まるで人がいなくなったかのような、静か過ぎる深夜の住宅街。
家の灯りは当然点いておらず、街灯しか灯っていない。
ふう……今日も残業で疲れた。
帰ったら、ゆっくり湯船に浸かろう。
帰宅後のことを考えながら歩いていると、あっという間に我が家に到着。
我が家だけ、灯りが点いている。
「ただいまー」
「おかえり〜。今日もお疲れさま」
家の中に入ると、すぐに妻が出迎えてくれた。
帰りが遅くても、こうして出迎えてくれると心が温かくなる。
でも、遅い時間まで俺を待っている妻に申し訳なく思う。
「俺が帰ってくるのを待たずに寝てくれたらいいのに」
そう言うと、妻は「ふふっ」と微笑む。
「帰ってきて誰かが出迎えてくれたら嬉しいでしょ?」
「あ、ああ……そうだな……嬉しい」
「あなたがそう思ってくれてるから、私は苦じゃないよ」
うーむ……可愛いじゃないか。
そう言われると、早く寝ろと言えなくなる。
「それに、家の灯りは消さずに点けておきたいからね」
「どうしてだ?」
「家が暗いと気持ちも暗くなっちゃうでしょ?だから明るくしておきたいの」
確かに、妻の言う通り、家が明るいと気持ちがほっとする。
待ってくれている妻に感謝しないとな。
「そっか……いつもありがとな」
「あなたもいつも遅くまで仕事お疲れさま」
妻からも感謝され、更に心が温かくなる。
家の灯りが点いているか点いていないかの違いで、こんなにも違うのだと、改めて思った。
夜の街をキラキラと光輝かせているイルミネーション。
昔はこんなに街が明るかったのか。
数分間じーっと見てしまうほど、数百年前の写真に魅了されてしまう。
それに比べて、今の街は……。
どれも同じ形と色の建物、夜は薄暗く、見ててもすぐに飽きてしまう。
資源節約のためだと、政府からの命令でこうなったらしい。
こんなキラキラしてない街並み、楽しくないな……。
おっと、あまり感情を出すとロボット警察官に職質されてしまう。
急いで、無感情モードに切り替える。
写真を体内へしまい、我々人型アンドロイドが働く、機械工場へ向かった。
パパがこっそり書いていた手紙をママに見せたら、次の日からパパとママはケンカばかりするようになった。
いったいなにが書いていたんだろう?
今日も、パパとママはケンカしている。
……手紙をママに見せなきゃよかった。
おこっている声が、家中にひびく。
わたしは聞こえないように耳をふせぐしかできなかった。
思わずブルっと身体が震えてしまうほどの冷たい風。
まだ薄い長袖で大丈夫だと思ったのに、一気に気温が下がって寒い。
仕事の帰りに商店街を歩いていると、店にはクリスマスの飾り、通りにはイルミネーションがキラキラと光っている。
もう……冬なんだな。
つい最近まで夏だったのに。
歳を重ねるたび、時間が経つのが早くなっている気がする。
ヒュ〜っと、後ろから冷たい風が吹く。
まるで、「もう冬だよ!」と言いながら駆け抜けていく、元気いっぱいな子供のような風だった。
遊具が月の光に照らされている夜の公園。
彼女に呼び出され、来たのはいいが……。
最近付き合い始めた別の彼女と連絡がつかない。
遅くても一時間で返事が来るのに、もう二時間経つ。
どうしたのだろう?
さっさと用事を済ませて、家に行ってみるか。
……この際だ。前の彼女に別れ話をしてさっさと別れよう。
「こ〜んばんは♪」
噂をすれば、彼女が現れた。
なぜか、ニコニコ笑っている。
「どうしたんだよ。こんな夜に」
「はい!これ!私からのプレゼント♪」
彼女に手渡されたのは白い箱。
プレゼント?俺の誕生日はまだ先だが……。
箱を開けると、中にブレスレット、時計、香水が入っていた。
どれも、俺が新しい彼女にあげた物だ。
なんで……こいつが持ってる……?
「うふふ♪面白い顔してる♪私に隠れて、あんな女と会っていたんだね。私だけを愛してるって言ってたのに」
「お前、あいつに会ったのか。てか、なんであいつの物がここに……あ」
暗くて気づかなかったが、こいつの服に……血のような赤い何かが、数カ所付いている。
「お前、まさか――」
「しね。裏切り者」
ニコニコしていた顔から、真顔へと変わる。
赤く染まったナイフが、俺の心臓に向かって――。
最後に聞こえたのは、泣き声だった。