揺れるキャンドル
届いた重い小箱には
お母さんお誕生日おめでとう3S楽しんでね
とあった
えっナニナニ謎解きの様でワクワクする
20センチはあろうか巨大グラス
木の葉形水槽の様に見える
ミモザ色の蝋海から幅10センチの板状の凹凸がちょこっと顔を出している
どうやら芯らしいが全くイメージが湧かない
これキャンドル?…だよね
というわけで夜を待ってこわごわ火を点した
まるで花火のナイアガラの様に炎が左右に延びキレイだ
独りきりの静かなリビングに何かが爆ぜる音が広まっていく
炎と音と甘い香りに包まれていると
キャンドルが輝く暖炉に見えてきて
手を翳してみた
指先にしみる立ちのぼる暖かさ
横広がりのフレイルは高く低く絶え間なく揺れパチパチと可愛らしくはじける音が透明な薪を燃やし続ける…
それにこの香り
娘の家の小さなキャンドルを思い出した
あーあ あの香りだ
「この香り好き」ってお母さん言ってたでしょ
彼女が耳元で囁いた気がした
種明かし 3Sって視覚聴覚嗅覚だよ
娘の笑顔がキャンドルグラスの中に見えた
木の葉はまんま
彼女の笑った目の形で…
2人の好物パインキャンディを口に含み
娘を持った幸せに浸る夜 五感を全開にして
光の回廊
ピーター・コリントン作
文字のない絵本「天使のクリスマス」
子供達が巣立った後もこの時期には玄関に開いておくの
「いい子にしてたかい?」って
ひょっこりサンタさんが現れそうだから
大好きなそのページは見開きで…
一面の雪景色静寂の中光の回廊がサンタを誘う場面
ロウソクを掲げた何十というエンジェル達が通りに立ち並んでいるのが見える
良い子のお家はここよーって高くかざしたキャンドルで空翔けるソリを呼び寄せる
次のシーンはそれに気づいたサンタが慌てて全身で手綱をひき、トナカイ達を地上へ降ろしていく
こっちまで息を止めて踏ん張ってしまう臨場感
先頭の守護天使が歩み寄って、いよいよ女の子のお手紙がサンタさんに届けられることに…
天使達の灯りは女の子の部屋まで延び年老いたサンタのゆっくりとした歩みを助け労っている
おしまい?いえいえまだよ🎄
なんと言っても140枚の絵が語るお話だからね
降り積もる雪のように
何て優しい眼差しなんだろう
この曲の虜になった
守る存在ができ幸せなはずなのに
子育て一色の毎日で
弱音を吐けず自分をすり減らしていた頃
この曲に守られていた
ずっと寄り添い囁くように
誰かに頼っても涙を見せてもいいんだよって…
♪ 君の肩に悲しみが
雪のように積もる夜には
心の底から 誰かを
愛することが出来るはず
孤独で君のからっぽの そのグラスを
満たさないで
誰もが泣いてる
涙を人には見せずに
誰もが愛する人の前を
気付かずに通り過ぎてく
浜田省吾
悲しみは雪のように
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初々しい頃の自分はさておき
結婚四十年
降り積もる想いが万年雪化し更に積もっていく
いつ雪崩が起きても不思議じゃないと思ってた
ところがね…側に佇む人の愛情が中に散りばめられているのが透けて見えたりするのよ最近
時を結ぶリボン
時を結ぶ…
この言葉が妙に引っかかる
ふと空き家になって久しい実家を片付けた時の事を思い出した
2階座敷 床の間脇の違い棚にはいくつもの箱がしまわれていた
中は見事な立体水引き細工で結納時のものらしかった
母から聞いた事もなく兄弟の誰のかもわからない縁結びの形見 鶴 亀 松竹梅 宝船 鯛…
私の時代、結婚は家と家を結ぶものだった
嫁ぎ先の姓に変えるのが当然で両親に育ててもらった礼と別れを告げ嫁いだ
自分の子供達の結婚時にそれらを用意した記憶がないので水引き細工はもはや時代の遺物なのかもしれない
縁を見える化するとは結婚は覚悟を伴うものだった時代の象徴…迷った挙句それらは実家にあるのが相応しく思えて処分せずに残してきた
あれから数年、兄弟の誰も実家には帰れず今では見ず知らずの人の手に渡ったとか…
故郷に帰る場所は無くなったけどあそこで紡いだ縁は私達から子へ引き継がれている
手のひらの贈り物
雲一つない青空の中
光を放つ巨大な涅槃仏
足もとにはオレンジ色した祈りの花灯り
マリーゴールドとバナナの葉の花塔が並ぶ
仏を仰ぎ見る私
ゆったりと横たわる半眼の仏様と視線が合った
一瞬 私の身体がふわりとした
タイムスリップしてお釈迦様が80歳で亡くなる前の最後の説法に間に合ったらしい
気温25℃ 微風 ふりそそぐ陽射し
軽く目を閉じ肌に感じる光の心地よさに只々浸る
この世の重力から解き放たれている
私…今…仏の掌に抱かれている
ドローンからの景色が仏の眼差しと重なる
私見守られている