ラカロ

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4/26/2025, 11:39:55 AM

雪の降る交差点で9歳の君は遠くに行ってしまった
もう会えないって心のどこかではわかっているけど
夏と冬の間は会える気がして君の居た場所を訪ねてしまう
幼いながら君への思いは本物だった
本当は春と秋も会いたいけど君はそんなに来なくていいって怒りそうな気がして行かなかった
周期を重ねる度君の全てがぼやけて行く
22歳になった頃、前を向かなきゃって言われた
その時完全に忘れた声がはっきりと聞こえたんだ
13年間忘れることはできなかったけど何かのきっかけかと思い未来へ一歩踏み出すことに決めた
その後25歳になった冬頃結婚が決まった
すぐに報告に行きたかったけど妻への申し訳なさと仕事の多忙さから行けなかった
結局行けたのは1年後で26歳になってからだった
そこから先は子供も産まれ仕事でも大きく成功して充実した日々を送っていた頃手紙が届いた
三十三回忌、そう書かれていた
ここ6年間忘れていたのに何故かその手紙を見た時行かなければと思ってしまった
妻と子を連れ彼女の眠る墓へと向かう
私は彼女を安心させたかったのかもしれない
私は幸せだと安心して眠っていいとそういう思いで2人を連れて行った
五十回忌と書かれた手紙を貰った時、私は1人だった
妻と子は海外に旅行に行き飛行機の墜落事故で亡くなった
ひとまず生きて行くために仕事は続けたがそれ以外のやる気は全く起きず17年弱
手紙を貰った時久しぶりに行きたいと心の底から思えた
その時思い出したひとまず生きたいと会社を続けていたのは彼女に会うためだったのだと
彼女に会うまでは死にたくない
彼女に会えば生きなくていい
どちらが重要なのかなど考えずに墓に向かう
会社は無断欠勤した
泊まる場所など用意していない
距離は離れているが金はある
気がついた時には彼女の墓の前に立っていた
数十年越しに見た墓は寂れてはいるが全く変わっていなかった
容姿も生活環境も変わっている私とは違う
49年前のままだった
もう死んでもいい
ここにもう一度立つために生きていたんだ
そう思い来た道を引き返す
どうせ死ぬなら同じ場所で
季節は違うけれどそこならば一緒になれる
そう思った

交差点
全てが新しくなり同じ場所とは思えないその場所で彼女の元へ行こうと足を踏み出す
しかし、身体が動かない
誰かの声が聞こえる
心地の良い声、妻でも子の声でも無い
あの時の声がはっきりと
まだ来ないで
あなたは自分の幸せを大事にして
虚空に向かってボソボソと話す
そんなものもう無くなってしまった
君と一緒に居た方が幸せだ
少しの沈黙の後一際温かい声が聞こえた
どんなに離れていても私はあなたと一緒に居るわ
その言葉が聞こえた時、私は病院の一室で目を覚ました
私は歩道で気絶していたらしい
彼女の声が聞こえたのが現実だったのか、夢だったのかはわからないが最後の言葉を胸に私は生きていこうと決めた
その後彼女の声が聞こえることは無かった

数十年後のとある山奥
ある墓地が取り壊された
その墓地に納められていた遺骨は集合納骨堂へと納められた
その納骨堂に元気な声が聞こえる
その声は返事がもらえたのかもらえなかったのかは誰も知らない

(一つ前に書いた詩のようなものに少なからず関わりがあるのでそちらも読んでいただけると嬉しく思います)

4/25/2025, 11:15:16 AM


夏は田舎に会いに来て
そこには私の家族がいるわ

冬は都会に会いに来て
そこにはあなたとの思い出があるわ

春と秋は会いに来ないで
短い間だけでも前を向いていて

一年経ったら会いに来て 
私はずっと待っているわ

三年経ったら会いに来て
もっと会いたいけれど

七年経ったら会いに来て
私の事忘れてない?

十三年経っても会いに来て
私だけ置き去りね

十七年経っても会いに来て
私はずっと待っているわ

二十三年経っても会いに来て
そろそろ前を向かなきゃね

二十七年経っても会いに来て
あなたは幸せになれた?

三十三年経っても会いに来て 
幸せそうね
私も嬉しいわ

五十年経ったら会いに来ないで
あなたは自分の幸せを大事にして

百年経ったら愛に来て
私はあなたに会えて幸せよ





4/24/2025, 11:21:11 AM

初めてあなたに出会った時
あなたの存在が嫌いだった
もう会う事もないあなたの事など数日で忘れ去った

再びあなたに出会った時
もう会う事も無いと思っていたのに
会えたことに少しの喜びを感じた
初めて会った時気付けなかったことに気がついて
少しあなたに興味が湧いた
もう一度会えますか
その言葉は言えなかった
言えなかった事を後悔した

三度あなたに出会った時
私は心の底から喜んだ
会う約束をして無いのに会えたことに運命を感じた
前回の後悔を胸に今回こそ言えた
もう一度会えますか

幾度もあなたに会う度に
私の心は満たされた
その所作がその声が私の全てを幸せにしてくれる
そう思う度私はあなたに尽くそうと決めた
何度もそれを繰り返す
あなたの存在全てが好きだ

最後にあなたに会った時
私はあなたが嫌いになった
存在を否定したかった
でもできなかった
私はあなたの存在を忘れることはできなかった



4/24/2025, 9:25:35 AM

決して旅が好きなわけじゃ無い
むしろ嫌いで家族旅行の度に暗い気持ちになっていた
それでも一つだけ好きな事があった
皆が寝静まった後こっそり宿から抜け出して星を眺めたり、海を眺めたり、川を眺めたり
夜だから大したものは見れないけどそれでも漠然と綺麗な景色がそこにあることを音で匂いで感じ取れた
でもそんなことを繰り返していたある日家族で泊まっていた旅館で火事が起きた
深夜ということもあってほとんどの人が寝静まっていた
放火ではなく火の不始末と老朽化による崩落の完全なる事故
家族は亡くなり僕は1人になった
その時年齢は17歳
1人で生きていけるだろうと月の初めに決まったお金を親戚からもらい1人で生き始めた
学校を卒業して就職して
仕送りも無くなり親戚との縁も切れた
僕は旅行が好きになった