箱から1つ
チョコレートを取り出す。
パキッと口の中で噛むと
チョコレートはとろけて
時間すら溶かしてくれる。
気がついたら
To doリストが全て終わっていて、
私は甘いものを食べたら
大いに集中できることがわかる。
でもたまに不安になる。
甘いものを食べた後の、
集中している時のことが
思い出せないのだ。
もしかしたら私の中に違う自分が…
なーんて、
考えるだけ無駄だと思ってやめた。
やることが出来ていたら
もうそれでいいのだ。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいけど?
私は甘いものを食べたら
必ず集中しちゃうから
貰えなくても?寂しくないし?
別に友達がいないわけではないし?
自分が集中したい時にできるよう、
チョコレートを買うだけだし?
誰からも貰えないからって
自分で買うってわけでは…。
さすがに悲しくなってくる。
とほほ…。
仕事では
この集中力にとても助かっている。
早く片付くからだ。
物事の判断も早く出来ているっぽいし、
気がついたら退勤なんて
天職だ。
私は鼻をつまんで
今日の仕事場を見に行く。
うわぁっとなる。
こりゃあ派手にやったな。
血まみれの壁と床。
死体こそ無いが、
どこにあったのかすぐにわかってしまう
血溜まりがあった。
私はすぐにチョコレートを食べ、
全てに集中し始めた。
"Good Midnight!"
ふぅ。
私の仕事は
デスゲームの後処理。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいね。
まあ、
こんなバレンタインも悪くない。
甘くてとろける夢を、
ハッピーバレンタイン。
妹を
日と日の間に
置いてきた。
ここなら安全だからって
殺風景すぎるところに
置いてきてしまった。
しかし私と一緒に行動して
怪我でもしたら…。
そんなのは上辺でしかない。
本当は足手まといになるから。
大した仕事もしないくせに
付きまとわれたら
たまったもんじゃない。
私は私らしく
広々とやれた方がいい。
だから邪魔な妹は
大人しく私の帰りを
待ってるだけでいい。
なのに
どうしてかなぁ。
とっくに愛なんて無かったはずなのに、
信じてる、気をつけて。
なんて言われたら
行きたくも無くなって
置いていきたくも
無くなっちゃったんだよなぁ。
急すぎて怖くなって
そのまま出てきちゃって、
私はもう崩れ落ちるしかなかった。
ただの足手まとい、
傍にいられるだけで邪魔。
でも愛おしい。
私に弱さが生まれる。
つけ込まれたら
逃げられないような。
"Good Midnight!"
それでも待ってて。
私が絶対に
迎えに行くから。
今すぐ伝えたい。
踏切の音は
電車が通っていく音は
こんなにも夏を思わせるんだと。
珍しいところに神社があって
そこには珍しい神様がいて。
でも踏切がカーンカーンと鳴って
電車が通って
バーが上がってからじゃないと
その神社にはたどり着けない。
人を選ぶ、というより
ただの気まぐれ。
そこの神様は
狛犬っぽくて
猫又っぽくて
どこか狐のようにも見える。
ある山の峠近くにあって
中はほぼ何も無く、
ただ広いだけ。
でも神社に入れば
ガラッと雰囲気が変わる。
あんなに広いだけだった中は
屋台や盆踊りの音楽で溢れる。
花火も上がって
当たりは夜中になっている。
まるで夏のある日の
夏祭りのように。
"Good Midnight!"
冷え込む朝は
少し暖かい神社で
ヨーヨー釣りでもどうですか。
そう宣伝したくなるような
不思議な神社。
夜更かしが好きな人のための
夜更かしするための列車、
夜の鳥。
地面とは少し離れた
高いところにある線路を、
空を走るように進んでいくから
景色がいい。
家もお店も
キラキラと光っていて、
上も星と月で宝庫みたい。
こんなに輝いている世界を見ないのは
もったいない気がして、
車両のベッドでくつろいでは
いられなかった。
少し外の空気を吸いに出ると
ガタンゴトンという音が
よく聞こえるし、足に響く。
すぅーっと息を吸えば
冬の夜の匂いがする。
ちょっと乾燥してて、
冷たくて、
夜!って感じがするこの空気が
私は好きだ。
これだから夜更かしはやめられない。
でもやっぱり寒くて
車両の中に戻って
窓だけ開けて本を読んでいた。
中からでも
微かにガタンゴトンという音が聞こえて
一定のリズムで揺れる。
私にとっての幸せって
夜の鳥にいる時だよなぁって
つくづく思う。
今日はなんだか
いつもより眠たい。
欠伸をして寝落ちる準備。
幸せな時間も
次に目を開けたら終わっている。
"Good Midnight!"
手を伸ばしても
月には届かない。
そんなこの場所で、
いつかまた。
誰もがみんな、
今日を通過していく。
ため息もつきたくなる。
うずくまって
人の目なんか気にせずに
泣きたい一瞬だってある。
幸せなんか、
壊れやすいくせに
手が届きにくい。
今この瞬間
全く同じ気持ちの人なんか
どこにもいない。
世界は広くて
ちっぽけだから。
何があったとしても
全部大丈夫だって
受け止めれるように、
自分のやりたいことを
少しでも好きなだけやる。
そうやって毎日を通過していく。
"Good Midnight!"
まだここに無い出会い、
私が私としてここにあって、
こうして綴っている出会い。
全ては命を運ぶ
運命であると。
そしてその
素敵でわがままな運命に
幸あれと。