何時も以上に静かな夜

月の穏やかな光が

一面を覆う雪を照らし

冷たい空気を纏い淡く光る

誰も踏み入れていない

真っ白な大地に

そっと足跡を付けて

瞬く星を見上げると

優しい月光は私をも包み込み

平等に祝福を与えてくれる







｢雪明かりの夜｣

愛を結ぶ赤い糸

縁を結ぶ白い糸

切るべき悪縁の黒い糸

運命は数え切れない程あるけれど

見極め掴むのは自分の意思と運次第

必要な縁を逃さないように

然るべき時に掴めるように

奇跡というリボンで

大切な縁を結べるのなら

どんなにいいことだろう







｢時を結ぶリボン｣

この広い空に

幸福を届ける鐘の音は

何時になったら鳴り響くのだろう

全ての生命が安寧に暮らせる世界は

遠い遠い夢なのだろうか

少しだけ人を思いやれる思いがあれば

争いを避けることもできるだろうに…

人だからこそ欲があるのもわかるけど

人だからこそ人を思いやれることもできるはずなのに

福音の鐘の音は

まだまだ遠い未来のことなのだろうか





「遠い鐘の音」

冬の夜空に光る星は

君の流した涙のようで

僕の心を締めつける

吐息が白く昇る夜の星は

過去の記憶を思い出させ

いつも僕を責めてくる

あの日に戻れるものならば…

もう取り返しはつかない

凍りついた記憶と

あの時と同じ星たちが

今夜も僕を苦しめる






「凍てつく星空」

青く高い空に映える紅葉

風で舞い散る様は

一瞬の美しさを魅せる

風の向こうに見えた

遠い記憶の中の君

この切ない想いは

もう逢えない哀しみではなく

変わりゆく季節に想いを馳せたからだと

そう自分に言い聞かせ

もう一度逢いたいと

空に呟いて

紅く染まった紅葉から離れた





「紅の記憶」