川柳えむ

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3/29/2024, 10:54:56 PM

 こうして、お姫様は王子様と結婚し、幸せに暮らしました。
 めでたしめでたし。

 その裏側で、王子様との願いが叶わなかった女の子は泣いていました。お姫様を狙っていた男はどこかへ消えてしまいました。悪いことをした魔女は殺されました。


『ハッピーエンド』

3/28/2024, 10:28:47 PM

 視線を感じて振り返ると、じっと見つめられていた。
 まいったなぁ……。
 そんなに見つめられると困ってしまう。
 仕方ない。この店での窃盗は諦めよう。

 視線を感じて振り返ると、じっと見つめられていた。
 まいったなぁ……。
 そんなに見つめられると困ってしまう。
 仕方ない。この犬は拾って帰ろう。

 今日は散々だ。盗みを働けなかったし、帰りには食い扶持が増えてしまった。
 しかも、あまりにも真っ直ぐに見つめてくるこいつの瞳に、そろそろ真面目に働いてもいいかもしれないなんて、そんなことを考えてしまった。


『見つめられると』

3/27/2024, 8:17:05 PM

 My Heart? 私のハート?
 それなら、その、右下の名前をタップした後の、上のところに出てきた星マークをタップすると、ありますよ。
 試しに出てきたそのハートをタップしてみるといいと思います。はい。


 ――って、露骨なことやってると、逆にハート貰えなそうだなぁ。そして嫌われて心が傷付きそう。
 最近伸び悩んでるしなぁ。もちろん日によるけど。心がもやもやするよ。
 でも、ハート欲しいなぁ。
 悩める複雑なMy Heart……。


『My Heart』

3/26/2024, 11:00:41 PM

 夕方のチャイムが鳴り、みんな帰っていく。
「帰らないのー?」
「大丈夫。迎えが来るから」
「ふーん。じゃあまた明日ね」
 手を振り、元気に走っていく後姿を見送った後、私は一人公園のブランコに乗ってじっとしていた。
 温かい家。待っている両親。美味しいご飯。眠りに就いたらまた明日、楽しい一日が始まるんだろう。
 私は持っていない。……羨ましい。でも、どれだけ羨んだって、私はそれを手に入れられない。ないものねだりだとわかっている。私は、独りだ。

「あ、いたー!」
「何やってんですか。帰りますよ!」
 ただぼーっと地面を見つめていたら、元気よく声を掛けられた。
 顔を上げると、よく見知った姿があった。
「また遊んでたんですか?」
「もう暗くなりますよ。帰りましょう。僕らの家に」
 そう手を差し伸べてくる。
 ちゃんと私を迎えに来てくれた。
 温かいものが胸に広がっていく。
「……ねぇ、私達って家族なのかな?」
 そう問い掛けてしまい、はっとする。
 もし、これで家族じゃないと言われてしまったら――
「当たり前でしょ!」
「僕らはそう思っていますけど」
「…………そっか」
 嬉しくなって、思わず顔が綻ぶ。
「さぁ、神社に帰りましょう。神様」
「うん、ありがとう。狛犬達」
 私の手を引いていく家族。まるで両親のように。
 普通の家ではないけれど、私しか持っていない大切なもの達だ。


『ないものねだり』

3/25/2024, 10:38:49 PM

 別にあんたのことなんか好きじゃないんだからね!

 あー……俺も。

 好きじゃないのに、何で付き合おうとするの?

 周りがうるさいし、お前といるのは気が楽だから。

 たしかに。それはそう。

 じゃあそういうことで。



 好きだなんて思ったことない。
 でも気付けば、結婚して、死ぬまで一緒にいた。添い遂げた。

 好きじゃないけど、あなた以外は考えられなくなってたな。


『好きじゃないのに』

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