僕は色盲だから、見える色が限られている。
みんなとは違う世界が見えている。
幼稚園の頃、お絵描きをしていたら、色が違うと先生から指摘された。
それからは、僕の見えている色じゃなくて、みんなが見ている色に合わせるようになった。
みんながこの色を使っているから、という理由で、同じ色で塗ったり。
だから、僕の目には、全てがちぐはぐに見えた。
服の色も分からないから、なるべく、白と黒の服を着るようになった。
個性がないと言われることも多かった。
そんな、ちぐはぐな世界を生きる僕に、みんなが見ている景色を見る機会があった。
感動動画などで見る、色盲を治すメガネは高価で買えない。
だから、持っている人に試しに貸してもらっただけなのだ。
それでも、僕はその一瞬だけ、カラフルな世界を見た。
そして、みんなと同じだった。
一瞬だけ。そう、僕の人生の中で一瞬だけ。
でも、どうにも落ち着かなかった。
当たり前だ、急にカラフルな世界に行ったんだ。
僕はカラフルな世界に着いていけない。
だから、これからも僕は、ちぐはぐな世界に生きていく。
僕は死んだら、アダムとイブのような楽園に行けると思っていた。
そう、幼い頃は。
今の僕は何を考えても目の色が変わらない。
早く死んでしまいたい。
そして、魂は消えてしまいたい。
そんなことしか考えていない。
死んでまで、楽園で魂が生き続けるなんてごめんだ。
幼い頃の僕は、夢と希望に溢れていたから、楽園だとか、天国だとか、そういった事にも夢を抱いていただけなんだ。
今の僕は、希望は潰え、夢も失い、どん底にいる。
うつ病だとか、そんなんじゃない。
周りはみんな、僕を精神科に連れていこうとするけれど。
うつ病の人は、もっと大変なはずなんだ。
だから、僕はその人たちと同じ立場になってはいけない。
でも、僕が存在している意味なんかない。
楽園なんか絵空事。
このまま綺麗さっぱり消えてしまいたい。
君が引っ越してから1ヶ月が経った。
僕はまだ君がいない生活に慣れないよ。
君が引っ越してからも、僕の生活リズムは変わらなかった。
君と同じ時間に登校できるように、いつもと同じ時間に準備をする。
君と音楽室で昼ごはんを食べるために、昼休みになったら弁当を持って音楽室に行く。
放課後は、図書委員の君に会いに、図書室へ。
そのまま、最終下校時間まで図書館で勉強をして、君と一緒に帰る。
全部、隣には君がいたのに。
同じリズムで生活しても、もう隣に君はいない。
君が隣にいないことには、全然慣れない。
僕の心の中は、ぽっかりと大きな穴が空いてしまった。
君がいた時と同じ行動をしているのは、その穴を誤魔化すため。
願っても許されるのならば、君に会いたいと願いたい。
僕の想いよ、風に乗って君に届け。
貴女のために剣を振るった。
そんな貴女はもういない。
私と貴女が交われたのは、ほんの一瞬。
貴女は僕にこう言ってくれた。
「私を一生守ってね」
でも。
彼女の最期は突然訪れた。
彼女はこの国の王。
王がいないと、国は廃れていく。
だから、民たちにとって、彼女はかけがえのないもののはずだった。
だが、政治の全ての問題は王である彼女に押し付けられていたために、彼女を批判するものは少なからず存在していた。
そんな批判的な民が、彼女を殺し、次の王になろうと目論んでいた。
だから、私は彼女を守らなければならなかったのに。
私は彼女を守りきることは出来なかった。
最期の瞬間はこの目にしっかりと焼き付いている。
彼女が最期に私に言った言葉。
「ありがとう」
貴女は私の命の中で、一瞬の時しか生きていない。
私にとって貴女が全てだった。
あの日、「ありがとう」と言われても、私は私を責め続けた。
当たり前だ、私のせいで貴女は死んだ。
私がもっと強ければ貴女は死なずに済んだのに。
私がもう一度、貴女を守ることが許されるのならば、
私は貴女にこう言う。
「命をかけて守ってみせます。」
生きる意味なんかないよ。
本当はもう死んでいる予定だったんだ。
僕は小学生の頃から、18までしか生きていない予定だったのに。
なんで生きてるんだろう。
毎日考えるけど、答えは一向に見つからない。
これから先も答えが見つかることは無いだろう。
あぁ、早く死にたい。