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12/14/2025, 2:55:40 PM

「死んだ人は、お星様になって私たちを見守っている」

と、大嫌いな母がそう言っていたのを思い出した。

俯きがちだった顔を、少し上に向けてみる。

都会とはいえ、冬になると空が少し賑やかになる。

キラキラ光ってる大きな星や、今にも消えてしまいそうなくらい小さな星。

貴方は、どこにいるのだろう。

貴方は……きっと、あの星だ。

とても明るくて綺麗なのに、周りに星たちがいない。

寂しがり屋で、甘えたがりのくせに、人を傷つけるのが嫌だからって、だからいつも1人だった。

空の上でも、貴方は1人なのか。

貴方はいつだって、1人ぼっちだ。

最後だって、貴方は1人だった。

寂しかったら頼ってって、あれだけいったのに。

貴方と一緒なら、私だって飛び降りることくらいできるのに。

あぁいっそのこと、今からでもどこかいい所を探して飛び降りてこようかしら。

なんて良くないことを考えていると、貴方の隣に小さな星を発見した。

「1人じゃないのか」

少しホッとした。

私が星になる必要はないみたい。

安心して息を吐く。息は白くなって消えていく。

今晩は冷え込むと、母が言っていたのを思い出した

12/13/2025, 10:45:26 AM

少し気持ちが沈んでいた、ある冬の日。

色んなことが上手くいっていない気がして、周りの目が怖くなって、何となく不安で、下を向いて歩いているときだった。

可愛らしい、鈴の音が、聞こえてきた。

前を向くと、小さな女の子が、鈴のついたプレゼントを持って、親と一緒に笑顔で歩いていた。

そうだ、クリスマスが、近いんだ。

忘れかけていた、大好きなクリスマス。

鈴の音が遠くなっていく度、顔が綻ぶ。

なんの根拠もない不安が、鈴の音と一緒に振り落とされた気がした。

12/10/2025, 6:02:03 AM

小刻みに震える貴方の手が、私の頬に触れた。

「温かい。貴方は、ホッカイロみたい」

冷たくて小さい貴方の手は、優しく私の頬を撫ぜる。

「もう、くすぐったいよ」

そういう私だって、貴方の手を振り払おうなんてちっとも思わない。

こんな都会に雪が降って、イルミネーションが街中を駆け巡ってる今日この頃。

冷え性で、外が苦手な貴方が珍しく、外に出ようと誘ってくれた特別な日。

私は貴方の手を優しく握る。凍える指先はまだ、震えていた。

貴方の頬は、真っ赤に染まっていた。

11/22/2025, 12:50:19 PM

化粧に興味がなかった私を、外に引っ張りだしたのは貴方だった。

「ねぇ、この口紅似合うんじゃない?」

「こんな色が濃いの、私に似合うかな」

「そんなに濃くないよ。これ、結構色控えめなんだよ。試しにつけてみようよ」

「えー、でも」

「定員さーん!試し塗りしたいんですけど!」

私の意見などお構い無しに、貴方は私の似合う色を沢山勧めてきた。

私は戸惑って、結局最初に勧められた口紅だけを買った。

今は社会人になって、最低限の化粧だけはするようになったけれど、貴方が選んでくれた口紅だけは、私の記憶にこびり付いて、離れなかった。

結局、今日新しいものを買おうと思って手にしたのは、貴方があの時選んでくれた口紅だった。

11/18/2025, 12:19:55 PM

記憶のランタン……記憶を残せるランタンなのかな?

そういうランタンがあったら、どんな記憶を残そうかな。

初めて雪に触れた、あの日。

私の書いた物語が同級生に面白いと言われた、あの日。

初めて音楽を聞いて泣いた、あの日。

どれもこれも、私が生きた証。

私がこの現代に生きた証を、ランタンの中に閉じ込めておけるなら、どんなに嬉しいだろう。

こんなちっぽけな人間が死んだって、誰も悲しまないし、喜びもしない。

でも、ランタンを通して、私という人間を、生き方を知って貰えるなら、そんな寂しさもきっと無くなると思うから。

まぁきっと、そんなランタンはこの世にないだろうから、私は小説を書いて、生きた証を残していく。

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