花束
花束というものはいつ貰うのだろうね。感謝を伝える相手や日々募る想いを伝える相手が私だったらもらえるのだろうか。それじゃあ私はいつになっても貰えなそうだね。私は誰かから感謝をされるために行動するわけでは無いし、私へと想いを馳せる人はそう多くはいないだろう。しかし、花束が日常にあれば少しは凍えるような寂しさは軽くなるのだろうかね。
きっと、私が花を貰うときはそれが最初で最期であろう。
スマイル
もっと笑顔でー!と盛り上げる声がした。私は仮面を着けたように表情を変える。この一瞬を絶えず流れている時間軸から切り離す"写真"なんて私は嫌いだ。スマイルをしようとするとへにゃってなるのが嫌な訳じゃない。写真写りが悪いのが気になるから嫌いな訳じゃない!スマイルして目が細くなると不細工だから嫌っているのでもない。ただ、どんな美しいものでも色褪せてしまうのに、写真だけは色褪せないのが許せないだけなの。
いつか、私の笑顔はちゃんと褪せているかな。
どこにも書けないこと
この秘密は誰にも言えない秘密。私が学校でみんなと仲良くできることも、テストでいい点がとれることも、私がみんなの目が無いところで一人寂しくしていることもすべて知るよしもない。「勉強できてすごいなぁ」とか「何でそんなにかわいいの」とかあなたたちは私のようになる術を知ったところで、私のように孤独の味を知るだけなの。楽しくお話しすることも、クラスメイトの愚痴を言い合うのも、かわいいと言い合うことも楽しい。でも、私の胸の奥底にある濁った感情はつまらないと感じている。この卓上には私を満たすものが無いから私は不満なの。もっと刺激的に一言言い間違えるだけで四面楚歌になるような日常を。甘さと塩辛さと酸っぱさを痺れるくらいに味わえる苦い現実を生きたいの。
私の秘密を知る人はいない。
きっと私以外の人間はこの秘密に辿り着くことなく朽ち果てていくのだろうね。
私の愛するあなたも知り得ないこと。
時計の針
カチカチと常に嫌な音を鳴らす時計が私は嫌いだ。時計の針はもっと嫌いだ。あれは一度進むと戻せないからだ。何度戻りたいと願おうとあの日には戻してはくれない。時計の針はケチだ。そして、私は時間が嫌いだ。「時間」という概念を作り出した人は何がしたかったのだろうか。時間という期限を作り、なんらかの行動を始める起点を作った。これの範囲内に行動をすれば、目に見えない大きなものを手に入れ、行動しなければもしくは、範囲を超えれば何かを得ることは出来ず、なんなら何かを失う。全くもって不自由であり、不条理だ。しかし、「時間」を作り出し、期限を設けたことにより人が生まれてから死ぬ期限を表すことができる。この生から死の期限内では人がどんなことをするのも自由だ。時間により人は縛られ、人は時間の中で自由に生きる。時計の針は今もカチカチと鳴っている。私はこれから先も価値と勝ちを積み重ねていく。私はこの不自由の中にあるこの自由に生きている。
溢れる思い
"こんなこと"をこの瞬間、君に言ったらどんな反応を見せてくれるのかな。今日は君とはじめて1日を過ごして楽しかったな。君は私のことをどう思っているのだろう。私は君への燃えるような思いを身体の隅から溢れさせないように過ごしていることに君は気付いたかな。君へのときめきが私の鼓動を速め、君の一挙手一投足が私の脳内を駆け巡り、愛おしさを私の奥底から連れてくる。緊張してぎこちない話し方、空回りしたエスコート、私の全てを捉えるように動く瞳、赤らんだ頬、全て愛らしく、君を食べてしまいたい。溢れる思いを"君が好き"なんて私からは恥ずかしくて言えない。この関係を壊したくない。でも、君の拍子抜けの表情を想像すると言ってみたくなってしまう。もし、壊れてしまったとしても巡り巡る観覧車みたいに思い出は輝いて綺麗になるかな。