あまりにも眩しい、まるで太陽のような人だった。そんなあなたの太陽は、私ではなかったみたいだった。
太陽のような
「・・・・・・これあげる」
窓から射し込む夕日が、君の髪を柔らかく照らす。少し茶色のそれは優しい光に透かされてより色素を薄めた。
「チョコ?」
震える私の手から綺麗にラッピングされた箱を君が受けとった。
丸い瞳が細められて、逆光で少し見づらい顔が私に向けられる。
「俺に?」
「そう」
驚いた顔の中に嬉しそうな表情があったのは、私の気のせいだろうか。
「ありがとう」
座っているせいで私よりも低い位置にある君の顔は、チョコを見るためにうつむいてしまって見えない。ふわふわした髪が私の視界を占領する。
「めっちゃ嬉しい」
しばらく見つめた後、私に向けられた顔はわかりやすい嬉しさを滲ませていた。
私が大好きな、笑うと目尻に出来る皺がよりいっそう深められる。
「俺もね、あるよ」
甘やかな笑顔のまま、君がリュックの中からこれまた綺麗にラッピングされた箱を取り出す。
「あげる」
差し出された箱を、震えが隠せない手で受けとる。
「ありがとう」
ちょっと素っ気なかったかな。もっとわかりやすく喜べたらいいのに。
自分の可愛げのなさにため息が漏れる。
「あれ、嫌だった?」
その小さな雰囲気を感じ取った君が、少し不安げに首をかしげた。
「そんなことないよ!ほんとに嬉しい」
慌てて答えて、その慌て方がより不安を深めないかこちらが鼓動を早める。だけど君は、安心したような顔で微笑んだ。
「よかった。喜んでくれて」
「・・・・・・なんで」
その優しげな顔、普段の君とはほのかに違うその顔に疑問が溢れた。いつも優しいけれど、その優しさに甘さが含まれているみたいな。
「なんでって、君が好きだから」
至極全うみたいな、きょとんとした顔で君が答える。
え、なんて自分が呟いた声を、まるで他人事みたいな感覚で聞いた。
「だから本命を渡したいし、君からもほしかったし」
あまりにもキャパオーバーだった。爆発しそうな頭で、やっとの思いで君の言葉を噛み砕こうとする。
「君がくれたの本命だと思ってたんだけど、違った?」
君は考える隙を与えてはくれなかった。
だけど、問われたその質問には考えるまでもなく答えを返す。
「本命だよ」
「よかった」
くしゃりと顔を緩めて、あまりに優しい表情を浮かべる。
一方通行の恋が、2人の間で手を握りあった。
バレンタイン
すごく森七菜さんのスマイル好きで聞いてます
スマイル
この世界はあなたがいないと息がしづらいなんて、そんなこと知りたくなかった。
この世界は
先輩が明後日から共テなのでめっちゃ頑張ってるのを見て来年は我が身と震えてます。頑張ります。
「・・・・・・あ」
違和感の始まりは、あなたの視線の甘さだった。
他の人よりも、私よりも、あの子に向ける顔が優しい。
誰よりもあなたを見てたから、だからこそ気づいてしまった。あなたがあの子に向ける感情は、私が抱くものと同じだった。
決定打は、あまりにも簡潔すぎた。
放課後、夕日が差し込む教室。忘れ物を取りに来た私の前で、あなたはあの子と手を繋いだ。
目の前が真っ白になる。あまりにもベタすぎる展開に、忘れ物すらも取らずにその場を立ち去った。
夢を見てたい、夢を見てたかった。
涙が枯れないことなんて、私は知らなかった。
夢を見てたい