大狗 福徠

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1/17/2026, 1:35:57 PM

木枯らし
寒い木枯らしの吹く日にあなたは教えてくれた。
愛というものはね、最も手早くて簡易的な呪いなんだよ。
ずぶ濡れたコートみたいに、着ても脱いでも寒くって、
ぼろぼろの布団みたいに、あってもなくても苦しいの。
だから私は愛はいらない。
最初からなければ、知らなければなんともないのだから。
目の見えない人が、見えなくて可哀想
と言われてもわからないように。
耳の聞こえない人が、聞こえなくて苦しいね
と言われてもわからないように。
知らないことは、弱みだけれど大きな盾になってくれる。
だから愛を知らないままでいる。
これが私の選択。
でも、けれども。
木枯らしの吹く日にあなたが教えてくれたものは。
木枯らしの吹く日にあなたが与えてくれたものは。
あれは、愛ではないと言えるのか。言えるのだろうか。

1/16/2026, 10:59:02 AM

美しい
親愛なるあなたは火葬
敬愛なる貴方は海の底
愛惜なる貴方は空の彼方
愛しきあなたは夜の奥
ひと雫のあなたはぽしゃんと落ちきって、もういない。
夜の霞に消え去って跡形もない。
水垢みたいにこびりついて私に残った貴方。
洗剤をつけて洗ってしまえばすぐに落ちてしまうでしょう。
けれど、落としてしまう理由がないの。
だって、だってとても素敵にこびりついているから。
愛が、愛があるから。
親愛なる、
敬愛なる、
愛惜なる、
愛しき貴方。
火で焼けて、
海に沈んで、
空に飛んで、
夜に消えてしまった。
愛している、愛しているわ。
信じてくれなくったって、愛しているわ。
だから、いつか。
きっといつか、あの水垢を落としに来てね。
きっといつか、また水垢をつけに来てね。

1/15/2026, 8:44:38 AM

どうして
海の青に私はなれない。
空の青に私はなれない。
青春の青に私はなれない。
あの花の青に私はなれない。
あの風船の青に私はなれない。
道端に咲く青々しい草にも。
インクの壺みたいな夜にも。
こんなにも、心は青を求めている。
むしろ、求めているからか。
私は青にはなれない。
澄んだ透明にも、重い暗がりにも、深い静寂にもなれない。
青には、あの青には決してなれない。
どうしてなどとは言わない。
求めている。
なれないことを知っている。
それだけで、どうしての答えは出ている。
私は青にはなれない。
あの青には決してなれないのだ。

1/14/2026, 11:46:56 AM

夢を見てたい
無地のベッドに横たわる。
別に無地ではないんだけど、
眠剤の過剰摂取で蕩けた目には無地に見える。
限界の眠気に甘んじて意識を落とせば
そこは夢の世界だった。
私の好きが繁茂した世界。
私の夢。
私の世界。
私の、
私の。


目が開いている。
朝日をとうに過ぎた夕暮れが見える。
やかましく鳥が鳴く。
起きた。起きてしまった。
怖い怖い怖い。
怖い。怖い。
怖いよ。
世界には、私の好きより私の怖いのほうがはるかに多いんだ。
私はちっぽけな存在。
ちっぽけな存在。
ちっぽけな、ちっぽけな。
雨戸を閉めて暗闇を閉じ込めて、もう一度布団をかぶる。
眠るの。眠らなくちゃ。眠いんだから。だって眠いんだから。ねぇ。
早く。早く。はやく。はやく。はやくはやくはやく。
ゆめを、みたいの。

1/8/2026, 11:49:29 PM

色とりどり
その昔私は弱かった。他人に目にひれ伏してしまった。
カラフルなのは心が踊る。
単色より同系統であれどいろんな色があったほうが好き。
ツートンとかも好きだけど氾濫レベルで色が蔓延っているのがいい。
無地よりも柄付きがいい。
そのつけられた柄のストライプに、ドットに、チェックに、
また別のアラベスク模様なんかが入っているのはとてもいい。
アクセサリーはゴチャつかせたほうが勝ちだ。
つけた装飾同士が当たってカラカラチャリチャリと
音を奏でることなどはまさに天国のようだ。
いつだって、いつだって私は私の好きでいたい。
でも今は違う。
バイオハザード、だっけ。
そんなこんなであっという間に人類は地上から姿を消した。
だから私は真に自由になったんだ。
誰も私の格好を褒めてくれないけど、かわりに石も投げないの。
無地無終の世界でようやく私に色がついたの。

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