時は流れ
誰もが大人になる
守られていた時代は終わりを告げ
いつか世界に放り出される
変わらなければ
置き去りにされる
今より強くならなければ
社会に溶け込むスキルを身に付けなければ
なのにどうして
子供の頃より壊れやすい心で
どうして
押し潰されそうな日々を生きているんだろう
どうして
無邪気に笑えたあの頃のように
どうして
大好きな自分のままでいられなくなるんだろう
それが大人になるということ
だというのなら
そんな大人になんかならなくてもいい
時が流れても
自分は何も変わらないよ
守られる立場から守るべき存在のいる世界へ
自分のままで泳ぎ続けてゆくよ
あの頃の自分に
「どうしてそんなにつまんなそうなの?」
なんて聞かれないように
あの頃の自分に
「思うほど大人は悪くないぞ」と
胸を張って伝えられるように
公園のベンチで目を覚ますと、
いつもの新宿の街の喧騒。
始発で帰るつもりが、寝過ごしたらしい。
公園を出て、駅へと向かう。
途中、昨日見たデザイン関連の会社の前を通り過ぎようとして、思わず立ち止まる。
見慣れた、消費者金融の事務所が看板を掲げていた。
駅へと走り、そこが新宿駅であることを確認。
…ロンジュキはどこへ行った?
絶望が押し寄せてくる。
どうしていいか分からずに、とにかく現状を伝えようと、妻にLINEする。
「始発で帰るつもりだったけど、もう家には帰れないかもしれない。」
しばらく待つと、既読が付いて、しばらくすると、返信があった。
「昨夜、変な夢を見たの。あなたが、駅のホームのベンチに座り込んでる夢。それを私はそばで見てた。あなたは私とLINEして、駅を出て、消費者金融の会社に火を付けるの。あなたは泣いてた。私の名前を呼びながら。」
ああ、昨夜こっちの世界にいた自分は、計画をやり遂げた訳だ。いや…それとも、俺は自分が昨夜やったことを忘れているだけなのか?
でも、事務所は燃えていなかった。
妻からの追伸が届く。
「何がどうなってるのかは、私には分からない。でもただ、あなたに帰ってきてほしい。」
人であふれる、新宿駅のいつものホーム。
もちろん改札には壁なんてなかった。
きっと俺は、一夜の夢を見ていたんだな。
妻と同じように。
ずっと夢を見ていたいと思ったけど…いや、違う。
あの夢の続きでは、妻の気持ちは伝わらなかった。
今、何よりも大切なものを手に入れた気がして、
俺は今すぐ、妻のもとに帰りたいと思った。
ずっとこのままじゃいられない。
駅のホーム。
夜の帳が降りて、次の電車は来ない。
ベンチに座って、どうしたもんか考えている。
いつも通る改札が、ただの壁になってた。
駅から出られない。
ホームには誰もおらず、辺りにも人の気配はない。
思えば、この駅に降りたのが自分一人だったことが、そもそもの異常の始まりだった。
だってここは新宿駅。金曜の夜。
ほぼほぼ満員だった電車は、自分を残して走り去った。
そして、次の電車は来ない。
いざとなったら、線路に降りてフェンスを乗り越えようか…と考えていた矢先、スマホが震えた。
画面を見ると、妻からのLINEだった。
「どこにいるの?」
シンジュク、と書いて返信する。
「どこそれ?ロンジュキのこと?」
ロンジュキ…そんなお店があったっけ?
いや、新宿駅だよ、と送ると、
「ちょっと…どこの駅よ、それ。」
…ヤバい。何かヤバいことに巻き込まれてるようだ。
そういえば、街の灯りがまるで見えない。
深夜とはいえ、新宿だぞ。
金曜の夜に、まるで人の気配がしないとはこれいかに。
ふと気付くと、目の前に駅名表示板があった。
そこには、「論寿樹」と書かれている。
ロンジュキ…これか。ここがロンジュキなのか。
新宿じゃなくて、論寿樹。
あれ…もしかして…スマホを取り出し、妻にLINE。
「どうすれば、改札を通り抜けられるんだっけ?」
「チャージ切れなの?ちゃんと壁にタッチした?」
改札だったはずの壁に定期をかざす。
壁が消えて、見慣れた改札が現れた。
いつものように改札を抜けて、駅を出る。
見覚えのある新宿の街並みが広がっている。
でも、車の一台も走っていない。
信号までが消灯している。
「もう終電ってないのかな?」
「こんな時間に電車なんてないよ。」
まだ23時。
この世界は、微妙にルールが異なっているらしい。
目的地のビルの前に立つ。
ここに来るまで、誰一人として見かけなかった。
そして、消費者金融だったはずのその事務所は、
デザイン関連の会社に姿を変えていた。
妻に、明日朝の始発で帰るとLINEする。
どこのホテルもお店も営業してないから、公園で時間を潰すしかないらしい。
それでも、500万の借金を帳消しに出来て、
なおかつ、放火魔にならずに済んだということだ。
いいじゃないか、この世界。
俺は公園のベンチで眠りについた。
明日の朝、目覚めても、
これが夢なんかじゃなくて、
ずっとこのままでありますように。
被災地に向けて、祈りを届けよう。
何の役にも立たないけど、
祈ることしか出来ないんなら、
自己満足でいいじゃないか。
自分がその立場になった時、
どこかで誰かが無事を祈ってくれてると思えるんなら、
こんなに心強いことはない。
無関心が一番さみしいよね。
寒さが身に染みて凍える夜も、
乗り越えてゆける強さが、あなた達にはきっとある。
他人を思いやり、分け合う優しさが、
どんな状況にあっても、私達の心にはあふれてる。
そうであることを祈り、
そうでありたいと願う。
綺麗事かもしれないけど、誰かを救いたいと祈る気持ちが、
人を成長させると思うんだ。
絵空事かもしれないけど、誰もが幸せであれと願う気持ちが、
世界を変えてゆくと思うんだ。
だってそーやって人は、この地球を守ってきたじゃないか。
戦争を始める馬鹿もいるけど、命がけで他人を救うバカもいるんだよ。
I see friends shaking hands
Saying, How do you do?
They’re really saying
I love you
この素晴らしき世界に生きて、
もっと成長したい。世界を変えていきたい。
だから、被災地の人達、頑張って。
何の役にも立たないけど、世界の片隅で祈ってるよ。
これから20歳になる人。
今、20歳の人。
少し前に20歳を迎えた人。
遠い昔に20歳を迎えた人。…今ここ。
20歳の頃は、想像も出来なかった今の自分。
ちゃんと働いてるのか、結婚は出来るのか、子供はいるのか、家族は作れたか、健康に生きてるか。
その答えを知れたことは嬉しい。
すべてが望み通りではなくても、今ここに、20歳の頃を振り返れる自分がいることが。
途中で人生を投げ出さずに、のらりくらりと生きてきたこと。
死にたいくらいに辛くても、「なんとかなるさ」でなんとかしてきたこと。
好きだった人。嫌いだった人。
大切な人との別れや、大切な人との出会い。
そして、今ここ。
私は、幸せです。
たとえ未来が真っ暗に思えても、実際に訪れる未来がどうなのかは誰にも分からない。
そこまで生きていくしか、それを知る方法はないんだから、まだまだ生きてやろうじゃないの。
20歳の頃には想像出来なかった今の自分のように、人生のマスターと呼ばれるほどの年齢になった自分にいつかきっと会える。
…いや、マスターにはなれてなくとも、今の自分を懐かしく思い出せる自分に。
そんな人生も悪くないな。
年を取るのもイイもんだと思える。
映画の結末はちゃんと観たい派だし、いろいろあったならなおさらだ。
まさに、自分が監督の「素晴らしき哉、人生!ディレクターズカット版」ってところか。
オリジナル観てないけど…。
とりとめなんて無い、それもまた人生。