10年前の私へ
私は10年後のあなた。
この一文を読んで破り捨てようとしてるだろうけど、最後までちゃんと読んでちょうだいね。
あなたは今隣のクラスの男子に告白されて返事を保留にしているわよね。仲のいい友達でずっと仲良くしていたいと思うような人だけれど、はっきりと恋心を抱いていると言えない状況で適当な返事はしたくないから。真面目なあなたはたくさん迷って真剣に彼の事を考えて、受け入れてもいいかなって思っているでしょ。
でもね、あなた結局の彼の事フルのよ。
もう少ししたらはっきり自覚すると思うけど、あなた同性の子の方が好きなのよ。びっくりでしょ?
でも、どうしても知ってほしいことがあるの。
あなたが好きなのは大親友のあの子よ。
あの子、あと数年もしたら結婚してしまうわ。
今の私は気付くのが遅かったから何もできなかったけど、あなたは違う。まだ間に合うからどうかあの子に
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私はそこで手紙をビリビリに破いた。
ふざけるな、私のこの気持ちに勝手に名前をつけやがって!
整理しきれていない頭のまま大親友のところへ全力で駆けるのだった。
こんな夢を見た
いつものように朝起きるとリビングから知らない子どものような声が聞こえた。不思議に思いながら扉を開けると金髪の小さな男の子がいた。そいつは初めから一緒に生活していたかのように「おはよう」と聞いたことのあるような声で言う。戸惑いながら「おはよう」と返す。そいつはにこりと笑って俺に向かって飛んできた。そしてずっと話しかけるのだ。何を言っているかはさっぱりわからないがおしゃべりなやつだということはわかった。そのままずっと聞いていると突然静かになりすんとした顔をする。不思議に思っているとそいつはどこかへ行ってしまったのだ。
目が覚めてからもあの男の子は一体誰だったのか考える。身支度を整えてリビングに行くと「おはよう」と声がする。そこにいるのは俺が飼っているインコだった。「おはよう」と近づいて気づいた。
夢に出てきた男の子がこいつである事に。
ねぇ、もしタイムマシーンがあったらきみはどうする?
うーん、特に何もしないかな
どうしてだい?
だって君といられる今が一番幸せだから
それは、何ともまぁ嬉しいことを言ってくれるねえ
でも未来には少し興味があるかな
それまたどうして?
君と僕がどうなっているか気になるからさ
…それは一人で未来に行かなくても私とずっと一緒にいればわかるんじゃないかな
ふふ、それはプロポーズかな
違うぞ、プロポーズはきちんと手順を踏んでからするから。
待っててくれるかい?
もちろんだよ。何年でも何十年でも。ずっと待っているよ。
小さい頃、夜にやっていた音楽番組に出ていたバンドのボーカルに一目惚れした。少し低くて落ち着く声。でもまっすぐな歌は確かに私を貫いた。その日から私はひたすらに歌を歌い続けた。高校生になってバンドを組んで、あの人を超えるような歌を探し続けた。しかし、この世界は甘く無い。いくら歌っても誰も見向きはしない。現実が深く心につき刺さる。どうせ、このまたなら続けても意味ないや、と思ってしまった。そんな時、私に声をかけてくれた人がいた。少しの高揚と浮き足たった様子で、えと、あの、と繰り返す。その人は深呼吸をしてからキラキラした目で、私あなたの歌に一目惚れしました!と言った。その目はあの日の私と同じだった。憧れをいっぱいに詰めた眩しい瞳。お礼を言おうとすると涙が溢れる。嬉しかった、今までで一番だ。泣き始めた私を見て慌てるその人に、涙を拭いながらありがとうと何度も繰り返して言った。
数年後、私はあの頃よりもずっと広いステージで歌っていた。しかし私の目指す場所からはまだまだ遠い。それでもあの日を胸に歌い続ける。
いつか夜空で一番明るいシリウスよりも眩しい星になる日まで。どうか私を見ていてね。
真冬の夜、仕事が終わり外に出る。運が悪いことに今日は雪に近い雨が降っている。手袋をしようにも濡れてしまうためつけなかった。夜の空気は冷たく静かに体を刺していく。少し歩いた頃には指先は冷たく真っ赤になってしまった。このままでは全身が凍ってしまいそうだと思い、急いで帰ろうと歩くスピードを上げた。
家についても部屋の中は寒い。何をするよりも先にお風呂のお湯を沸かしにいく。沸くまでの間に片付けを済ませて風呂場へ向かう。聞き慣れた音楽に心が躍る。湯船に浸かると冷たい体が溶けていくような感覚が眠気を誘う。冬の癒しに身を沈めながら、微睡む時間を堪能するのだった。