題:結末
物語の結末は、いつもハッピーエンド。
でも、現実は、そうはいかない。
❁ ❁ ❁
私ーーゼルダは、リンクのことが気になっています。
……いや、気になっているというか、もう恋に落ちています。
つい、隣りに居るリンクを見てしまいます。
最近は泉に沐浴するはずが、リンクと両想いになれるように祈ってばかりいます。だから封印の力が覚醒しないのでしょうね。
実は私には、恋のライバルがいます。
それは、リンクの幼馴染ーーミファー。
ミファーは、リンクのことを私よりも知っています。
私は、リンクのことをよく知っていると思っていました。なんせ、リンクは私の護衛ですからね。
なのに、ミファーはそんな私よりも、もっとリンクのことを知っていた。
それを思い知らされたときは、とてもショックでした。
ーー私は、彼に見合わないのかと。
でも、それが分かった後も、私はリンクを諦めなかった。
例え彼がミファーのことが好きだとしても。
私は、彼と両想いになるよう祈り続け。
❁ ❁ ❁
私の恋の物語の結末は。
ーーバッドエンド。
結局、私とリンクは両想いにならなかった。
祈りの果てがこれなんて……。
神様は、なんて酷い方なのでしょう。
お題『祈りの果て』
題:本当は
「じゃあロゼッタ、また明日!」
「また明日、ピーチさん」
友達のピーチさんと別れて、自分の部屋に戻る。
疲れ切っていた体をベッドに沈めると、大分楽になる。
ピーチさんと別れた後は、周りがしんとしている。それくらい明るい人なのだ。
「はぁ~」
溜め息をつく。その溜め息は、ベッドに消えていく。
ピーチさんがいないと、とても寂しい。
空気が暗いというか、重いというか、そんな感じがする。
「ピーチさんに会いたいな……」
なんて、言ってしまうこともある。
ピーチさんとは、たまにパーティーをやる。
その時のピーチさんは、いつもよりさらに華やかになっていて、目に楽しい。また一つ、ピーチさんのことが知れたような気がして嬉しいのだ。
長い時間一緒にいるからこそ、いなくなると途端に寂しくなる。
私にとって、大事な大事な友達なのだ。
……でも、やっぱり寂しくて。
ピーチさんに会いたくなる。
人とこんなに仲良くしたことは無かった。人と仲良くなりたいと思ったことも無かった。
けれど、そんなキッカケをくれたのも、ピーチさん。
寂しくて。恋しくて。
だから、会いたい。
お題『寂しくて』
題:ありもしない(ワルロゼ恋愛)
一度だけ、空を飛んだことがある。
……ように思っただけ。
本当は、ありもしない翼を広げて落ちただけなんだけれど。
その時、私の体を受け止てくれた人がいた。
それが、紫の彼ーーワルイージさん。
受け止められたその瞬間、心臓がトクンと音を鳴らした。
そして紫の彼は、
『大丈夫か?姫さん』
と言った。
さらに心臓は煩くなってーー。
自分が恋をしていることに気づいたのは、天文台に着いた頃だった。体中が、熱かった。
後でバトラーに相談したら、ニヤニヤされた。
それからはちゃんと空を飛べるように、飛行魔法の精度を上げた。
でも時々、こんなことを思う。
ーーまた、受け止めてほしいな。
と。
でもそれは仕方のないことなのだと思う。
恋をした瞬間、今まで味わったことのない感情が押し寄せてくる。
なぜかドキドキする。
最初はわからなくとも、後で理解し、恋だと気付く。
私はあの時の透明な羽根に感謝している。
お題『透明な羽根』
題:命
命には、限りがある。
そんなことは分かりきっていた。
ーー私はそれを、否定した。
✧ ✧ ✧
楽しい日々だった。
ママは、魔法が少し使えたけど、私は完璧に使いこなせていた。
ママの魔法は、『人を幸せにする魔法』。
私の魔法は、『星を操る魔法』。
私はもっと他にも魔法が使えた。
……病気を治す魔法は、使えなかった。
ママは、不治の病に冒されていた。それは、長い年月をかけて、ママの身体を蝕んでいった。
私は病気のことを知らされていなかった。
きっと、私に心配をかけさせたくなかったんだと思う。
そうして、ママはいなくなってしまった。
✧ ✧ ✧
自分が魔女だと気付いたのは、チコのママを探しに星の世界に旅立ってからだった。
私は、とても長い間探した。
……見つからなかった。最初から分かっていた。
でも、泣いている私をチコが救ってくれた。
ーー自身の命の灯火を消して。
✧ ✧ ✧
それから私は、チコ達のママになった。
私はこの子達のママになってから、夜に必ずやることがある。
それは、灯火をチコ達と囲むこと。
私のために星になってくれたチコに感謝してーー。
お題『灯火を囲んで』
題:運命
ーー私のママは、病気だった。
ママからは、そんなことは聞かされていなかった。いつも元気だった。笑顔が綺麗だった。
無理をしているようには、とても見えなかった。
ママが出かけていたのは、多分病院に行って診てもらっていたのだろう。
そこでママは、不治の病だと、言われたのかもしれない。
パパはママの病気を何とか治そうと頑張っていたのだろう。私が知らないところで。
……どれだけ手を尽くしても、ママの病気は治らないと分かっていながら。
運命とは、神の与えた試練だと、私は思う。
神は乗り越えられない試練など与えないと信じている。
……ママは、死という試練を与えられた。
大切なものを捨て、散ることを。
その試練をなぜママに与えるのか。理不尽でならないと思っていた。
何度もママを連れて行かないでと、行かないでと、星に、神に願った。
でも、その願いが聞き届けられることは無かった。
運命には逆らえない。
それは、ママが一番よく分かっていたことだ。
なのに私は、運命が変わることを願った。こんな非力な私では、決して変えられないというのに。
……でもね、ママ。
大切なものを奪われた代わりに、大切なものができたの。
………好きな人が、できたんだ。
私はその人が愛おしくてたまらない。本当に大切なものを見つけた気がしたんだ。
この人だけは、行かないでほしいと、本気で願った。
お題『行かないでと、願ったのに』