「小さな愛」
仕事でヘトヘトになって帰った。
「ただいま…。」
時間は既に23時を回っていた。
妻も子供も眠っている。
お腹がすいてテーブルを見た時、妻の手作りの大きなハンバーグプレートとその横に子供が描いた僕の似顔絵があった。
ふわふわで美味しい手作りのハンバーグと画用紙いっぱいに描かれた似顔絵と「いつもありがとう」の文字。
心が温まった。
2人の小さな手から送られた大きな大きな愛。
「空はこんなにも」
恋に落ちた。
いつも仏頂面で笑わない人と思っていた彼が、不意に見せた笑顔に。
空はこんなにもどんよりしてるのに、私の心は澄み切っていて気持ちいい。
これまでの些細なできごとや嫌な思い出がまっさらになる。
空はこんなにも重苦しいのに、私の心は空に飛びそうなほど軽やかで楽しい。
自然と顔がほころび、辺りの景色がキラキラ輝いて見える。
明日も彼の笑顔が見れるといいな。
「子供の頃の夢」
子供の頃の夢を覚えていますか?
「はい。」
その夢は叶いましたか?
「…いいえ。」
子供の頃はその夢が叶うと思っていましたか?
「はい。」
現状に満足していますか?
「…いいえ。」
まだ、あの頃の夢を諦められませんか?
「…はい。」
もし人生を巻き戻してやり直せるなら、子供の頃の夢を叶えたいですか?
「はい。」
最後の問いに答えた後、僕を乗せたタイムマシンは過去へと発進した。
「どこにも行かないで」
優しい両親のもとに産まれた礼儀正しく優秀な娘。それが私。
誰が見ても非の打ち所がない素敵な家族。
だがある日突然、私の中で何かが切れてしまった。
きっかけはテレビで、都会のある一角に問題を抱えた子供たちのスラム街のような場所があるというドキュメンタリーを見てからだった。
私はその日以来、あの街の光景が頭から離れなくなった。毎日毎日あの街の事を考えた。
次第に「私もあそこへ行きたい」という思いが強くなった。
両親は私の異変に気づいて、必死に涙を流しながら引き留めた。
「お願いだから…どこにも行かないで。あなたの居場所はここなのよ。」
追い縋る母親を見て、冷酷に言う。
「まだ私を縛るつもり?私の居場所はここじゃない。私は今までどこにも行けなかった。ようやく、自由になれる。」
母は呆然として、父には無言で平手打ちされたが、それでも私の足はあの場所へ向かっていた。
そして今思う、私はなんて愚かな間違いを犯したのだろうかと。
私は「自由」と「無秩序」を勘違いしていた。
自由な居場所なんかではない、ここはこの世の──。
自分がいかに満たされて、何不自由なく生きてきたのか痛いほど実感して、人目も気にせず路上で泣き崩れた。
「君の背中を追って」
社長と出会ったのは小学生の頃まで遡る。
都会から引っ越してきた彼は、持ち前の明るさと話術で直ぐにクラスに馴染んだ。
幼い頃からそんな人を惹きつけるカリスマ性のあった彼を僕はずっと陰ながら羨望の眼差しで見ていた。
「将来は社長になるんだ!」
それが彼の口癖だった。クラスメイトはみんな、バカにしたり面白がっていたが、何故か僕はそのバカみたいな夢が実現する予感がした。
そうして君の背中を追った結果、やはり君は夢を叶えた。最初は僕と2人の小さな会社だったが、
彼はまた自信満々に言った「よし、社長は叶えた!次はこの会社をでっかくするぞ。」
僕はまだまだ君の背中を追い続ける。