突き抜けるような青空に、白い雲が心地良さそうに漂っている。暖かい風が優しく吹いて、もうすぐ春が来ることを告げている。
あぁ。なんて素敵な、お別れ日和だろうか。
今日という日、僕らは別々の道へ旅立つ。それぞれがそれぞれの胸に、様々な想いを抱いて――。
「もう卒業かぁー。早いねぇ」
「そうだね。なんだかあっという間だったな」
こうやって、教室でみんなとわいわい会話するのももう最後。
そんなことを考えてしまうと、鼻の奥がツンと痛み、目の端から何か零れ落ちそうになる。
それを気付かれないように、あえて元気良く振る舞う。
「卒業だしさ、せっかくだから今月中にどこかみんなで集まって、一日遊ぼうよ」
「おー」
「いいねぇ」
「そういやここ行ってみたいと思ってたんだけど」
「みんなで夜タコパしたい」
そうやって、遊ぶ計画を立てていく。みんなの楽しそうな顔を眺める。
大切な仲間。楽しい時間。忘れたくない。絶対に、忘れない。
寂しさはあるけど、大丈夫。だって、お別れしたって、何もかもが終わるわけじゃない。きっとみんなわかっている。こうやって集まって話したり遊んだり、そういったことが簡単にはできなくなってしまうけど。
この青い空は繋がっていて、その下にみんないるんだ。僕らは違う道を、果てしなく広がる世界を、それぞれに希望を持って旅を続けていく。それでもお互いを思う心はきっと一緒だ。
これからも、ずっと――。
『これからも、ずっと』
「姫は私のだ!」
「いや、俺のものだ!」
私はこの国のお姫様。
今、私を取り合って、隣国の王子達が争っている。お城の外でバッタリと二人に出くわし、こうなってしまった。
わかってる。私が美しいのがいけないんだって。私は間違いなくこの物語のヒロイン!
「私の為に争うのはやめてー!」
止めに入ってみるが、一向に止む気配はない。
そして、それはそのうち殴り合いの喧嘩にまで発展してしまった。
どうしよう……。
それは結局、二人の気の済むまで行われることになった。
殴り合いに疲れ、倒れ込む二人。
「はぁ……やるじゃないか、おまえ……」
「そっちこそ……」
沈んでいく夕日が二人を照らす。
お互いに支え合い、立ち上がる。夕日を背に、二人は熱い握手を交わした。
「まさかここまでやるとはね……気に入ったよ。どうだ? これから一緒に食事でも」
「いいね。俺もおまえの話を聞いてみたい」
そして、二人はそのまま夕日に溶けるように、行ってしまった。私を置いて……。
「って、ねぇ! 私がヒロインじゃないの!? どういうことなの!? いつの時代の漫画よ!」
ハッピーエンド♡
「ハッピーエンドじゃないわよ!」
『沈む夕日』
横顔が美しいなと思った。後ろ姿も、静かに佇むその様子も、どんな仕草でも。
一目惚れだったんだ。
だから、君の目をじっと見てみたいと思った。
「ずっと好きでした」
君の目をじっと見て、そう伝えた。
君の目を見つめると、動けなくなる。正面から見た君に、その瞳の美しさに、思わず固まってしまう。思っていたより、ずっとずっと綺麗だ。
たとえこのまま固まって、動けなくなって、死んでしまったとしても、本望だ。
美しい。僕の愛するメドゥーサ。
『君の目を見つめると』
ママはどこへ行ったのか聞いたら、パパは「ママはお星様になったんだよ」って言った。
だから、夜、星がよく見える公園まで行って、空を見上げながら、どれがママだろうって探した。
僕を探しに来たパパにはいっぱい怒られた。
でも、ママに会いたかったんだ。
僕は寂しいよ。ママは寂しくない?
泣きながら、今度はパパと二人で空を見上げた。
空にはいっぱいの星がある。それなら、ママはきっと寂しくないね。こんなに友達がいるんだから。
ねぇ、ママ、見えてる? 今はまだ寂しいけど、パパと二人で頑張るよ。僕も友達いっぱい作るよ。
星空に向かって手を振った。
『星空の下で』
私とあなたとの関係に名前を付けないで、今はそれでいいと、自分に言い聞かせる。
それでいい。それでもいい。それがいいわけじゃないけど。
そうやってずっと言い聞かせてきた。いつかあなたが私の前から消えてしまう瞬間まで。
そしてそこで初めて、それでいいわけなかったと、強く後悔をしたんだ。
『それでいい』