そんじゅ

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2/22/2026, 11:30:58 PM

苦悩の最中にあって変わらず明るく
光を散りばめた声でカラカラと笑う
君はまるで太陽のようだった

いつも前に立ち未来を輝かせてくれた

いまは残照の中に思い出が沈んでいく

君なしに、この暗闇で
ぼくはどうすればいい

熱のない空気に凍えそうだ
光が消え日々の輪郭が揺らぐ
季節すら立ち止まったまま

祈るべき神の姿ももう見えない

君は太陽で、ぼくの世界の全部だった


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太陽のような

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所感:
さようなら太陽、おやすみなさい

2/21/2026, 4:30:10 AM

一人って寂しい

そんなこというならさ、きみが
きみがぼくを好きになればいいじゃないか

あの冬、寒さしのぎにココアの缶を
いじいじと両手で握り直しながら

「ごめんね」

ってぽつりとこぼしたきみが
ぼくを一人置き去りにしたんじゃないか

今更だけど、ほんとに悲しかったんだぜ

ひどいことにぼくはまだ諦め切れてもない
毎日、新鮮な寂しさを味わってる

だからさ、同情でかまわないからさ、
ぼくのこと好きになってみてくれないか

寂しいなんていわせない
一人になんてさせやしない

だから好きって言ってみてよ



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同情

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所感:
志が低いので、同情してもらえるだけで充分です

2/18/2026, 9:13:10 PM

さよならの言い方が分からなくなった。
笑えばいいのか、真顔でいいのか。

これがぼくたちの最後の夜なんだ。

だから少しは格好つけたいなんて
思ったせいで言葉がのどに引っ掛かる。

本当はずっと側に居たいよ。
ただ、側に居させてほしかった。

もう目を合わせてもくれない君が
怒ってるのか、戸惑ってるのか、
それとも泣いちゃいそうなのか
分からない、何にも分からない。

だから別れの言葉の代わりに花を贈る。

白く冷たい君を花で飾ろう。

色とりどりの花びらが君の道行きを
柔らかく美しく包んでくれますように。



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今日にさよなら

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所感:
ずっと一緒だと思ってたのにな。

3/13/2025, 12:50:13 PM

「この再生リスト、30曲も入ってるんですけどー」
「うわ、写真ピックアップするのだるーい」

心底やる気のない顔で天使が二人ぼやいている。

さて、面倒な仕事に限って余計な面倒事が舞い込んでくる、なんてのは人界だけの話ではなく天界だって同じらしい。天窓から入り込んだいたずらな風が、不意に二人の手元をかき乱した。

古びたアルバムの山が崩れ、挟まれていた写真の束が宙に舞い飛び、ひらひら、ばらばらと散っていく。

「あ、」
「やば」

天使たちは咄嗟に手を伸ばしたけれど遅かった。

風に飛ばされた写真は雲の床を抜け落ち、天使の梯子を辿って空を下へと落ちていった。そして地上で今まさに息を引き取ろうとしていた老女の上に一枚一枚降っていく。

たっぷり30曲分の走馬灯は、はらはらと落ちてくる写真の出鱈目な順番で一人の歴史を紡ぎ始めた。

ひ孫が生まれたと思ったら、幼い自分が幼稚園でおゆうぎ会。かと思えば一瞬で大学生になり、夫の葬式の後に今度は夫と初デート。

訳のわからないまま老女の魂が最後に受け取ったのは遥かはるか昔の記憶。自分自身は覚えてもいなかった、誕生の日。

母の胸にしかと抱かれ、まだ目も開かない赤子。

「ああ、ああ!わたし、いま、うまれるのね」

やがてくる死を受け入れ静かに待っていた魂は、この混乱に満ちた走馬灯の騒々しさのせいで、すっかり生気を取り戻してしまっていた。

「……どうすんのよ」
「彼女、天国に来る気なくなっちゃったじゃん」

生きる気力に満ちた活発な魂を無理に天界へ呼び寄せたところで、この静謐な世界との温度差に我慢ができるはずもない。

「人生、もう一周。いってもらう?」
「……だね」

そうして彼女は天使から新しい身体を贈られ、二度目の命を歩み始めた。



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終わり、また始まる、

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所感:
そんな感じで始まる人生2周目。

3/12/2025, 10:19:11 AM

一緒にプラネタリウムへ行こうと年に何度もせがまれるので、いつのまにか県内はおろか、地方一帯にある科学館や天文台の情報にずいぶん詳しくなってしまった。

ぼく自身は別に宇宙にも星にもあまり興味がないから途中でたいてい居眠りしてしまうんだけど、彼はちっとも怒ったりせずに上映が終わるまでいつもそのまま寝かせておいてくれる。

優しさじゃなくて、ぼくの顔を見るよりもドームに張り付いた満天の星の姿を見るのによっぽど忙しいから。

ある夜、空から突然降ってきた彼は、星の子供。

どの星座から振り落とされて地球へやって来たのか分からなくなっちゃって、ぼくの家に居候しながら帰り道を探し続けてもう2年になる。

淡く、静かに、光の波動が脈打つ小さな輝石。

雨や曇りで星の見えない夜が続くと「さみしくて身体が砕けてしまいそうだ」と机の隅でしくしく泣いている。月明かりが闇を照らす夜にも「この小さな身体があの光に溶けて消えてしまう」と嘆いて拗ねてしまう。

だから彼の機嫌をなぐさめるため、本物の星ではなくともせめて家族達の面影を思い出せるようにと、ぼくは星の子供と一緒にあちこちへ出掛け、小さな屋根の下で宇宙の似姿を鑑賞する。

はやく元の居場所が見つかればいい。

夜な夜な彼の嘆きを聞いていれば、もう諦めてこのまま地球に居ればいいなんてこと言える人間なんて一人だっていないはずだよ。ぼくだって、彼が笑って光を振りまく姿をみたい。

いつか君が空に戻ったら、きっと毎晩、ぼくの家の上でピカピカと輝いてくれやしないか。それくらいの願いは引き受けてくれるんじゃないかと思ってる。


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所感:
静かに行き来する情がある。

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