光と影
羨ましかった。
ずっと、ずっと、
何をやっても褒められ可愛がられるあいつが。
あいつと対比するために生まれたかのような僕は何をやっても詰られる。
褒められることもできず愛想だってない僕。
あいつが光だとすると僕は影に過ぎない。
そんな僕を気にいったらしいあいつは僕を連れて過ごした
僕の意見なんか聞かず好き勝手。
怪我をしたら2人して怒られる。
テストで百点を取ったらあいつも百点。
あいつの周りには人だかりができて惨めになる。
何で後になって僕を褒めるんだ。あいつにしか認められないと証明してるようなものだろうが、
だんだんあいつだけが大きくなって、僕は群衆に紛れる。
何一つとして変わらない生活を送った僕の片割れは呪のようにこのディスプレイの向こうに姿を見せる。
身を分けた二人なのに。なぜこんなに僕だけ惨めなのだろう。
強すぎる光に焦がされて影は消滅するべきなのかも知れない。
影の一つにもなりたくない僕はもうあいつの引き立て役にもなれない。そんな僕に存在意義はあるのだろうか。
所詮影は光によって存在するものだから。
君が紡ぐ歌
「歌姫」
一度聞けば頭から、身体から、本能からこびり着いて離れない
君が歌う度辺りは静になる
絶えず君の周りを取り囲む人間は既に君の物だ
君の歌は、美しい音色はバイオリンのようで自分の語彙力のなさを痛感する。
この世の賛辞の全ては君の為にあるのだろう
君の歌はすべてを救うだろう
君の声は歌はすべての人を幸せにする
人魚ですら嫉妬するほどの美しい歌姫よ
君のような美しい人魚は人間の醜い妬みの果てに人間を滅ぼしてしまえるのだろう
どうか幻滅しないでおくれよ
あぁ美しいひと、
君の紡ぐ歌は、君は、なんて、なんて、
とても言葉に表せない…
君にこの大地も、太陽も、宇宙だって捧げたい…
だからお願いプリンセス
泡となって消えないでおくれよ
moonlight
空を見上げる。
すっかり暗くなった空は辺りの光に照らされて霞んで見える。
もう夜中というのにまだらに光が漏れるここ(都会)に居ると生物としての何かを失っていく気がする。
実家から見た星は綺麗だった。
月明かりを頼りに少し開けたところへ行く。
そこで見る夜空は蛙の鳴き声とともに輝いていて、それが当たり前に感じた事は幸福なんだと思う。
天の川がはっきりと分かる。夏の大三角を指さして、地面に寝転がる。
いつまでもキラキラと輝く星はよく覚えてる。
明日は三連休……
新幹線取れるかな…
昔と変わらない月光と無機質な光に照らされつつ、駅へと向かった
「コーヒーが冷めないうちに」
「あれ?〇〇ちゃん?どこに行ったの?」
夜、少しだけ夜更かししようとコーヒーを2つ淹れた。
キッチンからリビングに戻った時、君は居なかった。
引いた形跡のある椅子
封の開いたお菓子
僕がいた時にはついてなかったテレビはついている
まるで神隠しだ。
きっとどこかへ隠れているのだろう。
君は輝くほど美しいから月のない夜でもきっと見つけれる
君をコーヒーが冷めないうちに見つけてみせるよ
僕と一緒に
あぁ、もうだめだ
何度そう思っても決行する勇気なんてなくて淡々と時間は進んでいく。
同じ時間に立ってたはずなのに今はもう置いていかれた
そんなある日男の子が現れた。
男の子はよく近所の公園に連れ出してくれた。
なぜだか男の子となら外へ出れた。
走り回る体力はないし、年齢的にも恥ずかしい。
だけどブランコに乗るだけでも気分が晴れてく気がした
お母さんも少しずつイライしなくなっている。
やっぱり僕のせいでストレスかけてたんだなぁ…
そうやって時々公園に行く日が増えて、その日も公園てのんびりブランコに乗っていた。
昼10時ただぼうっと外を眺めていると突然声をかけられた
「おい、何してんの?ひさ¥^\:」+#0*☆」
忘れもしない同級生の男の子だった。
なにかされたわけじゃない。なんならよく話しかけてくれただけなのに怖い。
怖くて怖くて仕方がなかった。だんだん真っ青になっていたのだろう
「おいっ、大丈夫か?」
僕の肩に触れそうになってつい手で払ってしまった
謝罪もせずに逃げ帰る僕は情けなかった
結局また外に出られなくなった。
同級生は私服だった、たまたま休んでいたのだろう、はたまた学校が休みだったのだろう、だから大丈夫
そう何度も言い聞かせたって手が震えてくる
そのたびに男の子が現れて慰めてくれる。
少し安心した僕はいつものようにベットに転がって天井を見あげる日々。
それでも外に出るよりはましだった、またあの同級生に、やつらに出会うよりはずっとずっと。
朝方フラッシュバックした夢に目が覚める。
つい跡の残った腕を見て安心する
「大丈夫、君は濡れてない、もう誰も君を害しない」
男の子はそう声をかけてくれる。
今日も味のしない朝ごはんを胃袋に詰め寝転がる。
本を読んでも絵を描いてもゲームしたって面白くない
文字を認識できない。絵を理解できない。ゲームを操作できない。
何も出来なくなった僕はただぼうっと天井を眺める。
気付いたら眠っていたようだ。
やつらに虐められた夢を見て目が覚める。
腕の切りつけられた跡は未だに痛む気がする。
何が悪かったのだろう。何が原因だろう。
いくら考えたって自分にはやりようがなかった。
ただ同級生と仲良くしただけだった。
仲良くしただけなのに目をつけられた。
強いて言うなら同級生は人気物だった、それだけだ。
その日は何かおかしかった。
いつものように飛び起きていつものようにご飯を押し込む
気付いたら男の子に誘導され気付いたらマンションの屋上にいた。
フラフラと手すりに近づいて思い出す。
あぁ、だめだと、約束したと。
「〇〇、これからもずっと友達でいようなっ!」
そう言ってくれた、公園で会った、今僕の手を引いているあいつの姿を、
見て思い出した。
あいつはそんな事を言わない。分かっている。
けどあいつの姿なら偽物でもいい気がする。
自分に弱い。分かってる。分かってるけど怖いんだ現実が。
あいつならどう言うだろうきっと
「そんな奴らぶっ飛ばしてやろうぜ」
…そうだよな、逃げないよな。
こんな偽物を作るのはきっとあいつへの冒涜だろう
僕は手すりをぎゅっと握りしめ階段を駆け下りた
X年後
▶〇〇☓ ぼく
××へ僕と遊びに行きませんか?