バスクララ

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2/4/2026, 1:48:02 PM

「やあ君、いいところに! ちょっとこれを見てくれ」
 昨日と一昨日と学校を休んでいた先輩が、何事も無かったかのように私を手招きしてきた。
 私は呆れたやら心配して損したやら安堵したやら、いろんな思いが胸を駆け巡り、なんかどっと疲れた気分になった。
「……何してたんですか」
 ただそれだけを言うと、先輩は首を傾げてさも当たり前のように答えた。
「学校をサボっていたぞ? 考えたいことや調べたいことがあったからな」
「よく親が許しましたね……」
「体調悪いと言ったからな。自分で言うのもなんだが私は風邪を引いたことがほぼなくてな、親が一も二もなく休ませてくれたぞ。
実際頭が痛かったから体調悪いのは嘘ではなかったし、まあ大目に見てくれ!」
「別に怒ってませんよ……
で、何ですか?」
 机の上に広げられていたそれは綴じられた原稿用紙の束だった。別段変わったところは無さそうに見えるけど、先輩が手招きするくらいだから何かあるのだろう。
「見たまえ」
 先輩が一番最後のページを開く。そこにはリンドウの押し花と誰かのKissマークがあった。
 押し花はともかく、Kissマークが異質すぎて思わず小さな悲鳴をあげてしまった。
「な、なんですか、これ……」
「わからない。私にはこれを作った記憶も、誰かから貰った記憶もない。
まるっきり謎の存在なんだ」
「え……まさか、呪いのアイテムとか……?」
「いや、そういう気配は一切ない。
むしろ……違和感を抱くことに特化した物のような……?」
 先輩はアゴに手を当て、むむむと考え込む。
 でもすぐにバッと顔を上げて「わからん!」と叫んだ。
「仕方がないから運動だ! ラジオ体操第一をするぞ!」
 そう言ってすぐにラジオ体操の曲を口ずさみながら背伸びの運動を始める先輩。
 ……なんというか、これぞ先輩だなあ……
 そんなことを思いながら私は図書室で借りた本を読み始めるのだった。

2/3/2026, 3:47:27 PM

「問おう。なぜ君は小説を書く?」
 部室に来て早々、腕を組んで真剣な顔をした先輩が仁王立ちで私にそう訊いてきた。
 その目はしっかりと私を見据えていて、まるで猛禽類のように鋭い。威圧感もたっぷりで思わず後ずさりしてしまった程だ。
 変な返答したらどうなるかわからない。そう直感した私はしっかり考えてから言葉を出す。
「……私の書いた小説で誰かが楽しんでくれたら嬉しいからです」
「ほう。それは1000年先も楽しめるようなものか?」
「……それは、さすがに……」
「弱気になるな!」
 いきなりの大声に体がビクッと跳ねた。
 しかし先輩はお構いなしに言葉を続ける。
「自信を持て! せっかくの才能を自分が信じないでどうする!
胸を張れ! 自分の書いた文は未来永劫語り継がれるものになるのだと!
君なら成し遂げられる!」
 ドン! という漫画の効果音が付きそうな威勢のいい声が部室に響き渡った。
 てっきり怒られると思ったけど、これは……褒められてるのかな……?
「……ありがとう、ございます……?
でもなんで急にそんなことを……?」
 戸惑いながらそう訊くと、先輩は少しバツの悪そうな顔をしてこう答えた。
「……忘れていたことを少し思い出しただけさ。
すまない、今日は早引きさせてもらうよ」
 そう言い終わるとすぐに先輩はカバンを持って私の横をすり抜ける。
 あまりにも突然だったから引き止める暇もなかった。
 一人残された私はしばらく呆然としてたけど、このまま小説を書く気分になれなかったから私も家に帰った。
 明日になればいつもの先輩になるだろうと思っていた。だけど、次の日、その次の日も先輩は部室に現れることはなかった。

2/2/2026, 2:59:51 PM

「勿忘草の花言葉は『私を忘れないで』……人間って時々ド直球で適当な花言葉を考えるよねえ。
まあ君が彼らに贈った花は竜胆だったけどさ」
「……私の名前の由来にもなった花だ。彼らもそれをわかっていたから、記憶のトリガーになればいいと願いを込めたのだが……」
「あはっ、ほとんど意味なかったよね!
あ、そうそう気になってたんだけど、人はどうしたって忘れる生き物なのにどうして忘れることが前もってわかったらあんなにも拒否反応を起こすの?」
「……おそらく、そこまでに得た知識、経験、思い出が全て無に帰す気がするからではないだろうか。
人は無意味なことを嫌う傾向にあるから」
「ふーん、そういうものか。
まあ君も無駄な足掻きをしてたけどね。
散々人に忘れるな忘れるな言っていたのに結局忘れ去られてさ!
あはははっ! 今思い出しても笑える! 人間ってやっぱり口だけなんだよね!
でもあの魔女が出しゃばらなかったらみーんな君のこと忘れてたのに、余計なことしてくれてさあ。
ほんと、やんなっちゃう」
「……心にも思ってないくせに」
「あ、バレた?
そうだよ。彼らの下した選択、決断にこの僕が嫌になることはない。
面白可笑しく見守って時々ちょっかいをかけるだけだよ。君たちの物語をね」
「……悪魔め」
「ひどいなあ。創造神さまって呼んでよ」

2/1/2026, 3:07:18 PM

よく母が歌っている歌がある。
それは『ぶらんこけむし』という童謡。
毛虫がブランコしている歌ではなく、毛虫がぶらぶら揺れているのを表現した歌なのだ。
母はこれを幼稚園で習ったと言うが、私も兄も習ったことがない。というか日常生活でもあまり(子ども含む)他者が口ずさんでいるのを聴いたことがない。
童謡の中でもかなりマイナーな部類だろう。
……というか、母のように習った人はごく少数なような気がする。
G◯◯gle検索をしてみてもあまりヒットしなかったし。
なので、もし知ってるor習った人がいたら誇っていいと思う。
自分はマイナーな童謡を知ってるんだぞと。
……まあ、ここまで書いて実はかなりメジャーとかだったら実に申し訳ない。
その場合は私の周りでは全く流行ってないということにしておいてほしい。
いやそれもかなり失礼か。

1/31/2026, 2:39:33 PM

世界中を旅して歩いて、時々国も救った。
英雄と呼ばれても自分らしく気ままに旅を続けてもうどのくらいになっただろう。
時々旅が辛くなることもあるけれど、やっぱり少し経つと旅をしたくてたまらなくなる。
だから僕の根っこの性分は旅人なんだろう。
そんな僕の旅路の果てには何が待ってるのかな?
きっとまだまだ遠くにあると思うけど、ちょっとだけ楽しみだ。

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