灯火を囲んで
薪ストーブと囲炉裏が迎えてくれる
ここは農家レストラン
立冬も過ぎた会津では
その温もりを帯びた灯りに
心誘われない人はいないでしょう
昔家の風情がいい演出となって心安らぐ空間
お目当ては勿論食事
苗から育てた蕎麦、米、野菜…
それらで作った蕎麦と天ぷらが名物だ
そしてもう一品、迷った挙句に追加した
店へ足を踏み入れた時から気になっていた
囲炉裏に刺さっている〜しんごろう~
一見五平餅の様できりたんぽにも似たそれは
ここのお爺さんの担当らしい
囲炉裏端に座って串を眺めている
そっと隣に寄っていって
「おじいちゃんこれなあに」
「もう焼けた?」なんて会話をしたくなる
客が灯火を囲んでハフハフしながらしんごろうにかぶりつく
そんな光景をつい思い描いてしまう楽しさに溢れている
「お待たせしましたお蕎麦と天ぷらです」
待ってました、どれどれ
おー期待以上の美味しさだ
満足と満腹に浸ってそば湯をすすっていたら
丸々としたしんごろうがお皿に乗って到着した
さっき食べたつもりになってたんだけど…
入店時からあのおじいちゃんがじっくり時間をかけて焼いてくれた一品が目の前にある
やっぱり焼きたてを味わおうと言う気になった
改めて「いただきます」
一口で美味しいが止まらない
甘じょっぱい味噌とサックリご飯がたまらない
かぷりカプリ口から湯気と笑顔が飛び出して
囲炉裏へ帰って行った
冬支度
「寒いなぁこの家」
「そう?」
暖房つけているし
お部屋も冬用に整えたんだけどね
「部屋の移動が寒すぎるよ」
そ言う主は近くの大型新築マンション暮らしだ
そこでは一年を通して室内温度が自動でコントロールされ、エアコンや冷暖房器具が一切必要ない生活をしているという
眉唾物だけど、それが証拠に外出時には薄手シャツの上にジャケットを羽織るだけのスタイル
冬はタマネギ式の重ね着が前提の親の前で
ここは寒いとのたまう
基本の感覚に天と地ほどの差があるのだ
なるほど…と合点がいった
それは数年前に失敗した買い物のことでcotton100%で多層キルティング
このブランケット一枚で一年中OK
夏は涼しく冬は暖かい
魔法のような口コミに期待を寄せて一枚数万円で買った寝具
結局使えたのは春と秋の僅かな期間だけで
2季化の近年ほぼ出番がない
口コミは信用できないと怒り心頭だったが、
我が家の住環境に合っていなかっただけかも…
息子宅では活躍しそうだ
------------------
昭和と違い冬支度でイメージする景色も千差万別になった
でも私はこたつやストーブのある生活が好き
変わり映えしないまま流れるように終わる一日
その中で新たに加わるルーティンが刺激的
これぞ有り余る時間に物を言わせてのシニアの贅沢だ
手間や保管の煩雑をひっくるめて五感で季節を味わってやるぞーって
なんなら薪ストーブにしたいくらいだわ
生活に生きている実感を持てるから
冬支度なんて言葉が死語になる前にお家で冬を楽しまなくっちゃ
時を止めて
時を止めて
この円形の盤に地球のステキを詰め込んで
未来を託したメッセージを込めて
お空に打ち上げましょう
あれは私が子供の頃だった
探査機には
宇宙人へのプレゼントが用意してあったのよねそう思っていた
本当は米ソ核戦争を危惧した地球文明への追悼
それが、あのレコード盤だったんだって
再生のための取説とレコード針を添えてね
あれから半世紀 時は流れた
地球上ではレコード盤は稀有になり
記録手段は飛躍的に進化した
しかしもう半世紀もすれば
肝心の地球が異常気象と核戦争で変わり果てているかもしれない
その時地球を離れる事になるかも知れない私達の子孫へ向けて
ノアの方舟に何を乗せたいかを時を止めて真剣に考えなくては…地球の希望を見い出すために
キンモクセイ
危なかったー
絶対誰かが私を守ってくれている
そう確信した
何故なら今日もそうだったからで…
---------
東京駅の丸の内南口でのこと
改札を抜けた前方に階段が見えた
気をつけなくては
でも5mは先だわね
まだ距離があるし大丈夫
とりあえずナビでお店の方向を確認しなきゃ進めない
そんな事を思いつつ画面と地面を交互に見ながら歩いていた
あれちょっと待て、この広場の景色と建物なんだか…気になって立ち止まった
良かったここで合ってた
ホッとして何気に足元をみたら
なんと!階段の縁ギリギリで立ち止まっている自分がいた
我ながらビックリ
つま先に数センチの余地もない
また怪我せずに済んだ
これまでにも似たようなことが何回もあった
段差や階段ではしょっちゅう、ガラス戸、運転中の急ブレーキにも
間一髪の不思議がたくさん
きっと私には守護霊がいてくれるんだ
あの時一瞬キンモクセイの香りが過ぎった
その木は実家にも我が家にもある常緑樹で
ふわっと包み込むような甘い芳香が好き
…と言うことは両親かしら…
誰かの香水だよなんて言わないで
見えない存在に手を合わせたい気分なの今は
行かないでと、願ったのに
あの時のあなたは
行くも地獄退くも地獄
ならば
行かないで私とここに居て
そう願ってから20年
私はあなたを絶望のどん底から救い出したかった
蜘蛛の糸のように頼りない私だけれど
その先の光を見てもらいたかったの
「あの日から楽な呼吸をしたことがない…」と
今朝ポツリと言ったあなた
私に「生きたまま絡め取られてしまった…」と
最後の力を振り絞るように弱々しく
喧嘩の後でのことだった
「そんならさっさと手放してあげるわよ」
思いっきり蜘蛛の巣ジェットをプッシュした
彼の背中めがけて何度も何度も
自分でも予想だにしない激高で涙が溢れる
「いやー参ったまいった
弱ったふりしたのが逆効果だった?
うかつに冗談も言えないやー
命懸けで仕返しして来るもんな」
どの口が言ってるのよ…言葉にならずにしゃくりあげた