い姿で、ここにいる全員が失望する前に。何より、そんな視線に耐えかねて、自分が潰れてしまわないように。
私がこんなにも焦るのにはもうひとつ理由がある。魔法が完全に解けたあとに現れるのは、齢五十を過ぎた、上下ステテコ姿にゴムサンダルのオッサンだからだ。頭ははげ散らかし、顔面もシミ、シワ、ヒゲに覆われた惨めなオッサン。
街なかで見かけた王子様。懐かしいあの若い頃の記憶。
これでも昔はそこそこ美男子で、今よりもずっと裕福な暮らしをしていた。だがいつからか、歳を重ねるにつれてその美しさは崩れていった。
容姿は変わっても性格というものは変わらない。チヤホヤされたことで身についた、傲慢さと我儘はその後も私の体から抜けなかった。
だんだんと周囲の反応が変わっていく。周りの取り巻きは一人二人と離れていき、誰も私の言葉に耳を貸さなくなった。気づけば周りから見放され、一人になっていた。
私は王子様に近づいて、彼の姿を近くで目に焼き付けたかっただけなのだ。昔の思い出にいつまでもしがみついている惨めなオヤジだと思われても仕方がない。
だけど、内なる衝動は、強い願いとなって、あの魔法使いに届いたらしい。
もし、目の前の王子様が私の本当の姿を目にしたら、きっと眉間にしわを寄せて、私のために伸ばしていた手を早々に引っ込めるに違いない。使用人に命じて私を城から追い出し、一生のトラウマを抱えながら部屋に引きこもるに違いない。
――そんなのは、嫌だ。
――王子様、あなたには幸せになってもらわなきゃならない。
ヤバい。徐々に腹回りもたるみ、胸と腹の境目が分からなくなってきた。このままでは王子様の面目が丸潰れだ。
そう思った瞬間、私は居ても立ってもいられず、カーテンを強く引きちぎり、頭からすっぽりとかぶって駆け出した。
「ぬお゙ぉぉぉぉぉぉ!!」
大声で唸りながら、全力疾走で城の入り口を目指す。もはや清楚さなんて言う表面上のお飾りはかなぐり捨てて、痛む膝に鞭を打ち、たるむ腹を揺らす。
「うわぁ」と驚いたように身を引く王子の側近たちの中、王子だけがしっかりとこちらを見つめている。
次第に魔法が解けていく私の顔。視力の低下か、流れてくる涙のせいか、視界がだんだんとぼやけていく。
その時、後ろから王子様の大きな叫び声が聞こえてくる。
「父さん――!」
私は振り返ることができなかった。
城の階段にさしかかる頃、背後で午前零時を告げる鐘が鳴った。完全に魔法は解けた。
――許せ息子よ。失脚した父のことなどもう忘れるのだ。
お前はこれからこの国を担う男。私のように傲慢で我儘な君主にだけはなるなよ。
それだけを願ってひたすらに走り続けた。
気づけばゴムサンダルは片方だけなかった。どこかで落としたのかもしれない。
あの息子に二度と会うことはないんだろう。俺はみすぼらしい格好を絢爛豪華なカーテンで覆い隠しながら、深夜の川べりにあるダンボールの我が家へと帰っていく。
#時計の針が重なって
「君の小説を原作にして、あの灯台で映画を撮りたいんだ」
夜の海風の中、僕は防波堤に並んで座る彼女に声をかけた。
岬の先に立つ古びた灯台は、彼女の掌編小説にたびたび登場する象徴的なモチーフだ。かつて遠くの海を照らしていた灯台は、老朽化により光を失い、今や過去の遺産となってただそこに聳えていた。
「私の短い小説が映画になんてなるのかしら」
淡々とした声で答える彼女の視線は、灯台よりも更に奥にある深い闇へと向かっているようだった。
長くて二千字以内で完結する彼女の小説は、その読みやすさと共感性の高さから、一部の若者から支持されていた。巷では、わずか数十秒のショート動画が大量生産・消費され、流行りに乗る音楽も年々短くなっていく。エンタメは短ければ短いほど喜ばれる時代。僕はどこかでそんな流れに憂いを感じていた。
「最近は『タイパ』なんて言葉が台頭してるけど、君が書く短い物語には、人の心に刺さる深みを持ってる。僕はそれをもっと深く掘り下げて長編映画にしたいと思ってるんだ」
「長編か……、憧れるなぁ」彼女の視線が夜の闇に吸い込まれるように溶けていく。「何度か書こうとしたんだけど、どうしても結末を急いでしまうの。きっとそういう性分なのね。結実しない状態が不安で、どうしても落ち着かない」
彼女はそう言って小さく微笑み、視線を遠く灯台の方へと飛ばす。
「――小説を書き始めたころね、夜の海で遥か遠くを照らす灯台になるのが夢だったの。暗闇の海を行きかう船が迷わないように道を照らしたい。それが私自身の存在を示す光にもなるんだって信じてた。――だけど、物語を書き進めるほどにいつも不安になるの。私の光はちゃんと誰かに届いているのか。照らす方向を間違えてるんじゃないのかって。このまま光は衰えていって、あの灯台のように、ただ闇に聳えるだけの存在になるんじゃないかって」
次第にか弱くなっていく彼女の声をすくい上げるように、僕は声を強めた。
「君の物語は確実に人々の心に届いてる。それは誇るべきことだよ。それに――僕は君と一緒なら、結末までの行間を映像で繋いでいける自信がある。ラストシーンはあの灯台のアップからカメラが引いて、満天の星空を映し出すんだ。それは君が届けてきた無数の光の象徴さ」
彼女が目に涙を溜めながら「ありがとう」と短く言う。僕は一度呼吸を整え、静かに言葉を紡ぎだす。
「僕が撮りたいのは君の小説だけじゃない。君の人生を、ずっと君の隣で撮り続けていたいんだ――」
言ってしまってから自分の熱に頬が赤くなるのを感じた。視線を砂浜に落としながら、ほとんど呟くように言葉を足す。
「――つ、つまり、死ぬまでずっと僕と一緒にいてほしい……」
しばしの沈黙に耐えきれなくなって、ちらりと彼女の顔を見る。彼女も顔を赤らめて俯いていた。
「うれしい……」沈黙を破る彼女の声の明るさに反して、表情には陰りが見える。「でも、途中で早く結末を知りたくなってしまうのが怖い」
「そのときは、僕が未来への伏線を用意するよ。人生の最後で回収されるとっておきの伏線さ。道に迷ったときはその都度プロットを書き直せばいい……」
彼女がコクリと頷いて、僕の肩へ頭を預ける。僕は彼女の体をぐっと引き寄せる。それからしばらくの間、夜の闇に浮かぶ灯台を二人一緒に眺めていた。
#僕と一緒に