love you
君がこの陳腐な言葉を見た時、1番最初に脳裏に現れる存在になりたかった
別に雪が降っている訳でもないのに、冬になるとスノーブーツを毎日履いてたあの子。いざ雪が降ったら家に引きこもる癖に。僕の中に積もった雪を踏みしめて、ただ銀世界を君の足で汚して欲しかっただけなんだ。ああ君は冷たすぎるな。
全てが糸で繋がれたこの世界を
言葉という刃物で断ち切ろうとした
その美しさに思わず言葉が零れ
世界を縫い直す為に言葉を使うあの人の愛おしさに
思わず涙が零れたのだった
幼き僕は、シャボン玉に手が届かなかった
あの日、宙を彷徨うビー玉に一心不乱に手を伸ばした
あの頃の僕にとってシャボン玉とは煌めきを帯びたこの世界からの祝福だった
自分の掌は世界を抱擁出来ると信じていた
手が届いたその瞬間、まるでそれは最初から存在しなかったかのように跡形もなく弾けてしまうと誰が想像出来るのだろう
今の僕は、シャボン玉に容易に手が届く
しかしもうそれに手を伸ばすことは無いだろう
どうやら僕の手は抱擁するためのものではないらしいから
破滅という運命が利己的に、刹那的に、簡単に導けてしまうと知った
届くということは 罪なのだろうか?
確かにあの瞬間、何かが弾けた
それはきっとシャボン玉という名の世界の輪郭だった
届かなければ良かったのだ、届かなければ永遠に、永遠に失わずに済んだのに
ただ目を閉じることしか許されないのなら、僕の輪郭も弾けてしまえよ
誰か、僕に手を伸ばして 届けて
もしも君が
ふと帰ってきたなら、
君が好きだった映画を君ともう一度見たい
あの廃れた映画館はもう潰れていそうだけど
脚本だけ募っていく僕だけの映画館は
あの日々の再演だけが上映される
演者は君しかいないけど、君はもういないから
新作の公開予定など程遠く
今はただ反芻する機械に成り果てた
もう、公開を終了しても良いだろうか
この映画館は、時期に潰れてしまうだろう