【LaLaLa GoodBye】
声が聞こえる。
誰かの声が。
「あれ、こんなところに珍しい」
そこにいた彼女はそう言った。
真っ黒な黒髪を揺らして、笑っていた。
「それはなに?」
「それ?」
「声を変に伸ばして」
「あー、これはね、歌っていうの」
「うた?」
「またここに来たら聞かせてあげるよ」
彼女は僕に顔を近付けた。
「LaLaLa GoodBye」
【未知の交差点】
「道の交差点?」
「未知の交差点!」
「どーいうこと?」
「いや、僕も知らない」
「はあ? それなのに、いこーって?」
「だって、気になるじゃん」
「ならん。そもそも金にならないし」
「まーた、始まったよ。ほら、着いたよ」
「ここで何に会えるって?」
「未知だよ、未知」
「当選の宝くじとは会ったことないな」
「どこでもお金ばっか」
「仕方ないじゃん。ビンボーだし」
「早く一緒に暮らしたいってね」
【一輪のコスモス】
荒れ果てた大地に一輪のコスモスが咲いている。
どうしてここに咲いているのか。
私たちにはわからない。
地球に帰ってきて数年。
海は消え、大地は荒れ果て、生物も滅んだ。
なのに、どうしてコスモスだけ。
「触るな!」
その言葉より前に私は触れて。
コスモスは私の手に根を伸ばし。
気付けば視界は真っ暗で。
身体の自由はなく。
意識が薄れ。
私は。
【秋恋】
「秋恋だなんて言わないで、いつでも恋しようぜ」
クラスメイトたちは恋に命をかけている。
恋だけが、僕たちの生きる価値だから。
「そうは言ってもなぁ」
少子高齢化が進んだ現代。
結婚をしない人間に社会は厳しくなっている。
恋とか結婚とか、どうでもいい。
だって、俺はお前が。
【愛する、それ故に】
愛する、それ故に君の全てを知りたいんだ。
趣味も好物も性癖も思考も。
全て知りたいだ。
え、気持ち悪い?
なるほど、君はこういうことが嫌いか。
大丈夫、どんどん教えてくれ。
君の理想になってみせるから。