心の旅路
おいていかないで。
貴方だけの行き先は
きっと見えなくなってしまうよ。
見つけるなら、僕と貴方で
迷いながらでも、同じ胸の内で
旅には終わりがあるから、
僕達が向かうのは終点だろう。
けど、終わりは失うことじゃないって
僕らこの旅で学んできただろ
いつかの終点は今じゃなくていいよ
今向き合うのはこの分かれ道だ。
何度後ろ見たっていいんだよ
最後に前を向けたらいいよ
終点で笑えたらそれでいいなんて
甘えてるけれど、確かに思えたんだ。
僕ら歩幅合わせて終点の先の先へ。
凍てつく鏡
貴方の顔が笑っている
それは良いことだ、良いことのはずだ。
貴方の笑顔が好きだったはずだ
例え貴方の時が止まっていようとも
鏡中で笑顔に凍てつく貴方が愛おしいはずだ。
されど、何だ。
この鏡に映る男の顔は
これは愛しいものを見ている顔であろうか。
鏡中で凍てつく笑みを見るたび
私さえ凍てついている。
目を外した幾分か後に気づくのは
高揚した感覚と、諦めに似た焦燥だった。
貴方を想い、眺めながら。
私はこの鏡に囚われている。
心の片隅で
心を後ろから刺されると
数cm程度から零れ落ちる何か。
何が入ってるかも分からない
玉手箱のようで夢のないもの。
心の中をそっと除けば、
入れた覚えのないゴミの山
今の心に名前を呼ぶなら
ゴミ箱ってお似合いの言葉。
喉が唸るには十分なようで、
宝物だったものもゴミ箱の中、
消えてないけど埋もれたものたち。
片隅できっと輝いているのに、
目を逸らし続けて何も無い明日を見る
雪の静寂
広がる景色は時に残酷で
滲んだ世界を雪は包む。
祈りの宛先はなくて、
錆びた玉座に朝日を捨てる。
世界は進み続けるのに
目の前の世界は時を止めてしまった。
愛したものは、
どれだけ歩んでも戻ることはなくて。
理解しても終わりは喉を通らなくて
誰もいなくなったこの場所で。
誰かがいた跡をなぞろう、
今日も雪が降る、
静かに声を包み残酷な世界を隠す。
君が見た夢
君に届く声がなくとも伝えたい
君が見た夢は、夢物語なんかじゃないことを。
君が夢を傷つけた日を今も思い出す、
聞こえるのは薄ら笑いの君の声と
震える肩に落ちた雨の音だった。
誰かに夢を壊される前に、
君はその手で夢を壊してしまった。
僕は君の手を抱き締められなかった、
そんな腑抜けた僕の手は、
ひしゃげた君の夢を拾い上げて
君が見た夢を紡いだ。
僕は君の手を抱きしめるように
紡いだ夢を君に捧ぐ。