彼女の凍える指先を手に取りぎゅっと握って街を駆け出す。あんなろくでもないやつ、忘れちゃえ、忘れちゃえばいい！彼女の今年のクリスマスをようやく私で染められるなんて！嬉しさでたまらなくなった私は立ち止まってくしゃくしゃの顔で嬉しそうに笑う彼女を強く抱きしめた。

お願いだから中途半端にやさしくしないで。死んでもあなたを愛し続けている私にそれは身が裂けるような想いで愛さずにはいられなかったの。

幸せだったあの夢のつづきをずっと見ていたい。現実は苦しいことだらけだから僕はもう微睡みから起き上がることはきっともうないだろう。

彼女の背後で揺れるカーテンがまるでヴェールのようで私は感極まって泣いてしまった。いいえ、悲しいわけではないの。いずれ貴女をさらってしまうわるい男のひとに思わず嫉妬してしまったのよ。

人を愛せない俺なんかのために流すその涙の理由を、教えてくれ。