「君の笑顔で1000年生きれるよ」
そんな事を彼は言っていた。
「何馬鹿なこと言ってんの」って言ったけど本当は嬉しかったのは秘密。
「りさー」
「なあに」
二人で夜のブランコを漕ぐ。
大人になってからブランコなんて漕いだこと無かったけど、晃が寄りたいとこがあるって言って連れてこられたのがここ。
「俺さー」
そう言ってこっちを見た晃は泣いていた。
「…」
「え、なんて、?」
「余命宣告があったんだ」
続けて晃が言う。
「でもりさと過ごしてたら越せたんだ」
「どういうこと、?」
「本当は1ヶ月前にはいなくなってる予定だったんだ」
晃が涙声で言う。
「でも、りさの笑顔で越せたんだ」
「何で今言うのよ、ばか、ばかだよほんと」
「ごめん…でもほんとだっただろ?」
「唐突すぎて受け止めれないけど、なんで先に言ってくれなかったの」
私もつられて泣き声になる。
その時の晃が1番綺麗だったと今でも言える。
「病気を言ったらりさの笑顔が見れなくなるだろ?」
「おれは居なくなっても1000年先で待ってる」
ふわふわとする意識に気怠い瞼が開く。
ぱっと目に映ったのは蒼い空。
自分の周りを見ると淡い紫色の花。
「ここどこ…?」
体を起こしてみるが何処にいるのか分からない。
ふと目に映る髪は腰位まであった。
おかしい。いや、さっきから色々と可笑しいが少なくとも目を覚ます前までは肩くらいだった。
思考停止してるからか後ろからの人影に気づかなかった。
「もー、こんなとこでまたお昼寝してたの?」
突然、声をかけられて肩が揺れる。
「リリア、寝惚けてるのー?」
振り返ると、ふわふわとした茶髪のロングが揺れている。
りりあ、とは私の事なのだろうか。
聞き覚えの無い名前に首を傾げる。
「早くいこっ、今日は花輪を編むんでしょっ」
「え、でも…」
「いいから行くよっ」
女の子は私の手を引いて走ってどこかに連れていく。
「ねえ、まって!」
…
「なあに」
ふとふわりと振り返る。やっぱり顔にもやがかかって髪色と姿しか見えない。
よく見ると同じくらいの身長でしかも、小学生くらいだ。
夢なのか…?あれこれ考えてると
「夢じゃないよ」
「ここは記憶の中」
何故か少し悲しそうな声に聞こえる。
なんだっけ、見覚えある気もする。
思い出そうとするが思い出せない。
「あーあ、時間がきちゃう。リリアともっと遊べるかと思ったのに。でももう暫く来ちゃダメだよ」
女の子の髪にも靄がかかり出す。
「まって!!貴方の名前はっ、さ…」
「どうかな?あ、これ持って行って」
そう言って私の手に何かを握らす。
「ばいばい」
ー私を忘れないで。
懐かしい何十年前に持病でこの世を去った幼い時の親友の声が聞こえた気がした。
もう一度目を覚ますと白い天井にさっきと違う萎れた手、肩にかかる白髪に涙をする家族が見えた。
「更紗、ありがとうね」
家族には聴こえない声で囁いた。
大好きな人が居なくなった。
もう二度と会えないんだ、
分かってはいたのにな。
認めたくなかった。
「私を置いて行かないって約束したじゃん」
「ねえ、貴女はどこにいるの?」
ブランコに揺られながら一人で呟く。
幸い、夜に近い為か人通りが少なく、誰かに聞かれる事気にしなくても大丈夫そうなのが救いだ。
「私も終わりにしよーかな」
ギーっとブランコが揺れる。
「約束破っちゃうね」
ギ、ギー、と不定期になるブランコ。
貴女と約束したけど、その貴女はもう二度と逢えない。
ぶわっと風がブランコの背中を押す。
ふわふわしてて何処か心地よい。
貴女と二人で漕いだ時を思い出すなあ…
「ふふ、冗談だよ。まだ明日も見るからまたね」