誰もがみんな
かつて誰もがみんな二つの扉を持っていると信じられていた
一つ目は生…卵子に辿り着いた勝者に与えられた扉で同時に人は選ぶ力を授けられたという
もしも二つ目の扉…死のドアを開けたくなったらその前にセイフティーネットが用意されている世に存在していることを思い起こすといいとされ、選ぶのは自分なのだと気づかされたらしい
既に自身の生と死の覇者なのだから思う存分この世を楽しめばいい
そう思えるんじゃないか…と
一握りの人の世で同時進行していた事がある
あなたは銀のスプーンを持って生まれた方
あなた様の扉はこちらにご用意があります
扉を選ぶ必要はありません
なので我々執事に全てお任せ下さい
ご両親様の意向は既にプログラミング済みですそして2つ目の扉を開けることはないでしょう
そもそも選ぶ力は必要ないのです
等しく生と死を持っていたのは遥か昔…
下等な生き物だった頃
今は主人と従者の扉のみ
あなた様はご主人様のスペアなのですから
もし選ぶ力を欲したならそれは従者の扉を開けてしまうことになるでしょう
人の歴史の表と裏 姿形を変えて繰り返し
これを進化というのだろうか
花束
おじさんまだ〜?
のんびりしてると陽が落ちるよ
海沿いの山道は行けども行けども石造りの質素な民家と果樹ばかりでお目当ての花は見えない
ラベンダーの島だって聞いたからわざわざここまで来たのに
イルミネーションなんて無さそうだし
日暮れたら車チャーターした意味ないよ
片側に広がるアドリア海に沈む夕陽もきれいなんだろうけど…そんな事思いながらも気が逸る
かなり登ってようやく丘らしい場所にさしかかった
さえぎるものがないため強烈な夕陽があたり一面をオレンジ色に染め抜いている
車内にも容赦なく射し込んで来て思わず目を細めてしまったその先に紫と茶色のグラデーションの一帯が見えた
ラベンダー?ここでいい!降ろして
程なくトラックが止まった
どうやらここがおじさんの畑らしかった
観光客用ではないのが一見してわかる
近づくとラベンダーの円い塊が痩せた畑を秩序なく埋め尽くして海風にあおられ強烈な香りを放っていた
ワイルドだな〜これもラベンダー?
富良野のイメージとは大違い
橙色のフィルターがかかった畑を大急ぎで駆け巡り夕陽と追いかけっこして記念写真
いつの間にか西陽は水平線に沈み残照に変わっていた
帰らなくっちゃ
トラックを探すとおじさんがラベンダー片手にこっちこっちと手招きしていた
助手席にとんと腰掛けた瞬間にどさっとした重みがのしかかった
おじさんが私の膝に無造作に置いたラベンダー
ピンとして膝からはみ出している刈りたての花は新鮮な力強い香りを放っていた
この島に根付いてきた野生のみずみずしさこれぞハーブって感じでパワーがみなぎっていた
一期一会の人からのワイルドな花束を縦に抱きしめておじさんに別れを告げた
満足感で一杯のありがとうと一緒に
スマイル
久しぶりにお気に入りさんの投稿を見つけた
あなたの世界感に浸っていたらスマイルが戻っていた
ありがとう ありがとう ありがとう
あなたはいつも笑顔を同封してくれる
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ー朝イチから些細なことで夫を叱った私ー
布スリッパでお風呂場に入らないでって
いつも言ってるでしょ
慌ててマットで底を拭う夫
大丈夫だよいつもこうしてるから
何言ってるの!
スリッパを裏返し水が染み込んだ底を見せつけた
廊下中の跡はこのせいなんだからね
証拠品を前に口ごもる夫
まるで刑事と犯罪者
そうだよね いつも追い詰める言い方しかしてないや嫌な感じ全開の鬼ババアだ私
夫婦二人きりが笑顔で過ごすには技術が要るよ
「笑いながら怒る」なんてお題だったら最高で
投稿ぜーんぶ実践しちゃうんだけど…
「スマイル」のおかげで今はそんな殊勝な気分
どこにも書けないこと
書きたいのにストッパーがかかっているみたいで苦しそう…
何があなたを押し留めているのか私は気になる
あなたの気持ちより大きな圧力は何って…
俯き加減の優しいあなたの葛藤が見える
ねえどこにも書かないってことに変えられる?
受け止め方を反転したら葛藤のベールを上げられるかもよ あなたの意志で決断したんだって
長い迷い苦しみから一歩踏み出したあなたが見えるようだわ
振り返らないでこれからのあなたをわたしだけはずっと見守っているから
その一言であなたを送り出す準備は整えておく
今、雪景色でも季節は春 門出の時よ
時計の針
孫達が時間を忘れて歓声をあげている
ベッドの上で微笑む私
あの頃に連れて行ってちょうだい
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子供の頃、時の流れに乗って歓声あげていた
ヒャッホーヒャッホーヒャッホー
自由自在に乗りこなして
早いも遅いも気にも留めなかった
そう、まだ時計がヒゲ親父の顔に見えていた
思春期、一度に何人もの話をキャッチして
瞬時に宛先別に振り分け脳内にファイリング
情報処理は高速でも感情処理は停滞ばかり
時計の針は不安定で見たくない程嫌な奴だった
社会に出て退職まで、腕時計は必需品だった
秒針付きはせわしなく
私を追い立てる
仕事用には最高の相棒
達成感をもたらしてくれた
そして今、時はぐるぐる高速回転
私は時から振り飛ばされている
ランニングマシーンから一瞬にして落っこちる
みたいに
亀の歩みに速度調整してもしても
いつも時計の針に置いてけぼり…
先が見える安心感から遠ざかる一方
じゃあデジタルにしたら?だって…
あれはダメだよ
時が死んでる、流れが見えないからね