27(ツナ)

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10/20/2025, 11:50:21 AM

friends

たまに思うことがある。
私と君たちは出会うべくして出会ったのだろうかと。そういう運命だったのだろうかと。
途切れる縁もあったが、君たちとの縁は途切れなかった。
これが本当の友情なんだなと実感する。

家族愛とも恋愛感情ともまた違った、深い絆。
私は君たちに出会えて本当に良かった。
気恥ずかしくて、なかなか面と向かっては言えないけれど、
「友達になってくれてありがとう。」

親愛なるfriends.

10/19/2025, 11:32:42 AM

君が紡ぐ歌

僕は猫。もともと野良猫だったところを君に拾って育ててもらった。
君は僕を膝に乗せて窓辺で歌を歌ってくれた。
優しくて、暖かくて、とても心地の良い歌。
僕は君の歌声が聴こえるとすぐに君の所へ行く。

でも、君はいつの日からか窓際のベットから動かなくなった。
ゴホゴホ咳き込んで苦しそうで、歌もあまり歌わなくなった。

君はいつもベットから僕のことを眺めていた。
笑った顔と君の紡ぐ歌が聴きたくて、君の所へ行くと君は眠ったまま全然動かなかった。
歌が聴こえない。寂しいよ。
君のママがすごく泣いてる、パパもすごく悲しそう。
そっか…もう、君の歌は聴けないんだね。
僕の目から涙が出てきた。

10/18/2025, 11:42:40 AM

光と霧の狭間で

友人がある日、突然仕事をやめて消えた。
人づてに半月も色々と探して、ようやく居場所を突き止めたが、友人は地方の山奥にいた。

「おい、探したんだぞ!急に連絡がつかなくなって心配したんだ。お前ひとりなのか?奥さんはどうしたんだよ。連絡つかなくてさ。」
「…。」
「おい、おい聞いてるのか?もう少しで捜索願い出すとこだったぞ?」
「…。」
友人がおかしい。目が据わったまま口角だけ上げて、ずっと山の方を見ていた。
俺の質問には全くの無反応で、しばらく俺も無言で様子を伺っていると突然口を開いた。

「…光と霧の狭間で。」

「は?光と、霧?狭間?なんの事だよ?」
「光と霧の狭間で。」
顔は俺の方を向こうとせず、口だけが動いた。
俺は気味が悪くて、逃げるようにその場を後にした。
友人は「光と霧の狭間で、光と霧の狭間で、光と霧の─────」まるで壊れたロボットのようにそれだけをずっと繰り返していた。

10/17/2025, 11:24:06 AM

砂時計の音

子供の頃、祖父の家にあった砂時計が私のお気に入りだった。
暇があれば砂時計をひっくり返し、「サラサラ」と耳触りのよい音と滑らかに流れ落ちる砂を眺めては癒されていた。

大人になると時間に追われて砂時計を見ている余裕なんてなくなってしまった。
そんなある日、久しぶりに予定のない休日、あてもなく街を散策していると、少し奥まった路地の裏に平仮名で『あんてぃく』と書いてある雑貨屋を目にした。
不思議と私の足は無意識にその店へ向かっていた。
古めかしい重厚な扉を開けると、どこか懐かしく、沢山の品物が雑多に置かれたごく普通の雑貨屋だった。
「いらっしゃい。…うーん、欲しいのはこれかな?」と声をかけてきたのは、エプロン姿の店主と思しき老紳士。
私を見てそう言いうと、そこら辺の棚からヒョイと砂時計を取り出した。
「時間に追われているんだろう?たまには砂時計の音を聞く時間の余裕を持つとよいよ。」
それから私はこの店の常連になった。

10/16/2025, 10:30:44 AM

消えた星図

天体観測は良い。
快晴の夜、空を見上げると満天の星空。
ある夜、僕は友人を誘って星を見に行った。
赤いセロハンを貼った懐中電灯、コンパスに折りたたみ椅子、双眼鏡と星図を持って友人と意気揚々と観測ポイントへ向かう。

観測地に着いた時、僕の右手にしっかり握られていたはずの星図がどこにも見当たらないかった。
どこかで落としてしまったようで、必死に探したが一向に見当たらない。

肩を落としていると、友人が慰めるように言う。
「俺は天体観測?なんて今日が初めてだけどさ、その、星図?だっけ?がなくてもホラ!上、見てみろよ、すげぇ綺麗だぜ。」
子供のように無邪気に笑う彼につられて僕も空を見上げた。
「…あ、本当だ。」

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