彗星

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11/13/2025, 11:02:27 AM

題:結末

 物語の結末は、いつもハッピーエンド。
 でも、現実は、そうはいかない。

❁ ❁ ❁

 私ーーゼルダは、リンクのことが気になっています。
 ……いや、気になっているというか、もう恋に落ちています。
 つい、隣りに居るリンクを見てしまいます。
 最近は泉に沐浴するはずが、リンクと両想いになれるように祈ってばかりいます。だから封印の力が覚醒しないのでしょうね。
 実は私には、恋のライバルがいます。
 それは、リンクの幼馴染ーーミファー。
 ミファーは、リンクのことを私よりも知っています。
 私は、リンクのことをよく知っていると思っていました。なんせ、リンクは私の護衛ですからね。
 なのに、ミファーはそんな私よりも、もっとリンクのことを知っていた。
 それを思い知らされたときは、とてもショックでした。
 ーー私は、彼に見合わないのかと。
 でも、それが分かった後も、私はリンクを諦めなかった。
 例え彼がミファーのことが好きだとしても。
 私は、彼と両想いになるよう祈り続け。

❁ ❁ ❁

 私の恋の物語の結末は。
 ーーバッドエンド。
 結局、私とリンクは両想いにならなかった。
 祈りの果てがこれなんて……。
 神様は、なんて酷い方なのでしょう。

お題『祈りの果て』

11/10/2025, 12:54:12 PM

題:本当は

「じゃあロゼッタ、また明日!」
「また明日、ピーチさん」
 友達のピーチさんと別れて、自分の部屋に戻る。
 疲れ切っていた体をベッドに沈めると、大分楽になる。
 ピーチさんと別れた後は、周りがしんとしている。それくらい明るい人なのだ。
「はぁ~」
 溜め息をつく。その溜め息は、ベッドに消えていく。
 ピーチさんがいないと、とても寂しい。
 空気が暗いというか、重いというか、そんな感じがする。
「ピーチさんに会いたいな……」
 なんて、言ってしまうこともある。
 ピーチさんとは、たまにパーティーをやる。
 その時のピーチさんは、いつもよりさらに華やかになっていて、目に楽しい。また一つ、ピーチさんのことが知れたような気がして嬉しいのだ。
 長い時間一緒にいるからこそ、いなくなると途端に寂しくなる。
 私にとって、大事な大事な友達なのだ。
 ……でも、やっぱり寂しくて。
 ピーチさんに会いたくなる。
 人とこんなに仲良くしたことは無かった。人と仲良くなりたいと思ったことも無かった。
 けれど、そんなキッカケをくれたのも、ピーチさん。
 寂しくて。恋しくて。
 だから、会いたい。

お題『寂しくて』

11/9/2025, 12:59:36 AM

題:ありもしない(ワルロゼ恋愛)

 一度だけ、空を飛んだことがある。
 ……ように思っただけ。
 本当は、ありもしない翼を広げて落ちただけなんだけれど。
 その時、私の体を受け止てくれた人がいた。
 それが、紫の彼ーーワルイージさん。
 受け止められたその瞬間、心臓がトクンと音を鳴らした。
 そして紫の彼は、
『大丈夫か?姫さん』
 と言った。
 さらに心臓は煩くなってーー。
 自分が恋をしていることに気づいたのは、天文台に着いた頃だった。体中が、熱かった。
 後でバトラーに相談したら、ニヤニヤされた。
 それからはちゃんと空を飛べるように、飛行魔法の精度を上げた。
 でも時々、こんなことを思う。
 ーーまた、受け止めてほしいな。
 と。
 でもそれは仕方のないことなのだと思う。
 恋をした瞬間、今まで味わったことのない感情が押し寄せてくる。
 なぜかドキドキする。
 最初はわからなくとも、後で理解し、恋だと気付く。
 私はあの時の透明な羽根に感謝している。

お題『透明な羽根』

11/8/2025, 7:19:58 AM

題:命

 命には、限りがある。
 そんなことは分かりきっていた。
 ーー私はそれを、否定した。

✧ ✧ ✧

 楽しい日々だった。
 ママは、魔法が少し使えたけど、私は完璧に使いこなせていた。
 ママの魔法は、『人を幸せにする魔法』。
 私の魔法は、『星を操る魔法』。
 私はもっと他にも魔法が使えた。
 ……病気を治す魔法は、使えなかった。
 ママは、不治の病に冒されていた。それは、長い年月をかけて、ママの身体を蝕んでいった。 
 私は病気のことを知らされていなかった。
 きっと、私に心配をかけさせたくなかったんだと思う。
 そうして、ママはいなくなってしまった。

✧ ✧ ✧

 自分が魔女だと気付いたのは、チコのママを探しに星の世界に旅立ってからだった。
 私は、とても長い間探した。
 ……見つからなかった。最初から分かっていた。
 でも、泣いている私をチコが救ってくれた。
 ーー自身の命の灯火を消して。

✧ ✧ ✧

 それから私は、チコ達のママになった。
 私はこの子達のママになってから、夜に必ずやることがある。
 それは、灯火をチコ達と囲むこと。
 私のために星になってくれたチコに感謝してーー。

お題『灯火を囲んで』

11/3/2025, 11:49:26 AM

題:運命

 ーー私のママは、病気だった。
 ママからは、そんなことは聞かされていなかった。いつも元気だった。笑顔が綺麗だった。
 無理をしているようには、とても見えなかった。
 ママが出かけていたのは、多分病院に行って診てもらっていたのだろう。
 そこでママは、不治の病だと、言われたのかもしれない。
 パパはママの病気を何とか治そうと頑張っていたのだろう。私が知らないところで。
 ……どれだけ手を尽くしても、ママの病気は治らないと分かっていながら。
 運命とは、神の与えた試練だと、私は思う。
 神は乗り越えられない試練など与えないと信じている。
 ……ママは、死という試練を与えられた。
 大切なものを捨て、散ることを。
 その試練をなぜママに与えるのか。理不尽でならないと思っていた。
 何度もママを連れて行かないでと、行かないでと、星に、神に願った。
 でも、その願いが聞き届けられることは無かった。
 運命には逆らえない。
 それは、ママが一番よく分かっていたことだ。
 なのに私は、運命が変わることを願った。こんな非力な私では、決して変えられないというのに。
 ……でもね、ママ。
 大切なものを奪われた代わりに、大切なものができたの。
 ………好きな人が、できたんだ。
 私はその人が愛おしくてたまらない。本当に大切なものを見つけた気がしたんだ。
 この人だけは、行かないでほしいと、本気で願った。

お題『行かないでと、願ったのに』

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